助成金・補助金とは「新しく事業を始めたい」「売り上げアップにつながる施策をしたい」という事業者を対象に、国や自治体が資金を補助してくれるという大変ありがたい制度です。
申請後、一定の条件を満たして審査をクリアすれば返済の必要がないので、対象者に含まれるならぜひ申請しておきたいところです。
本記事では、花屋の開業・経営に役立つ助成金・補助金と申請方法について解説します。
助成金・補助金の仕組みやメリット・デメリットもわかりやすく紹介していますので、利用できそうな制度の確認と申請に役立ててください。
こんな方におすすめ
- 花屋に関する助成金・補助金の種類がどれくらいあるか知りたい
- 花屋に関する助成金・補助金があるならどれくらいの額が出るのか知りたい
- 助成金・補助金の仕組みやメリット・デメリットについて知りたい
助成金・補助金の仕組みについて
助成金・補助金とは、国や地方公共団体が事業者に対して事業資金の一部を支給する制度を指します。
助成金・補助金を受け取るためには、申請や審査などが必要となり、一定の条件を満たしていると認められれば受給可能です。
両制度ともに原則返済不要ですが、給付目的に多少の違いがあります。
- 補助金:新規事業や雇用の安定などが目的で、支給上限枠があるため選考に漏れる可能性がある
- 助成金:労働環境の改善や人材育成が目的で、要件を満たしていれば支給される可能性が高い
花屋におすすめの助成金・補助金
ここでは、花屋におすすめの助成金・補助金をご紹介します。
- 創業支援関連の助成金・補助金
- 事業再構築補助金
- キャリアアップ助成金
これから花屋を開業しようと考えている方や、新型コロナウィルスの影響で経営が厳しくなっている方は、とくに必見の内容です。
それぞれの制度について詳しく解説しますので参考にしてみてください。
創業支援関連の助成金・補助金
創業支援関連の助成金・補助金は、創業資金の一部を支給してもらえる制度です。
融資のように先に受け取ることはできませんが、後から開業資金として支給されます。資金繰りが厳しくなりがちなスタート時期こそ利用しておきたい制度です。
創業支援関連の助成金は各都道府県によってさまざまな制度があり、申請するにあたっての相談先や支給内容は、各地域によって異なります。
また、支給タイミングも各地域によって異なります。
例えば、東京都であれば「創業助成事業」という制度を導入しています。気になる内容をみてみましょう。
受給対象者 |
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受給内容 |
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受給対象期間 | 交付決定日から6か月以上最長2年 |
受給限度額 | 300万円(下限100万円) |
(参考:創業助成事業|TOKYO創業ステーション)
ご自身がお住まいの地域がどのような制度を設けているか知りたい方は、中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J-Net21」に都道府県別の補助金制度の一覧が掲載されていますので、チェックしてみてください。
【参考】創業者向け補助金・給付金(都道府県別)|J-Net21
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」とは、コロナの影響で売り上げが落ちてしまい、回復が難しいと思われる事業者を支援する制度です。
本制度を申請するためには、下記の条件が必須となります。
必須申請条件
- 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前(2019年~2020年3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
※または以下の条件を満たしている場合も申請可能
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少していること - 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
つまり「事業再構築補助金」を受給するためには、1番目の必須要件を満たしたうえで「認定経営革新等支援機関」と相談して作成した事業計画書が必要だということです。
※認定経営革新等支援機関とは、中小企業を支援する機関として国から認可を受けた事業者のこと。
3番目の必須要件にあるとおり、事業計画書は補助事業が終了した3〜5年で「年間平均売り上げ額と従業員1人あたりの年間平均売り上げが3〜5%増える」見込みを持った事業計画を作成する必要があります。
また、本制度はいくつかの申請枠が設けられており、細かい申請条件や支給額はそれぞれの枠によって異なります。
自身がどの申請枠に向いているのかを知りたい場合は、各都道府県の「認定経営革新等支援機関」に相談してみましょう。
通常枠
補助額
- 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
- 【従業員数21人~50人】100万円~4,000万円
- 【従業員数51人~100人】100万円~6,000万円
- 【従業員数101人以上】100万円~8,000万円
補助率
- 【中小企業】2/3(6,000万円超は1/2)
- 【中堅企業】1/2(4,000万円超は1/3)
大規模賃金引上げ枠
必須要件1~3を満たし、かつ補助事業実施機関の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること及び補助事業実施機関の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること
補助額
- 【従業員数101人以上】8,000万円~1億円
補助率
- 【中小企業】2/3(6,000万円超は1/2)
- 【中堅企業】1/2(4,000万円超は1/3)
回復・再生応援枠
必須要件1~3を満たし、かつ以下の1または3のどちらかを満たすこと
- 2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること
- 中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け再生計画等を策定していること
補助額
- 【従業員数5人以下】100万円~500万円
- 【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
- 【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
補助率
- 【中小企業】3/4
- 【中堅企業】2/3
最低賃金枠
