生花より長くお花を楽しむことができるドライフラワーは、店舗のディスプレイや自宅のインテリアとしても人気です。
自分で飾るためにドライフラワーを作りたい、プレゼントでもらったお花を長く残したいという気持ちから、ドライフラワー作りにチャレンジしようと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、どんな花でもドライフラワーに加工できるというわけではなく、種類によってドライフラワーに向いている花・向いていない花があります。
ドライフラワーを作るときは、花の特性を理解してうえでドライフラワーに適した花を選ぶことがポイントになります。
そこでこの記事では、ドライフラワーに向いている花と向いていない花の特徴、ドライフラワーにおすすめの花について解説します。
こんな方におすすめ
- 自分でドライフラワーを作ってみたい
- ドライフラワーに適した花の種類が知りたい
ドライフラワーに向いている花の特徴
ドライフラワーに向いているお花には、おもに以下のような特徴があります。
- 水分量が少ない
- 花びらが厚くしっかりしている
- 変色しにくい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
水分量が少ない
ドライフラワーは短時間で乾燥させることで、生花に近い色や形を残しやすいという面があります。
また、乾燥までの時間がかかってしまうと、そのあいだに花びらが劣化したり形が崩れてしまうというリスクも。
そのため、ドライフラワーに加工するなら短時間で乾燥させることができる、花や茎の水分量が少ない花が向いているといえます。
花に含まれる水分量は種類によって異なりますが、ラベンダー・カスミソウ・スターチスなどが水分量の少ない花として挙げられます。
花びらが厚くしっかりしている
バラのような花びらに厚みのある花は、乾燥させたときに形が崩れにくく花びらが落ちにくいため、ドライフラワーにすると綺麗に仕上がりやすくなります。
また、花は乾燥すると多少縮んでしまうので、マリーゴールドなどの花びらが大きく枚数が多い花もドライフラワーに適しています。
変色しにくい
きれいなドライフラワーに仕上げるためには、乾燥させても変色しにくい花を選ぶのもコツです。
特にミモザ・ケイトウなどの発色の鮮やかな花や濃い色の花は、ドライフラワーに加工しても色が抜けにくい傾向にあります。
生花とほとんど色の変化がないドライフラワーを作ることもできるので、種類だけでなく色で花を選んで見ても良いでしょう。
ドライフラワーに向いていない花の特徴
一方、ドライフラワーに適した花と反対の性質を持つ花は、乾燥させると色味がくすんでしまったり形が崩れやすいのでドライフラワーに向いていません。
加工の方法次第ではドライフラワーにできる場合もありますが扱いや作業にコツが必要なので、まずは手軽なハンギング法でドライフラワーを作りたいという方や初心者の方は、これから紹介する種類は避けた方が無難だといえます。
ドライフラワーに適さない花のおもな特徴は以下の3つですので、こちらも詳しく解説していきます。
- 水分量が多い
- 花びらが薄く繊細
- 花びらの色が淡く変色しやすい
水分量が多い
水分量の多い花は、乾燥するまでに時間がかかるため花の形が崩れやすいという点があります。
また、長く乾燥させると色が抜けやすい・シワシワになりやすいというデメリットもあります。
水分量の多い花にはユリ、ツバキ、キク、多肉植物などがありますので、きれいな色・形に仕上げたいのであればこれらの種類は避けた方が良いでしょう。
花びらが薄く繊細
ガーベラ、ヒマワリ、チューリップなど花びらが薄く繊細な花は乾燥させると脆くなり、ポロポロと散りやすくなります。
また、サクラなど花びらが小さい花もドライフラワーにすると崩れやすい傾向にあるため、シリカゲル法の場合でもかなり慎重に作業をする必要があります。
