花の仕事

花屋を開業するには?準備しておくべきお金・必要なものについて解説

2022.04.11

花屋の独立開業マニュアル

Bloom Note編集部

Bloom Note(ブルームノート)編集部です。お花のお手入れ・アレンジメント方法から、お花屋さんの仕事に必要な知識まで、お花が好きな全ての人に役立つ情報を配信しています!

花屋は特に主婦をはじめとした女性に人気の職業です。
お花が好きで、将来は個人で小さな花屋さんを経営したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

実際、花屋は開業するために資格などが必要なく、未経験でも比較的容易に独立開業できるビジネスでもあります。
ただし「花屋は開業後、2年続けば良い方」と言われており、経営は決して簡単ではありません。

この記事では、実際に花屋を開業するために必要な準備や資金について解説します。
花屋にはフランチャイズやネットショップなど様々な業態がありますが、この記事では主に実店舗の個人開業を考えている方に向けた情報を紹介します。

こんな方におすすめ

  • 個人で花屋を開業したいが、手順・必要なものがわからない
  • 花屋を開業して儲かるのか知りたい
  • 花屋の開業に必要な費用が知りたい

花屋の主な仕事内容

花屋の仕事内容

まずは、実際に仕事として花屋が日々どのような業務を行っているのかを紹介します。
花屋のスタッフが1日のうちに行う主な業務とタイムスケジュールは以下のようになっています。

【6:00】仕入れ
【8:00】花の管理(水揚げ・ロス処理など)
【9:00】開店準備
【10:00~】開店
・接客、フラワーアレンジ、配達など
【19:00】閉店
・掃除、事務処理など

タイムスケジュールの通り、花屋の仕事は早朝から夜まで、内容も多岐にわたります。

週3日ほど行う花の仕入れは早朝5~6時からスタートし、戻ってきてから花の水揚げや開店準備。開店中は接客がメインのため、事務仕事は閉店後となることも。
また、水の入ったバケツを運んだりといった体力仕事が多く、見た目の華やかな印象とは裏腹に「きつい」と言われる仕事であることは事実です。

特に繁忙期である母の日シーズンは休みを返上して働かなければならないこともあり、「花に囲まれた素敵な仕事がしたい」というイメージだけで続けられるような仕事ではありません。

しかし、自分の好きな花に囲まれた自分だけの店でお客様に喜んでもらえるという、何物にも代えがたい喜びもあります。日々の厳しい業務を乗り越え、自分の理想を実現したいという強い想いのある人には、大変ですがやりがいのある仕事になることでしょう。

販売以外の仕事で収益アップ

花屋というと個人のお客さんメインの接客業、というイメージが強いですが、以下のような店頭販売以外の業務を行っているところも多数あります。

CHECK

・活け込み・メンテナンス
レストラン・ホテル・クリニック・企業のロビーなど、様々な施設に花を飾ったりメンテナンスを行う業務です。

・フラワースクール
店や施設でアレンジメントなどの教室を開いている花屋さんも多いです。

このような業務は、花屋と施設で定期契約を締結している場合もあります。
個人客に向けた生花販売のみでは安定した収益を確保するのは難しく、実際はこういった企業間のビジネスが主な収入源となっていることも多いようです。

花屋開業後に安定した経営を視野に入れるなら、活け込み業務の検討をおすすめします。

【参考】花屋の仕事内容解説!アルバイト・正社員の業務、きついと言われる理由

花屋の平均年収は200~400万程度

個人で花屋を開業した人の年収は、約200~400万円程度と言われています。
日本人の平均年収は【433万円】となっており、平均よりも低いことがわかります。(【参照】国税庁:令和2年分 民間給与実態統計調査

月収で見ると、初年度で約20~30万程度の収入は見込めますが、こちらも軌道に乗った場合の金額です。
花屋の収益は立地や時期にも大きく左右されるため、安定させるにはそれらを踏まえた努力と工夫が必要になるでしょう。

また、花屋は個人経営ほど収入が少なく、企業契約(冠婚葬祭・活け込みなど)をしているほど収入が安定・上昇しやすい傾向にあります。
特に冠婚葬祭専門業者は花屋業界の中でも収益が高く、年間利益が数千万を超えるケースもあります。

