この記事はこんな人におすすめ
- 胡蝶蘭の育て方が分からない
- 胡蝶蘭を健康に長持ちさせたい
胡蝶蘭は東南アジアなどの熱帯雨林原産の着生生物です。
ご家庭で育てる際は、原産地の環境に近づけることを意識してお手入れすると健康な胡蝶蘭に育てることができますよ。
熱帯雨林の環境には、以下のような特徴があります。
温度 | 一年中20℃〜28℃くらいの暖かい気候 |
---|---|
湿度 | 乾季は60%、雨季は90%程度の湿度が高い環境 |
日光 | 高い樹木が生い茂り、地表まで直射日光が届きにくい |
水分補給 | 頻繁に雨が降り、湿度が高いため空気中からも吸水できる |
この記事では、胡蝶蘭の最適な置き場所や水やり方法、季節ごとのお手入れ方法について解説していきます。
初心者の方に起こりやすいトラブルや、胡蝶蘭を長生きさせるための植え替え、肥料の与え方についても紹介します。
胡蝶蘭の置き場所に最適な環境
胡蝶蘭を育てる際にまず迷うことは、鉢の置き場所ではないでしょうか。
胡蝶蘭の置き場所に最適な環境は以下のとおりです。
温度 |
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光の当て方 | 直射日光を避けて半日陰の柔らかい光 |
風通し | そよ風程度の微風があり、空気が循環している環境 |
それぞれの項目について詳しく解説していきます。
また、上記の条件を踏まえて胡蝶蘭の置き場所の例を5選紹介します。
適した温度と湿度
胡蝶蘭を育てるのに理想的な温度と湿度は以下のとおりです。
- 温度:18~25℃
- 湿度:50~70%程度
胡蝶蘭は暖かく、多湿な環境を好みます。
日本の夏や冬は胡蝶蘭にとって過酷な環境ですので、基本的に室内の温度管理がされている部屋に置くのがおすすめです。
また、胡蝶蘭は空気中からも水分を吸収する性質があります。
湿気が低くなると弱ってしまう恐れがありますので、乾燥する時期は加湿器などを用いて湿度を調整しましょう。
胡蝶蘭は朝晩や季節ごとに若干の温度差をつけて管理すると、生長が促されます。
季節ごとの温度管理については「胡蝶蘭に理想的な温度!季節ごとの管理方法と失敗を防ぐコツ」で解説しています。
光の当て方
胡蝶蘭に光を当てる際は、直射日光を避けて半日陰の柔らかい光を当てるようにしましょう。
具体的には、以下のような光の当て方が最適です。
- 遮光ネット、カーテン越しに鉢を置く
- リビングなど明るい日陰に置く
太陽の光は胡蝶蘭にとって刺激が強く、冬でも直射日光が当たると葉が焼けてしまう恐れがあります。
遮光ネットやカーテンで光を和らげる、リビングなど間接光が入る明るい場所に置くようにしましょう。
ただし、時間帯によって太陽の位置が変わるため、日差しの向きを確認しておくようにしましょう。
胡蝶蘭に最適な日照条件、光を当てる時間については「胡蝶蘭は直射日光NG!最適な置き場所と日照環境を徹底解説」の記事でさらに詳しく解説しています。
風通し
そよ風程度の微風があると、水の吸い上げが良くなるなど植物にいい影響を与えます。
また、胡蝶蘭の根は蒸れやすいため、通気性を良くすると根が腐るのを予防できます。
風通しを良くするための方法には以下があげられます。
- サーキュレーターで空気を循環させる
- 窓を開けて換気する
サーキュレーターを使用する場合は、風が直接胡蝶蘭に当たらないよう注意しましょう。
胡蝶蘭に直接風を送るには避けた方がいいため、空気循環にはサーキュレーターを使うようにしましょう。
胡蝶蘭の置き場所例
胡蝶蘭の置き場所として選ばれやすいのは以下の5か所です。
リビングルーム |
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キッチンカウンター |
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書斎やオフィス |
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玄関・ エントランス |
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カーテン越しの窓辺(北向き) |
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人がいる時間帯が長い、または家族が集まる場所は気温・湿度が保たれやすい傾向があります。
リビングやキッチン、書斎などは胡蝶蘭にとっても最適な環境になっている場合があります。
また、エントランスや窓辺は明るさがあるため、胡蝶蘭に光を当てることができる利点があります。
ただし、扉や窓付近は外気の影響を受けやすいため冬場は鉢を移動するなどの対応を行いましょう。
