花を仕入れる方法・花の仕入れ先には、おもに以下の3つがあります。
- 卸売市場
- 仲卸業者
- インターネット
店舗の規模や目的によってそれぞれの仕入れルートを使い分けることで、コスト削減や他店との差別化を実現することができます。
今回は、花屋の規模・目的別におすすめの仕入れ方法や、各仕入れ方法のメリット・デメリット、花の仕入れ時に重要になる情報の集め方などについて解説します。
こんな方におすすめ
- 花屋の仕入れ方法が知りたい
- 開業時や個人での花の仕入れ方を知りたい
- 花の仕入れに関する情報の集め方を知りたい
花屋におすすめの仕入れ専門サイト「フラワースミスマーケット」
家庭用生花・ドライフラワーが5本から購入可能
「Flower Smith Market」は、花の仕入れ専門サイトです。全ての商品を卸売価格で5本から購入可能。花の産地・生産者情報などもチェックすることができます。
【卸売市場】安く大量に仕入れたい場合におすすめ
「卸売市場」は花の流通の拠点になる存在で、花屋の仕入れ方法の中でもっとも一般的な方法として知られています。
市場は全国で約110箇所(2020年度:大田花き調べ)ほどあり、代表的な市場に「大田花き(東京)」「大阪鶴見フラワーパーク(大阪)」などがあります。
市場では基本的に週3日(月・水・金)取引が開催されていますが、取引に参加するには「買参権」と呼ばれる許可が必要になります。
買参権の取得には、ある程度の仕入れ実績や業務経験を有していること、保証金の支払いなどの条件が設けられているため、開業したばかりの花屋や個人の方が買参人登録をすることは難しいといえます。
これから花屋を始める方は、まずはあとで紹介する仲卸業者やインターネットなどで仕入れ、ある程度経営が軌道に乗ってきたら買参権を取得するのが良いでしょう。
花屋が花市場で取引する方法は4通り
ひとくちに市場での仕入れと言っても、事前に予約する方法、競りで落とす方法など、仕入れ方法は大きく分けて4種類あります。
それぞれの方法ごとに価格や確実性など特色が異なりますので、くわしく見ていきましょう。
①注文取引
必要な花を事前に予約注文して市場で受け取る方法で、市場での取引の中でも確実性の高い方法になります。
予約注文を受ける生産者側が価格を設定するため、仕入れ値は取引方法の中でもっとも高くなります。
万一注文した花が用意できない場合も事前に連絡が来るため、代わりの花も手配しやすく安全な方法といえます。
②相対取引
生産者が市場に出荷済みの商品の中から注文して市場で受け取る方法で、現在市場での取引方法の中でもっとも多く利用されています。
生産者は市場に出荷後、「どの花を〇本出荷した」というように出荷内容を市場に連絡します。
市場はこの情報をもとに入荷情報を事前にWebなどで公開し、注文受付を開始。注文した商品は、市場で競りが始まる前に受け取るという流れになります。
生産者が出荷した商品に限られますが事前に注文できるほか、価格も入荷量や相場から設定されるため、高過ぎる・安過ぎるといった状況になりにくいのが特徴です。
そのため、確実性・価格の面でバランスの良い仕入れ方法です。
③競り
市場当日にオークションルームで出品された花を競り落とす方法です。
オークションというと値段が上がっていくイメージですが、花の競りは買い手がついたらその時点で取引は終了となり、反対に買い手がつかないと値段がどんどん下がっていきます。
特に母の日のカーネーションなど需要が多い花は、高値で競り落とされる場合が多くなります。
一商品あたりの競りの時間は非常に短く、早ければ数秒で終わってしまうこともあります。
慣れないうちは何も買えずに終わってしまった...ということにもなりかねませんので、すべての花を競りで仕入れようとせず、必要な花は相対取引・注文取引で仕入れるのがおすすめです。
また、競りは注文・相対取引を経て売れ残った花が並ぶ形になるため、花の種類が限られ、質も低い傾向にあります。
もし競りで仕入れたい場合は、たまたま安く買えたら特価品として店頭に出すようなつもりで参加するのが良いでしょう。
④予約相対・定期
予約相対とは、必要な花を数週間前に予約しておき、予約時点の単価で購入できるという方法です。
①~③は市場の数日前からの取引ですが、予約相対・定期は長期的な取引になります。
例えばお盆のキクなど時期と必要量が決まっている場合に、前もって確保することで仕入れの確実性と、価格面でも一定の安定性を取ることができます。
花の仕入れは相場の変動が難しいため、予約時点から相場が下がった場合は少し損をしてしまうことがあるという点はデメリットといえるかもしれません。