コロナ禍で業種によっては売り上げの影響も

これから花屋の開業を検討するなら考慮しておきたいのが、新型コロナウイルスによる影響です。
2020年に始まったコロナ禍は、花の売り上げにも大きな影響を与えており、全体的に売り上げが低下したことで出荷数も減少しています。

この売り上げの低下は、結婚式や卒業式といった花が欠かせないイベントの中止が相次いだことに起因し、花業界では「大量廃棄(フラワーロス)」が問題となりました。
特にブライダル専門業者など、イベントへの花の提供を中心としている花屋は大きな打撃を受けています。

その一方で、「ステイホーム」が増えたことによる個人需要は増加傾向にあります。特に自宅で花を楽しむ花のサブスク(定期便)が人気を集めつつあるようです。
これから花屋を開業するなら、コロナ禍の影響をカバーできるような業務形態を考えていく必要があるでしょう。

花屋を開業するまでの流れ

ここからは、どのようにして開業していくのかについて解説していきます。
最初に、花屋を開業するまでの大まかな流れを確認しておきましょう。

  • お店のコンセプトを考える
  • 開業までのスケジュールを決める
  • 事業計画を考える
  • 資金を調達
  • 物件探し・外構・内装工事
  • 手続き~開業

具体的な手順が発生するのは④資金調達以降ですが、それまでのコンセプト・スケジュール・事業計画について考えるという工程は非常に重要です。

特に最初にコンセプトをしっかり決めておかないと、後の物件探しや事業計画にぶれが出て経営がうまくいかなくなってしまうことも…。自分が花屋を開業して実現したいことを明確にし、コンセプトを貫くことが大切です。
必ずまず初めに「どういった店で」「どういった客層に」「どのような商品を売るのか」を検討しておきましょう。

花屋の開業までに必要なもの

開業までの流れを把握出来たら、開業までに必要なものを早めに準備しましょう。
開業までに最低限必ず準備しておくべきものは以下のとおりです。

  • 開業資金
  • 店舗物件
  • 陳列用の什器・備品(エアコン・作業台など)
  • 花の仕入れルート確保

それぞれについて詳しく解説していきます。

開業資金

花屋の開業に必要な資金は、約300~500万円ほどになります。物件や内装・外構によって費用は大きく変動し、こだわった店舗にしたい場合は1000万円以上になる場合もあります。

手持ちのお金で開業資金が賄えないという人は、国や民間金融機関からの融資や、国や自治体の助成金制度を利用することができます。
開業資金の具体例や調達方法については、後ほど「花屋の開業に必要な資金」の項目で詳しく解説します。

店舗物件

店舗物件を探す際は、立地や間取りだけでなく、周辺環境やどのような客層が見込めるのかも重点的にチェックしましょう。

花屋は店舗の立地によって売り上げにも大きな影響が出る仕事です。
例えば物件の場所がオフィス街なのか、駅前なのか、などによって「どのような商品を仕入れるか」「どのような戦略で販売していくのか」も変わってきます。

お店のコンセプトや想定するターゲットに合った物件を、納得いくまで探すことをお勧めします。

花屋開業時の場所選び【完全ガイド】良い物件選びのコツ・エリア別の特徴を解説

店内の什器・備品

開店時に最低限必要となる備品、検討したいものは下記の通りです。

エアコン

お花は温度に敏感な生き物ですので、温度調節のためのエアコンは必須です。
エアコンの風が直接当たるとお花が弱ってしまいますので、風が当たらないようにエアコンと花の配置にも気を配りましょう。

ハサミ・ナイフ・ノコギリ・花器・バケツなどの道具

日々の花の手入れやアレンジメントに使用する道具です。
お花を水に浸けておくためのバケツもそのままディスプレイにも使用するので、店の雰囲気を損なわないデザインのものを選ぶと良いでしょう。

作業台

アレンジメントやラッピングには、広めの作業スペースが必要になります。店舗物件を選ぶときも、作業スペースの確保を念頭に置いた広さで検討しましょう。

車(ワンボックスカーなど)

花の仕入れや配達など、花屋は車を活用する場面の多い仕事です。たくさんの花を傷つけずに運べるように、積載容量の多い車を1台購入しておくことをお勧めします。
「仕入れはインターネットで行う」「配達を行わない」という人は、車の準備は不要です。