水やりの方法
胡蝶蘭の基本的な水やりの方法は以下のとおりです。
- コップ1杯分(約200ml)の常温の水を用意する
- 1株ずつ根元に向けて水を与える
- 鉢底から流れ出た水を捨てる
胡蝶蘭の水やりは、根元にたっぷりお水を与えます。
初心者の方が陥りやすい勘違いに「少ない量の水を与える」というものがありますが、水量を減らす必要はありません。
植え込み材全体に水を行き渡らせるために、鉢底から流れ出すくらい水を与えるようにします。
ただし、受け皿などに流れ出した水が残っていると過湿の原因になるため都度捨てるようにしましょう。
適切な水やりタイミング
胡蝶蘭の水やりのタイミングは、根が乾いた頃合いになります。
植え込み材の乾き具合や根の色などを確認して判断するようにしましょう。
根が乾いた状態の目安としては、以下のような例があります。
- 水苔を触った際に、指が沈み込まずに乾いている
- バークが白っぽくなって乾いている
- 根が白っぽくなり、しわが出てきている
根がずっと水分に触れていると、呼吸ができなくなり腐る原因になってしまいます。
鉢内の空気を入れ替え、過湿を防ぐためにも胡蝶蘭は1度乾かす工程が必要です。
季節ごとの水やりの頻度
胡蝶蘭の根が乾くまでの時間は季節によって異なります。
以下のように季節ごとに水やりの頻度を調節しましょう。
季節 | 目安頻度 | 水量 | 時間帯 |
---|---|---|---|
春 | 1週間~10日に1回 | 200ml | 日中 |
夏 | 2~3日に1回 | 200~ 500ml |
朝、または夕方 |
秋 | 10日~2週間に1回 | 200ml | 日中 |
冬 | 2週間~1か月に1回 | 200ml | 午前中 |
1日の気温の変化が激しい春や秋、または鉢周りの通気性によっても根が乾くまでの期間に差が出る可能性があります。
上記の表は一例ですので、植え込み材の乾き具合を確かめながら微調整を行いましょう。
バーク栽培と水苔栽培の違い
胡蝶蘭の植え込み材には、バーク(樹皮)と水苔の2種類が使用されます。
それぞれの植え込み材には特徴があるため比較してみましょう。
水苔での栽培
水苔は贈答用胡蝶蘭などに用いられている資材です。
水苔で栽培する場合の特徴は以下のとおりです。
- 水やりのタイミングが分かりやすい
- 保水性が高く、水やり頻度を減らせる
- 過剰な水やり時の根腐れリスクが高い
- 水苔が完全に乾くと吸水しにくくなる
水苔は保水性が良いため、素焼き鉢と合わせて使用します。
手で押すと乾き具合を確認できるため水やりのタイミングが分かりやすいという特徴があります。
保水性の高さから、しっかり乾かさないと根腐れを起こしやすい植え込み材です。
バークでの栽培
バークは赤松などの樹皮を砕いた園芸用の資材です。
バーグで栽培する場合の特徴は以下のとおりです。
- 通気性が良く、根が呼吸しやすい
- 保水性が低くめで乾燥しやすい
- 根腐れが起こりにくい
- 水やりのタイミングが分かりにくい
水苔と比べると水はけが良いため、根腐れが起こりにくい特徴があります。
その分、水やりの頻度が高くなりがちで水をやり忘れた時に水不足になりやすい側面があります。
バーグは水やりタイミングの見極めが難しいため、透明なポリポットなどと合わせるのがおすすめです。
水苔で育ててみたものの、根腐れしてしまうという方はバーグでの育成にチャレンジしてみましょう。
胡蝶蘭への水やりについては以下の記事でより詳しく解説しています。
胡蝶蘭の水やりで失敗しない!季節別【頻度・量・時間】のコツと根腐れ対策
季節ごとの手入れ方法
胡蝶蘭は気温の変化を感じ取って株を生長させていきます。
また、季節ごとに気温や太陽光の強さが異なるため、胡蝶蘭の生長サイクルや環境に合わせたお手入れをするようにしましょう。
ここでは、季節ごとのお手入れ方法について紹介します。
春
春は胡蝶蘭の株の生長が始まる時期です。
最低気温が15℃以上になったら、水やりと光に当てる時間を増やして株を生長させましょう。
置き場 |
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水やり |
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注意点 |
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その他 | 肥料、植え替えは4月後半~6月頃が最適 |
春の胡蝶蘭の管理で注意する点は寒暖差と直射日光です。
3月は最高気温が15℃まで上がらない日も多いため、寒さ対策を行う冬の管理が必要です。