花びらの色が淡く変色しやすい
白や淡い色の花は、乾燥させると茶色くくすむ・黒ずむなど変色してしまうことが多くあります。
水分量が少なく花びらもしっかりしたバラなどであれば淡い色でも成功しやすい傾向にありますが、薄ピンクのガーベラや白いユリなどはドライフラワーには不向きといえるでしょう。
ドライフラワーにおすすめの花の種類
ドライフラワーに加工するのにおすすめの花をピックアップしました。
濃い色の花を選ぶことでより失敗も少なくなりますが、中にはカスミソウやミモザのように色が薄く小さい花でもドライフラワーにしやすい種類もあります。
作りたいドライフラワーのイメージに合わせて、花を選んでみてくださいね。
バラ
バラはドライフラワーの材料として、とても人気のある花です。
花や葉が大きいバラは、10日〜2週間程度かけてじっくり乾燥させるのが綺麗に仕上がるポイント。
満開ではなく8分咲き程度の状態で乾燥させることで、花の形も残りやすくなります。
乾燥後は少し黒ずみやすいので、初心者の方は色味が深まっても気になりにくい鮮やかで濃い赤色のバラがおすすめです。
ラベンダー
水分量が少ないラベンダーは、ハンギング法やドライインウォーター法で加工しやすいため、ドライフラワーの素材として良く利用されます。
上品なイメージに加え、ドライフラワーに加工してもその魅力的な香りが残るのも人気のポイントです。
特に開花直前の香りが強くなる時期に乾燥させ始めると、香りがしっかり残り形もきれいなドライフラワーに仕上がりやすくなります。
アジサイ
梅雨の風物詩であるアジサイも、ドライフラワーの素材として定番のお花です。
しかし、梅雨時に咲く花は水分量が多いためドライフラワーに多く利用されるのは、おもに開花後に退色した「秋色アジサイ」と呼ばれる花になります。
中でも、緑から白に変化しアンティーク風の茶色になる「アナベル」や、白い花からピンクに変わり赤みを増していく「ミナヅキ」などは、ドライフラワーとしてよく活用されています。
秋色アジサイは乾燥しやすいため、花瓶に生けた状態でドライ化させるドライインウォーター法とも相性が良いお花です。
カスミソウ
白い小さなお花を咲かせるカスミソウは変色もしにくく、ドライフラワーにおすすめのお花です。
茎が丈夫で水分量が少ないため、ハンギング法はもちろん、ドライインウォーター法やシリカゲル法との相性も良いとされています。
ただし、ドライフラワーのカスミソウは少しの刺激で花が落ちやすいため、リースなどに加工する場合は生花の状態で制作してから乾燥させるのが良いでしょう。
出来るだけ大きいお花がたくさんついているカスミソウを選んでドライフラワーにすると、ふわふわ感がある綺麗な仕上がりになります。
ミモザ
黄色い小さなお花が明るく可愛らしい印象のミモザ。
乾燥しやすくハンギング法で簡単にドライフラワーにすることができ、加工後も鮮やかな黄色を楽しめるので初心者の方でもきれいに作りやすい花です。
ミモザはそのまま飾るだけでなくリースやブーケ、スワッグなどにするのもおすすめですが、カスミソウと同じく乾燥すると花が落ちたり茎が折れやすくなるため、アレンジする場合は生花の段階で作業をしておきましょう。
スターチス
ひらひらしたレースのような見た目のお花が特徴的なスターチスは、乾燥に強く色の変化も少ないため、初心者でも鮮やかな発色のドライフラワーを作ることができます。
ドライフラワーにする場合、茎が丈夫で小花がしっかり咲いている状態のお花を選ぶのがポイント。
ピンクや黄色、紫などカラーバリエーションも豊富なので、好きな色を選んで作ってみてくださいね。
ケイトウ
赤やピンク、オレンジなどさまざまな花の色があるケイトウは、乾燥させても色や形がきれいに残りやすいのでドライフラワーにおすすめです。
形も特徴的なので、ほかの花とは違った個性的なドライフラワーに仕上がります。
注意点としては、花や葉が重なった状態で乾燥させるとカビが発生しやすいという点があります。