必要要件1~3を満たし、かつ2020年10月から2021年6月までの間で、3月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること及び2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少していること
※売上高の減少に代えて、付加価値額の45%の減少でも可。
補助額
- 【従業員数5人以下】100万円~500万円
- 【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
- 【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
補助率
- 【中小企業】3/4
- 【中堅企業】2/3
グリーン成長枠
以下の要件を全て満たすこと(売上高の減少は求めない)
要件
- 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加または従業員一人当たりの付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成
- グリーン成長戦略「実行計画」14分やの掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発または従業員の一定割合以上に対する人材育成もあわせて行う
補助額
- 【中小企業】100万円~1億円
- 【中堅企業】100万円~1.5億円
補助率
- 【中小企業】1/2
- 【中堅企業】1/3
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、派遣社員や契約社員などのキャリアアップや人材確保のために、助成金を支給する制度です。
本制度の受給対象は、常時雇用する労働者の数が50〜300人以下の中小企業で、コースによって支給条件が異なります。
各コースの支給条件・支給額を見ていきましょう。(※< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は大企業の額)
【正社員化支援】正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成
支給額
- 【有期→正規】1人当たり:57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
- 【無期→正規】1人当たり:28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
【処遇改善支援】賃金規定等改定コース
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し2%以上増額し、昇給した場合に助成
支給額
- 【対象者1~5人】1人当たり:32,000円<40,000円>(21,000円<26,250円>)
- 【対象者6人以上】1人当たり:28,500円<36,000円>(19,000円<24,000円>)
【処遇改善支援】賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成
支給額
- 【1事業所あたり】57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
【処遇改善支援】賞与・退職金制度導入コース
有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成
支給額
- 【1事業所あたり】38万円<48万円>(28万5,000円<36万円>)
【処遇改善支援】選択的適用拡大導入時処遇改善コース
※令和4年9月30日まで
選択的適用拡大の導入に伴い、有期雇用労働者等の働き方の意向を適切に把握し、社会保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、当該措置により新たに社会保険の被保険者とした場合に助成
支給額
- 【1事業者あたり】19万円<24万円>(14万2,500円<18万円>)
キャリアアップ助成金に関する相談は、各都道府県の労働局かハローワークにて行えます。
各コースの支給条件などは細かい規定がありますので、気になる方は「厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内」にてご確認ください。
助成金・補助金を申請するメリット
助成金・補助金を申請するメリットは、原則返済が不要で、かつ金融機関などからの信用が高まるという点です。
このようなメリットや恩恵が受けられる理由を詳しく解説します。
返済が不要
融資やローンなどとは異なり、助成金・補助金は原則返済が不要です。
例えば、事業用ローンは短期間で返済しなければならないケースが多いため、負担になりやすいです。
ですが、助成金・補助金は審査さえ通ってしまえば、利息も返済義務もない資金が手に入ります。
対象となる制度があれば、申請しておいて損はありません。
信用性が高まる
助成金・補助金を申請して受給までつながると、企業からの信用性が増します。
本制度は返済義務がありませんので、各審査の基準は厳しいものになります。
助成金・補助金の多くは事業計画書の作成や、面接審査などをクリアしなければ受給できません。
したがって、厳しい審査基準を通過したということは、事業の成功性が高い企業だと認められた証明になるのです。
助成金を申請するデメリット
ここでは助成金・補助金を申請するうえで知っておくべきデメリットを紹介します。
申請する際はあらかじめデメリットを理解したうえで申請しましょう。
基本的には後払い
助成金・補助金は、申請後すぐに支給されるわけではありません。
事前に作成した事業計画書に沿って事業を行い、実際に成果を報告して申請が通れば受給が決定されます。
したがって、すぐに資金が必要な場合に申請してもあまり効果が得られません。
特に開業時に助成金・補助金を利用するのであれば、資金は自身で用意し、後から少し返ってくるという認識でいた方が無難かもしれません。
公募の締め切り・審査落ちなどの理由でもらえないことも
受給資格を得るためには厳しい審査を通過する必要があり、事業計画書を作成したとしても、面接審査などで落とされるケースもあります。
また、助成金・補助金には公募期間が定められている場合もありますので、期間を過ぎると申請すらできません。
申請するまでに必要な書類を準備するのに時間がかかり、公募期間に間に合わないことも起こりかねませんので、公募期間内に申請を間に合わせるためにも、書類作成などの時間は十分に設けておきましょう。
まとめ
花屋の開業・経営におすすめの助成金・補助金を紹介してきました。
助成金・補助金の申請手続きは決して簡単ではありませんが、迷った場合商工会議所などに相談するとアドバイスが貰えることもあります。
今後の事業を円滑に進めるためにも、チャンスがあれば助成金・補助金は申請を検討することをおすすめします。