昼間の温度が高くても、朝晩の気温が低すぎると弱ってしまうため4月中旬ごろまでは注意しましょう。
4月の中頃を過ぎると、胡蝶蘭にとっては日差しがきつい季節がやってきます。
春の日差しでも胡蝶蘭は葉焼けしてしまうため、直射日光が当たらないようにしましょう。
夏
夏は胡蝶蘭の生長が最も活発になる成長期ですが、暑さで弱りやすい時期でもあります。
気温30℃を越えると胡蝶蘭は弱ってしまうため、室内で管理するか、打ち水など気温を下げる工夫が必要です。
置き場 |
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水やり |
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注意点 |
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その他 | 気温が30℃を越えると胡蝶蘭の生長が止まるため、肥料や植え替えは行わない |
梅雨の時期は胡蝶蘭の成長期ではありますが、日照不足や湿気の多さによる根腐れが心配です。
水やり頻度を調節したり、植物育成用のLEDライトを用いて乗り切りましょう。
また、夏場は病害虫被害が出やすい季節ですので予防を行っておきましょう。
害虫であれば地面から鉢を離して、定期的に虫がいないかチェックを行いましょう。
また、湿度が80%を越えるとカビや細菌が繁殖しやすくなるため、サーキュレーターで空気循環させるなど通気性を良くしておきましょう。
秋
秋は胡蝶蘭の生長が緩やかになり、花芽を出す季節です。
また、夏のダメージ回復や冬の準備を始める時期でもあるため、なるべくストレスを与えないようにしましょう。
置き場 |
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水やり |
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注意点 |
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その他 | 9月の残暑が収まった頃であれば植え替えが可能 |
秋は温度変化が大きいため、夏の管理→秋の管理→冬の管理に徐々に切り替えていく必要があります。
残暑が残っている間は夏のお手入れを行い、涼しくなってきたら水やり時間や頻度を秋に移していきます。
また、最高気温が18℃程度まで下がり、日照時間が短くなると胡蝶蘭は花芽を出します。
胡蝶蘭を少し涼しめの場所に置くと花芽が出やすくなりますよ。
ただし、11月以降は最低気温が10℃以下になる日もあるため、寒くなる場所に置かないよう注意しましょう。
冬
胡蝶蘭は寒さに弱いため、冬場は室内に置き、気温が下がらないための対策をしましょう。
また、水やりや葉水で胡蝶蘭が冷えてしまうケースがあるため、冬の水やり方法を確認しておきましょう。
置き場 |
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水やり |
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注意点 |
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場所にもよりますが、12月~2月は昼間の平均気温が12℃、朝晩が5℃程度と言われています。
胡蝶蘭は気温10℃を下回ると凍傷になってしまうため、気温15℃以上の室内で管理するようにしましょう。
また、冬場は水の冷たさで凍傷になることがあります。
水やりは水道水を直接ではなく、お湯と混ぜて常温やぬるま湯にしてから与えましょう。
冬は乾燥防止のために葉水を行うのが効果的ですが、葉の表面や付け根に水分が残っていると株を傷めてしまう可能性があります。
夕方になる前に水分を蒸発させておきましょう。
光合成に必要な二酸化炭素を夜間に取り込み、取り込んだ二酸化炭素で光合成をするためどちらかが足りないと光合成が足りず、葉が変色してしまう可能性があります。
花が終わった後のお手入れ方法
胡蝶蘭の花が終わった後は、基本的に以下を行います。
- しおれた花を摘み取る
- 花茎を切る
- 支柱を抜く
花茎を切る際は、年内にもう1度花を咲かせる「二度咲き」か、来年再び花を咲かせるかによって異なります。
来年もなるべく大きな花をたくさん咲かせたい場合は来年の開花を目指すのがおすすめです。
株に元気があって、もう1度お花が見たい方は二度咲きに挑戦してみるといいでしょう。
しおれた花を摘み取る
胡蝶蘭の花は、根元から順に咲いていきます。
花が終わったら、以下の手順でしおれた花を摘み取りましょう。
- 花の付け根(花首)をつまむ