【花屋におすすめの車6選】積載量・コスパ・おしゃれさで選ぶイチオシ車種ピックアップ

花の仕入れルートの確保

花屋を開業する上で最も重要になるのが仕入れルートの確保です。
花を仕入れる方法としては、大きく分けると【市場で購入】【仲卸で購入】【インターネットで購入】の3パターンがあります。

このうち、開業したての個人店の仕入れに適しているのは【仲卸】【インターネット】です。

市場での仕入れは規模が大きく様々な花を買うことができますが、1種類当たりの購入単位が大きく、個人開業の小さな店舗では捌ききれません。また、参加に売り上げ額などの条件が課されていることもあり、基本的にある程度規模のある店舗向けになっています。

そのため個人店が仕入れるには、少ない数で選んで購入することができる仲卸業者が適しています。ただし、仲卸業者がその時仕入れている花しか買うことができないというデメリットもあります。

その時仕入れたい花がある場合は、インターネットでの仕入れを活用しましょう。実店舗からの仕入れよりもラインナップが広く、かつ少数から仕入れることが可能です。
また、ネットでの仕入れだと早朝から仕入れに赴く必要もないため、少しでも時間と人件費を減らしたい個人店にとって強い味方となってくれるでしょう。

【花屋の仕入れ方法まとめ】開業時に最適な仕入れ先・市場での取引を詳しく紹介

インターネット仕入れには「Flower Smith Market」がおすすめ

Flower Smith Market(フラワースミスマーケット)」は、花持ちの良い家庭用の生花を卸売価格で購入することができるサイトです。
すべての商品を5本から買うことができるので、個人店でもロスを出さない仕入れをすることができます。

また、「Flower Smith Market」は同社が運営する花の定期宅配サービスと合わせて仕入れを行っているため、常に豊富な種類の花を販売しています。
そのため、小規模な店舗でも定番商品から季節商品など、いろいろな花を店頭に置くことが可能です。

購入した花は水揚げした状態で届くため、店舗での水揚げ時間短縮にも。
さらに、お気に入り登録した商品を「仕入れリスト作成」でグループ分けすることで、グループごとにまとめて買うこともできます

忙しい花屋のオーナーさんにとって使いやすいサービスを提供していますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

【初回送料無料】花の卸販売サイト「フラワースミスマーケット」

その他、開業時にあったら便利なもの

開業時に必ず用意する必要はありませんが、あった方がより良いものをご紹介します。

フラワーキーパー(冷蔵庫)

花の鮮度を保ちながら陳列するための大きな冷蔵庫です。ガラス張りでショーケースとしての役割も兼ねています。
大型で高価なため、開業時は設置しないという選択肢もありますが、その場合は傷まないうちにお花を捌く計画性と販売スキルが重要になってきます。

特に路面店の場合は温度が変化しやすいため、可能であれば用意しておきたいところです。逆にビル内のテナントなど、温度変化の少ない場所ではエアコンだけでも対応可能です。
フラワーキーパーがあることで「花屋さんらしい」印象もアップしますので、資金に余裕があれば用意しておいて損はないでしょう。

購入するほど資金に余裕がないけど置きたい、という方にはリースもおすすめです。

花屋に冷蔵庫(フラワーキーパー)は必要?導入のメリットとデメリット

資格(運転免許など)

花屋を開業するにあたっては、国家資格などの特別な資格は必要ありません
ただし、仕入れや配達を行う場合などは車での運搬となりますので、普通自動車運転免許は所持している方が何かと便利です。

また、花やデザインに関する資格は、取得しておくことでアピールポイントの一つにもなります。必須ではありませんが、戦略の一つとして取得を目指してみるのも良いのではないでしょうか。

花・デザイン関連の資格

  • フラワーデザイナー
  • フラワー装飾技能士
  • 色彩検定
  • カラーコーディネーター  など

 

花屋の開業資金の目安は300~500万程度

花屋を開業する際に必要な費用の目安は、あくまで目安ですがおよそ300~500万円程度と考えておくと良いでしょう。

開業時に必要となる費用の内訳と、それぞれの大まかな目安をまとめました。

物件取得費用 約100~200万円
内装・外構工事費用 約100~500万円
什器・備品購入費用 約10~100万円
※フラワーキーパーを購入する場合やや高額になる
運転資金(仕入れ費・広告費など) 約100~300万円
合計 約300~1,100万円

開業費用は、主に店舗の物件・リフォームにどのくらいかけるかで大きく変わってきます。
花屋の場合、開業に必須の什器・備品や仕入れ費用などで金額がかさむことはないので、最低限からスタートしたいという人は100万以下に抑えられていることもあります。

CHECK!