定期はその名のとおり、決まった数量の花を定期契約することで安定した仕入れを可能にする方法です。こちらも確実な数と、相場に左右されない価格をキープすることができます。
メリット:仕入れ値を抑えることができる
卸売市場は生産者から直接花を委託されて販売しているため、安い値段で大量に仕入れることができるのが最大のメリットです。
ほかにも卸売市場は規模が大きく多くの生産者の花を扱っているため、購入できる花の種類や量が豊富なのもポイント。
仕入れられる花の選択肢が多いという点も、市場で仕入れるメリットといえるでしょう。
デメリット:大きい単位でしか購入することができない
市場は購入可能な単位が大きい(一箱50本~など)ため、同じ花の在庫を多く抱えることになります。
そのため、店舗の規模によっては捌き切れず、ロスを出してしまう可能性があります。
少数だけ仕入れたいときや個人経営の小規模な店舗の場合は、ほかの仕入れ方法を利用することをおすすめします。
【仲卸業者】開業したばかりの花屋や小規模の花屋におすすめ
仲卸業者は市場から仕入れた花を少数単位で販売しており、1束10本など少ない本数から仕入れることができます。
仲卸業者は市場内に何件かまとまって出店している場合が多く、たとえば全国最大規模の市場「大田市場」の中には18社の仲卸店舗が軒を連ねる「仲卸通り」があります。
会社ごとに取り扱っている商品やジャンルに違いがあるため、事前に市場内に出店している仲卸業者をホームページなどでチェックしておきましょう。
市場の外に店を構えている仲卸業者もあるので、市場が遠い場合などは最寄りの仲卸業者を利用することもできます。
仲卸業者で仕入れるなら「買出人章」を取得しよう
仲卸業者で花を仕入れる際、「買出人章」が必要な場合があります。
「買出人章」は、書類や登録費用を用意して買出人登録の申請を行うことで取得できます。
市場の買参権よりハードルが低いので、花関連の事業者であれば開業したての花屋や個人でも取得することが可能です。
登録手続きに必要な書類や費用などは、利用したい市場であらかじめ確認をしておきましょう。
メリット:小ロットから買えるのでいろいろな花を仕入れられる
市場での仕入れと違い、仲卸業者では少量から購入することができます。
いろいろな花を少しずつ仕入れられることで小規模な店舗でも販売する花のラインナップを増やすことができ、ロスも抑えられる点は仲卸業者の最大のメリットです。
また、開業したばかりの頃は業界の動向についてわからないことも多いため、市場や生産者との繋がりがあり花業界に詳しい仲卸業者は貴重な情報源になります。
日頃から仲卸業者と良い関係を築いておくと、相場や業界動向などの情報面や仕入れ面で非常に頼れる存在となってくれるでしょう。
仲卸業者の常連になると、事前に仕入れたい花を予約しておくこともできるようになります。
デメリット:市場よりも仕入れ値が割高になる
仲卸業者から仕入れるデメリットは、手数料が上乗せされた金額での販売となるため、市場で仕入れるより値段が少し上がってしまう点です。
また、仲卸業者が仕入れた花の中からしか買うことができないため、欲しい花を指定して購入することはできません。
どうしても仕入れたい花が決まっているときは、インターネットの卸売で購入するのがおすすめです。
【インターネット】仕入れにかかる時間をカットしたい場合におすすめ
近年、特に利用者が増えてきているのが、インターネットでの花の卸販売です。
ネットから注文すると、代わりにその商品を市場で仕入れて配送してくれるサービスで、「仕入れ代行」とも呼ばれています。
少数から大量の仕入れにも対応しているほか、仲卸業者よりも幅広いラインナップから選ぶことができるので、上手く活用すれば店舗の品揃えを充実させたり、お客さんからの一時的な注文にも対応することができます。
花の卸販売を行っているサイトには、花屋のみが登録・利用できるサイトのほか、ネットショップのように誰でも購入できるサイトも数多くあります。
個人でも手軽に花を仕入れられるので、花関連の講師をされている方などにもインターネット仕入れがおすすめです。
メリット:自宅や店舗から仕入れができるのでコストが削減できる
インターネットを利用することでスマホでも手軽に仕入れができるので、市場に行く時間とコストをカットすることができます。
配送料がかかることは少々ネックですが、市場への移動時間が省けるぶん商品企画や店舗づくりなどに時間を回すことができるため、開業したての花屋や個人経営の小規模な店舗にはメリットとなる部分が大きいといえるでしょう。
デメリット:品質の見極めが難しい場合も
インターネットでの仕入れは自分で現物を買うことができないため、品質を判断するのが難しい場合もあります。