- 付け根を軽くひねるか、ハサミで切り取る
胡蝶蘭は花が枯れると自然と落ちていくため、しぼんだりしわしわになっている花を切り取ります。
すでに終わりかけで見た目が悪くなっているお花が摘み取りの対象です。
見た目的にも良くないため、早めに摘み取ってしまいましょう。
花茎を切る
花茎の切り方は、二度咲きを目指すか、来年再び花を咲かせるかによって異なります。
二度咲きさせるか、1度株を休ませて来年花を咲かせるかは以下で判断を行います。
- 株が元気でエネルギーが残っている
- 厚みのある青々とした葉が3枚以上ある
- 根腐れ、病気を起こしていない
また、二度咲きに1度成功している胡蝶蘭はエネルギーをかなり消費している可能性があります。
三度咲きは目指さずに、根元で花茎を切って来年の開花に向けて株を育てるようにしましょう。
株に花を咲かせる元気がない、品種によっては二度咲きが難しいため挑戦するくらいの気持ちでやってみましょう。
二度咲きさせるなら節を残して切る
二度咲きに挑戦する場合は、以下の手順で花茎を切りましょう。
- 花が3分の1程度残っていることを確認する
- 下から3〜4番目の節を残して切る
- 念のため切り口に殺菌剤(トップジンMペーストなど)を塗る
胡蝶蘭を二度咲きさせるためのお手入れ方法は「胡蝶蘭をもう一度咲かせる!【簡単】プロが教える育て方と開花のコツ」で紹介しているので参考にしてくださいね。
来年再び花を咲かせる際は根元で切る
1度株を休ませて来年再び花を咲かせる場合は、以下のように花茎を根元からカットしましょう。
- 花が全て咲き終わったことを確認する
- 花茎を根元から1〜2cmの位置で切る
- 念のため切り口に殺菌剤(トップジンMペーストなど)を塗る
来年に再び花を咲かせたい場合も、株にエネルギーを残すという点では3分の1程度咲き終わった頃に花茎を切った方が花を咲かせやすくなります。
支柱を抜く
支柱は、花の重さで垂れ下がる花茎を支えるために設置されています。
花が終わった後は不要になるため、以下の手順で支柱を抜きましょう。
- 花茎を切った後、支柱を固定しているテープを外す
- 株元を押さえながら、支柱を引き抜く
支柱はしっかり埋まっているため、引き抜く際は根を傷つけないように気を付けましょう。
胡蝶蘭を長持ちさせるためのお手入れ方法
基本的な胡蝶蘭の育て方が分かったら、以下のお手入れについても確認しておきましょう。
- 植え替えを行う
- 成長期に肥料を与える
胡蝶蘭の株を長持ちさせるためには、植え替えや肥料を与えるのが有効です。
肥料は絶対与えなくてはいけないものではありませんが、植え替えは2~3年に1回程度行う必要があります。
行うのに最適な時期ややり方などを詳しく解説します。
植え替えを行う
胡蝶蘭の株が大きくなったり、植え込み材を使い続けていた場合は植え替えの作業が必要になります。
植え替えは胡蝶蘭にとっても負担が大きい作業のため、必要な時のみ行うようにしましょう。
ここでは以下の項目について解説します。
- 植え替えが必要なタイミング
- 植え替えに適した時期
- 植え替え手順
植え替えが必要なタイミング
胡蝶蘭の植え替えが必要になるケースは、主に以下の4つが考えられます。
- 2,3年植え替えをしていない
- 株が大きくなり、鉢から根が出ている
- 植え込み材が傷んでいる
- 根腐れ、病気などが発生している
胡蝶蘭は、基本的に2~3年に一度は植え替えが必要です。
株の生長により鉢が小さくなった、または植え込み材を取り替える時期が大体2~3年程度だからです。
しかし、植え込み材が傷んでいる場合や、根腐れ、病気が発生している際は早急な植え替えが必要です。
植え替えに適した時期
胡蝶蘭の植え替えに適した時期は以下の頃合いです。
- 最適な植え替え時期は4~6月
- 花が遅咲きだったら7月まで
- 株元がグラグラしているなら9月
胡蝶蘭の植え替えに最適な時期は4~6月頃です。
1日の最低気温が15℃以上になると、胡蝶蘭の株が生長を始め、新しい環境に順応しやすくなります。
しかし、花が咲いている時は植え替えできないため、遅咲きだった場合は7月上旬頃までに植え替えましょう。
また、春に植え替えができなかった、夏の暑さで株が弱って痩せてしまった場合は9月でも植え替えが行えますよ。
気温が高くなる7月後半~8月中は植え替えを控えて、少し涼しくなった頃に植え替えを行いましょう。
最低な植え替え時期が分かっても、急なトラブルなどで植え替えていいか迷うことがありますよね。
植え替え時期の詳細や、植え替えの判断ポイントについては「胡蝶蘭の植え替え時期はいつ?見分け方と判断ポイントを徹底解説」で詳しく解説しています。
植え替え手順
胡蝶蘭を植え替える手順は、以下のとおりです。