花屋の自宅開業は慎重に検討

費用を抑える方法として自宅で開業するという方法もあります。

自宅であれば物件取得費用は0円で済みますので、大幅に費用を削減できます。
ただし、水道設備の整備や、水を流せる床材にするなどの内装工事費は必要になりますし、家族や近隣住民に配慮したレイアウトを考えなければなりません。

また、デメリットとして自宅の場所によっては収益を見込みづらいという点も挙げられます。

事業として継続していくためには、初期費用を抑えることだけを考えすぎないということが重要です。

もちろん、自宅の立地が良くなくてもオンラインショップを活用するなど、工夫次第で収益を上げていくことも可能です。
開業後の事業計画を事前によく練った上で、自宅か、物件を探すかは慎重に検討しましょう。

自宅で花屋を開業するメリット・デメリットは?必要なもの・費用について徹底解説

資金の調達方法

自分で開業資金の全てを準備できない場合、資金の調達方法と返済計画についても事前に検討しましょう。
開業時に外部から資金を調達する主な方法としては、「日本政策金融公庫(政府機関)」または「信用金庫などの民間金融機関」から融資を受けるという方法があります。

それぞれの借り入れ可能金額は次のようになっています。

日本政策金融公庫(政府機関)
→民間の銀行で支援できないケースにも対応
自己資金額の10倍程度(借入額の1割を自己資金として負担)
民間金融機関
→一般的な民間の信用金庫、地方銀行など
自己資金の倍額まで(※金融機関によって異なる)

融資を受けるにあたっては、開業予定の業種での就業経験や、担保(保証人・不動産)の有無、借金や税金の滞納経験の有無など、信頼性に関する項目をチェックされます。

個人事業をこれから開業する場合は、「日本政策金融公庫」からの融資をおすすめします。
民間金融機関、特に銀行では審査が厳しく、個人事業でこれから開業する場合は融資を受けられない可能性もあります。
日本政策金融公庫は、これから創業しようとしている人の支援を積極的に行っているため、開業時にも融資が受けやすいです。

民間金融機関の場合、信用金庫なら創業支援として借り入れが可能なケースが多いです。ただし保証人として「信用保証協会」の保証を得る必要がありますので、時間と金利が少し高くなってしまいます。総合的に見ると最初は「日本政策金融公庫」に相談してみるのが良いでしょう。

【花屋の開業資金】必要金額の目安、借りるならおすすめの融資元、創業支援制度まとめ

補助金・助成金の受け取りは商工会議所に相談

開業した後にはなりますが、国からの補助金・助成金も受け取ることができます。
国からの補助金の場合は原則返済が不要のため、条件に該当する場合は積極的に申請しておきたいところです。
自治体によって独自の支援制度を設けていることもあります。まずは一度商工会議所に相談し、詳細なアドバイスを貰うのもおすすめです。

また、融資や補助金を得るためには、「事業計画書」を提出しなければならないケースがほとんどです。
「事業計画書」とは、どのような事業をどのような販売戦略で進めていくかを書面にまとめたもので、お金を貸し出しても問題ないかという信用を得るために必要となります。
今後経営を進めていく上での考えやスケジュールを整理する良い機会にもなりますので、しっかりと考えて作成しましょう。

まとめ

花屋を開業するまでに覚えておきたいこと・準備するものを解説してきました。お店のコンセプト・資金・スケジュールがしっかりと準備できたら、まずは計画に沿って進めていきましょう。

開業ができたとしても、その後からが本番です。事業計画を確認しながら、思い描く理想のお店を実現するために段階を踏んで一歩ずつ着実に踏み出すことが大切です。

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