ドライフラワーにするときは、花同士が触れないようにして乾燥させましょう。
葉は大きめなので、不要であれば乾燥させる前に取り除いておくのがベストです。
ユーカリ
ユーカリはスワッグやインテリアとしても人気のある、ハーブの一種です。
清涼感のある香りはリラックス効果も高いとされており、アロマオイルなどの原料にも使用されています。
ユーカリは水分が抜けやすくハンギング法で作りやすいので、ドライフラワー作りが初心者の方にもおすすめです。
乾燥させても香りはほんのり残るので、ドライフラワーにしたものを部屋に飾るだけでその香りに癒されますよ。
ユーカリはドライフラワーにすると白みがかった緑に仕上がりますが、5月~8月の新芽が出る時期のユーカリは乾燥させると葉の先が黒くなりやすいので注意しましょう。
センニチコウ(千日紅)
コロンと丸い形が愛らしいセンニチコウ。
水分量が少なく、生花の状態でもカサカサとした感触のためドライフラワーに適しています。
センニチコウの花びらは硬めでしっかりしており、乾燥しても綺麗な形を保ってくれます。
また、色の変化も少なく鮮やかに残りやすいので、ドライフラワー初心者の方でも扱いやすいお花と言えるでしょう。
そのまま器に乗せるだけでも飴玉のように可愛く飾ることができますが、丸い形を活かしてアクセサリーなどに加工するのもおすすめです。
マリーゴールド
花びらがたくさん集まっている姿が可愛らしいマリーゴールド。
黄色やオレンジなどの明るい色も魅力ですが、ドライフラワーにしても生花とほとんど変わらない鮮やかな色味に仕上がります。
どの花もドライフラワーにすると多少縮んでしまいますが、マリーゴールドは花びら1枚ごとが細く薄いので、小さい花だとシワや形の崩れが目立つことも。
そのため、マリーゴールドをドライフラワーにするときは、大輪の花を選ぶのがポイントです。
また、花びらの枚数が多いので花びらのあいだに湿気がたまりやすい点も要注意です。
ドライフラワーに加工したあとも、できるだけ風通しの良い場所に飾るようにしましょう。
ベニバナ(紅花)
ふんわりした可愛い形が印象的なベニバナは、水分量が少なく乾燥させやすいためドライフラワーに適しています。
鮮やかな黄色と赤のカラーはドライフラワーにしても色褪せが少なく、生花とほぼ変わらない色味に仕上げることができます。
形もきれいに残りやすいので、ドライフラワーにすれば長くベニバナを楽しむことができます。
エリンジューム
エリンジュームは、ギザギザの花びらと青みのある色がとてもユニークな花です。
モダンな印象があり存在感も抜群のため、生花でもドライフラワーでも人気が高くなっています。
エリンジュームも水分量が少なく生花の時でもカサカサとした質感のため、乾燥させても形が綺麗な状態で残ります。
花びらの色も抜けにくく、独特の青紫色を保ったままドライフラワーにすることができます。
ユーカリなどグリーン系のドライフラワーと合わせてスワッグにするのもおすすめです。
デルフィニウム
透明感のあるカラーとやわらかい花びらが儚げな印象のデルフィニウム。
水分量が少なく乾燥させても色・形を保ちやすいので、きれいなドライフラワーにすることができます。
長さのある茎に小さな花がたくさん付いているため、扱う際は絡まらないように注意しましょう。
青や紫、ピンクなどさまざまな色があるため、スワッグやリースのほかボタニカルキャンドルの素材など、幅広い用途で活躍します。
まとめ
生花からきれいなドライフラワーを作るには、以下のポイントから花を選ぶようにしましょう。
- 水分量が少なく乾燥させやすい
- 花びらにしっかりとした厚みがある
- 花の色が濃く変色しにくい
当てはまらない花は絶対にドライフラワーにできないということではありませんが、吊るすだけの簡単な方法で作りたいときや初心者の方は、ドライフラワーに向いた種類の花を使うことで失敗も少なくなります。