- 新しい鉢と植え込み材を用意する
- 古い鉢から胡蝶蘭を取り出す
- 植え込み材を取り除き、傷んだ根を切る
- 新しい鉢に植え込み材を敷き、胡蝶蘭を置く
- 新しい植え込み材を入れ、軽く押さえて固定する
- 植え替え後は10日程度水やりを控える
胡蝶蘭の植え替えは、植え込み材に水苔とバーグのどちらを使うかで若干異なります。
また、水苔の場合は乾燥水苔をふわふわの状態に戻しておく必要があるため事前に準備しておきましょう。
水苔、バーグ別の詳しい植え込み手順や、植え替えの際に注意する点については以下の記事でより詳しく解説しています。
【失敗しない胡蝶蘭の植え替え】時期・方法・注意点|プロが教える成功の秘訣
成長期に肥料を与える
胡蝶蘭は少ない栄養で育つ植物ですが、株の生長を促進したい時や来年も花を咲かせたい場合は肥料を与えるという選択肢があります。
肥料は与え方を間違えると逆に胡蝶蘭を枯らしてしまうため、以下の点を事前に確認しておきましょう。
- 肥料を与えるタイミング
- 肥料の種類
- 肥料の与え方
肥料を与えるタイミング
胡蝶蘭に肥料を与えるタイミングは、4~9月頃です。
ただし、場合によっては胡蝶蘭が肥料を吸収できない状態になっているため、以下を確認してみましょう。
- 気温が15~30℃の間
- 花が咲いていない時
- 株が生長している
胡蝶蘭が肥料を必要としているのは、花が終わり、新しい根や葉を伸ばして生長している時期のみになります。
気温が低すぎる4月初め頃や、暑すぎる7月後半~8月は株の生長が止まるため与えないようにしましょう。
植え替え後の胡蝶蘭は、新しい環境に慣れるために生長が止まってしまいます。
肥料を与えても吸収できず、肥料焼けの原因になるため注意しましょう。
肥料の種類
胡蝶蘭に与える肥料には、以下の4種類があります。
液体肥料 |
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固形肥料 |
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有機肥料 |
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化学肥料 |
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胡蝶蘭を育てる際に、特に重要になるのが「液体肥料」と「固形肥料」です。
液体肥料と固形肥料では効果期間や与え方、肥料焼けの起こりやすさなどが異なります。
初心者の方は効果がゆっくりな固形肥料を与える方が肥料焼けで枯らしてしまうリスクは少なくなります。
肥料の与え方
肥料は、「液体肥料」と「固形肥料」のどちらを使うかによって与え方が異なります。
液体肥料と固形肥料の与え方は、それぞれ以下のとおりです。
液体肥料 |
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---|---|
固形肥料 |
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肥料の稀釈率、与える頻度なども製品ごとに異なります。
説明書や使い方を確認して過剰投与にならないように気をつけましょう。
説明書きの稀釈率は1,000倍ですが、肥料焼けが心配な場合は稀釈率を2倍(2000倍)にして使用しましょう。
害虫の予防と駆除を行う
胡蝶蘭が弱ってしまう原因の1つに、害虫の被害があげられます。
害虫の中には、1度発生してしまうと駆除が大変な種類がいます。
見つけ次第駆除するのはもちろんですが、なるべく発生させないように予防を行いましょう。
よく発生する害虫と駆除方法は以下のとおりです。
カイガラムシ | 症状 | 葉の裏に茶色の粒が付いている |
---|---|---|
駆除 方法 |
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ハダニ | 症状 | 葉がベタベタする、白斑が見られる |
駆除 方法 |
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アブラムシ | 症状 | 黄色い虫の大群がついている |
駆除 方法 |
|
害虫を発生させない予防法
胡蝶蘭に害虫を発生させないための予防策は以下のとおりです。
- 木酢液を撒く
- 胡蝶蘭の適温で管理する
- 葉が乾燥しないように気を付ける
- 風通りの良い日陰に置く
- 水やりを適切に行う
木酢液を用いて虫よけを行うほか、乾燥や水のやりすぎによって害虫を寄せ付けてしまう場合があります。
胡蝶蘭を適切に育てるだけで予防できる害虫もいるためお手入れを欠かさないようにしましょう。