特に経験や知識が浅いうちは、実際に市場に行って現物を見たり、仲卸業者との交流で情報を得ることなども重要になりますので、状況に合わせて仲卸とインターネットを併用して仕入れるのがコツです。
【番外編】生産農家と直接契約して仕入れる
仕入れ方法のひとつに、生産者と直接契約をするという方法もあります。
基本的には市場に出荷されている花から購入する方が相場も安定していますが、直接契約をするとそこでしか生産されていない個性的な花を安く仕入れることができます。
生産者から直接仕入れている花屋はごく少数ではありますが、もし店舗の近くに生産者がいれば一度、相談してみても良いかもしれません。
インターネット仕入れにおすすめの卸売サイト「Flower Smith Market」
「Flower Smith Market(フラワースミスマーケット)」は、花持ちが良く家庭需要に適したサイズ・価格の花を販売する卸売サイトです。
「Flower Smith Market」は、自社が運営する花の定期宅配サービスと合わせて豊富な種類の花を多く仕入れているため、一般家庭用の花を常に安定した品質・価格で購入できるのが特徴。
すべての花は5本からの小ロットで買うことができるので、小規模な店舗や個人の方でもロスのない仕入れをすることができます。
中規模以上の店舗や花の教室など、まとまった量を仕入れたい方には購入本数に応じた割引き価格も用意されています。
購入した花は水揚げした状態で受け取れるため、店舗での水揚げ時間をカットすることが可能。
さらに、お気に入り登録した商品を「仕入れリスト作成」でグループに分けておくことでリストごとにまとめて注文できるなど、忙しいオーナーさんでも仕入れをしやすいサービスを提供しています。
開業時や個人での花の仕入れ方
開業したばかりの花屋や個人で花の仕入れをしたい方は、仲卸業者やインターネットで仕入れるのがおすすめです。
仲卸・インターネットならいろいろな種類を少しずつ仕入れることができるため、店頭に置く花の種類を増やせる・ロスが減らせるといったメリットがあります。
また、市場での取引に必要な買参権ほど難しい条件もないので、個人の方で「一時的に少量だけ欲しい」という場合でも買いやすいという点も挙げられます。
開業時に仕入れる花の選び方としては、人気のある花と個性的な花をバランス良く仕入れるのがポイントです。
はじめは、バラやカーネーションといった一般的に需要の高い「売れる花」を少し多めに仕入れておき、経営が安定してきたら店舗のコンセプトを表現するような「売りたい花」を徐々に増やしていくようにしましょう。
花屋の品揃えには季節感も重要です。
季節やイベントを先取りした花を店頭に並べることで、お客さんに「いつも新しいお花がある店」と認識してもらえるようになります。
旬の花やトレンドの花については仲卸業者の品揃えを参考にしたり、仲卸業者のスタッフに直接聞いてみるのも良いでしょう。
花の仕入れに役立つ情報収集の方法
花屋は情報戦といわれるほど、最新の情報と先読みが重要になる業界です。
開業後、個人で細々と仕入れを続けるだけでは業界の動向やトレンドを掴めないままになりかねません。
特に母の日などのシーズンに向けた仕入れは、早い段階で計画を練っておかないと品薄になる、価格が上がるなどの失敗をする恐れもあります。
可能な限り、外部から積極的に情報を集めておくことが花屋の仕入れのポイントになります。
花屋が情報を集めるには先ほどお話した仲卸業者や市場での交流のほか、大手チェーンの花屋やコンビニの花のカタログに掲載されている商品をチェックしておくという方法もあります。
大規模な店舗で取り扱いがある花材は品薄になりやすいので、このような大口需要の動きを知っておくことも非常に重要です。
花業界の動向については、「花卉園芸新聞」「日本農業新聞」といった専門の新聞を購読するのがおすすめです。
ほかにも生産者が発信する情報を確認するために、SNSを活用するのも良いでしょう。
まとめ
花の仕入れ方法は以下のように使い分けることで、効率的に仕入れを行うことができます。
- 一定以上の仕入れ経験があり、まとまった数が欲しい場合は市場で仕入れる
- 少数を仕入れたい場合は仲卸業者から仕入れる
- 欲しい花が決まっている場合、仕入れの時間を削減したい場合はインターネットで仕入れる
仲卸業者やインターネットを利用すれば、開業したばかりで市場での取引ができない方や個人の方でも花を仕入れることができます。
また、花の仕入れには、花の生育状況や相場、売上の傾向など、あらゆる情報から先を読むことも大切になります。
業界の動向と自分の店舗の売れ行きを合わせて分析しながら、日々の仕入れに臨むようにしましょう。