胡蝶蘭に寄生するそのほかの害虫と駆除方法については以下の記事で詳しく解説しています。
胡蝶蘭に寄生した害虫を駆除する方法は?被害を受けないための対策方法も解説
胡蝶蘭に起こりやすいトラブルと対処法
胡蝶蘭を育て始めた初心者の方によく起こるトラブルは以下のとおりです。
- 根腐れ
- 水不足
- 葉焼け
- 凍傷
ここでは、それぞれの症状や対処法について確認していきましょう。
根腐れの症状と対処法
根腐れは、水や肥料のやりすぎで根が腐ってしまう症状です。
根が腐ってしまうと、水分や養分が吸収できなくなって最悪枯れてしまいます。
根腐れは花→葉→根の順に広がっていくため、なるべく早期発見して対処しましょう。
症状 |
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対処法 |
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予防策 |
|
根腐れは、進行具合によって症状や対処法が異なります。
症状が軽ければ植え替えを行わなくても復活できるため、詳しくは以下の記事を確認してみてくださいね。
胡蝶蘭の根腐れ【原因・症状・復活】プロが教える対処法と予防策
水不足の症状と対処法
水不足は、胡蝶蘭への水やりが少なすぎることが原因で起こります。
胡蝶蘭への水やりの頻度を見直してみましょう。
また、胡蝶蘭は空気中の水分からも水分補給をしています。
水やりに加えて、湿度を保つことで水不足の症状が緩和する場合があります。
症状 |
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---|---|
対処法 |
|
予防策 |
|
水不足と根腐れは現れる症状がよく似ています。
見分け方や正しい水やり方法は以下の記事を参考にしてくださいね。
胡蝶蘭の水不足を見分ける9つの症状と原因|初心者でもできる対策
葉焼けの症状と対処法
葉焼けは主に強すぎる日光にさらされることで起こります。
葉焼けの症状は、放置していると広がってしまうため早めに処置しましょう。
症状 |
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---|---|
対処法 |
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予防策 |
|
凍傷の症状と対処法
胡蝶蘭は寒さに弱く、10℃以下の環境に置くと凍傷を起こす恐れがあります。
胡蝶蘭の葉はほとんど水分でできており、細胞が凍るとそのまま枯れてしまうため注意が必要です。
症状 |
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---|---|
対処法 |
|
予防策 |
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まとめ
胡蝶蘭を育てる際は、原産地である熱帯雨林の環境に近づけることを意識してみましょう。
熱帯雨林は年中暖かく、湿度が高いため、胡蝶蘭の置き場所は以下のような場所が最適です。
温度 |
|
---|---|
光の当て方 | 直射日光を避けて半日陰の柔らかい光 |
風通し | そよ風程度の微風があり、空気が循環している環境 |
室内で管理する場合は、リビングやキッチンカウンター、書斎などが置き場所として選ばれています。
胡蝶蘭に水やりを行う際は1株につきコップ1杯程度の水を根元に与えます。
胡蝶蘭は根も呼吸をしているため、植え込み材が乾いてから水やりをする必要があります。
水やりの頻度は季節ごとに以下のように調節しましょう。
季節 | 目安頻度 | 水量 | 時間帯 |
---|---|---|---|
春 | 1週間~10日に1回 | 200ml | 日中 |
夏 | 2~3日に1回 | 200~ 500ml |
朝、または夕方 |
秋 | 10日~2週間に1回 | 200ml | 日中 |
冬 | 2週間~1か月に1回 | 200ml | 午前中 |
また、日本の夏や冬は胡蝶蘭には過酷なため、置き場所や管理方法も季節ごとに調節していくといいですよ。
胡蝶蘭の株を長持ちさせたい場合は、植え替えや肥料の与え方についても確認しておきましょう。
育て始めて1~2年が経つと、植え込み材が傷んだり、農園で貰った肥料が尽きるため必要になるお手入れです。
胡蝶蘭を育てるのは難しいと思われがちですが、コツを掴めば初心者の方でも健康に育てることができます。
基本的な育て方を身に着けて、来年も胡蝶蘭のお花が咲くように挑戦してみましょう。
よくある質問(Q&A)
胡蝶蘭の花が終わったらどうする?
花が終った後の対応としては、以下の3つがあります。
- しおれた花を摘み取る
- 花茎を切る
- 支柱を抜く
花茎を切る位置は、胡蝶蘭の二度咲きに挑戦するか、来年再び花を咲かせるかによって異なります。
二度咲きの場合は下から3~4節目の上、来年花を咲かせる場合は根元から1~2cm程度の場所で花茎を切りましょう。
冬場の管理方法は?
冬の間は室内に胡蝶蘭を置き、室温15℃以上(最低10℃以上)を保つように心がけます。
胡蝶蘭は気温が10℃以下になると凍傷になりやすくなるため注意しましょう。
また、冬は空気が乾燥しやすいため加湿器や葉水による乾燥対策が必要です。
温度・湿度の維持が難しい場合は、ビニール袋などを用いて胡蝶蘭に寒さ対策を行うことで解消できる可能性があります。
寒さ対策の具体的な方法、役立つアイテムについては「胡蝶蘭の寒さ対策|失敗しない温度管理と置き場所の選び方」で詳しく解説しています。
胡蝶蘭が病気になったらどう対処すればいい?
病気の種類によって対処法が異なります。
胡蝶蘭の病気については「胡蝶蘭の元気がない!原因別対処法と復活させるコツ【プロ監修】」で解説しています。
当てはまる症状がないか確認してみましょう。
水やりを忘れた場合の対処法は?
1日、2日程度水やりを忘れたのであれば、翌日の午前中に水やりを行います。
植え込み材を触って乾いていることを確認してから水を与えましょう。
しばらく水やりをしていなかったのであれば、水苔が固まっている場合があります。
普通に水をやっても吸水せずに鉢外に水が流れてしまうため、以下の対処法を行いましょう。
- 鉢全体を15分程度水に浸す
- 鉢から余分な水分が流れ出るのを待つ
葉が黄色くなる原因とその対策は?
胡蝶蘭の葉が黄色くなる原因には、寿命、根腐れ、栄養不足など様々な原因が考えられます。
葉が黄変した原因によって対応が異なります。
胡蝶蘭の葉が黄色くなる原因や対策は「胡蝶蘭の葉が黄色くなった!7つの原因と対処法を解説」で解説しています。
葉を黄色くしないための日常のお手入れ方法も紹介しているため参考にしてくださいね。
胡蝶蘭の葉がしわしわなのはどうして?
胡蝶蘭の葉がしわしわになった原因には、水不足と根腐れが考えられます。
それぞれの対処法は以下のとおりです。
水不足 | 水やりの頻度を増やす |
---|---|
根腐れ |
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根腐れは進行度合いによって対処法が異なります。
軽い根腐れであれば、根を乾かして水やり頻度を減らせば改善する場合があります。
1度根を切ってしまうと元に戻すのに時間がかかるため、根の状態をしっかり確認しましょう。
胡蝶蘭を外に土植えしても大丈夫ですか?
胡蝶蘭は根が呼吸をしているため、土に植えると呼吸ができずに枯れてしまいます。
また、直射日光に当たると葉が焼けて枯れてしまうため、外の土植えには向きません。
水苔、バーグなど鉢内にも空気が通る植え込み材を使用して、なるべく室内に置く育て方が向いています。