胡蝶蘭の育て方

胡蝶蘭のペットボトル栽培を解説!水栽培のやり方と植え込み材を使った育て方

胡蝶蘭のペットボトル栽培「水栽培のやり方」「水苔、バークの植え替え」

Bloom Note編集部

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この記事はこんな人におすすめ

  • ペットボトルを用いた水栽培に興味がある
  • 水苔、バークを使ってペットボトルに植え替えたい
  • 胡蝶蘭でペットボトル栽培を行う際のお手入れ方法が知りたい

胡蝶蘭を育てる方法の中にペットボトルを使った栽培方法があるのをご存知でしょうか。
ペットボトルには、以下の活用方法があります。

  • 水栽培(+空中栽培)
  • ペットボトル鉢で栽培する
  • ペットボトル温室

水だけで育てる水栽培、鉢の代わりにペットボトルを使う方法が主流ですが、簡易的な温室として使うこともできます。

この記事では、ペットボトル栽培の方法について解説していきます。
ペットボトルを使った水栽培のやり方や、水苔・バークでペットボトルに植え替える方法なども解説しています。

胡蝶蘭栽培でのペットボトルの活用方法3選

胡蝶蘭を育てる上でペットボトルは様々な役に立ちます。
ペットボトルの活用方法には、主に以下の3つがあります。

  • 水栽培(+空中栽培)
  • ペットボトル鉢で栽培する
  • ペットボトル温室

まずはそれぞれの活用方法の概要を確認してみましょう。

水栽培(+空中栽培)

ペットボトルによる水栽培は、基本的に植え込み材を使わずに水だけで育てます
鉢などの園芸用品を用意する必要がなく、お家にある材料で始められる栽培方法です。

ペットボトルで水栽培を行う際のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 根が直接観察できる
  • 水やりが簡単
  • 植え込み材が不要
デメリット
  • ガラス瓶等を用いた水栽培より設置の手間がかかる
  • 小まめな観察や水量調節が必要
  • 株が大きくなると倒れる恐れがある

ペットボトルが透明なため、根の生長を目で確認することができ、水やりのタイミングが分かりやすいのが特徴です。
また、今回紹介するのはペットボトルのキャップ部分を活用する栽培方法ですので水やりが簡単です。

デメリットとしては、ペットボトルの加工や設置の手間がかかることや、転倒のリスクがあることです。

胡蝶蘭の水栽培は、本来であれば底が広いガラス瓶などの器が最適だと言われています。
ペットボトルは縦長の器になり、ガラスと比べると軽いため倒れやすくなります。

BloomNoteライター
胡蝶蘭の転倒防止のため、ペットボトルを吊るして空中栽培の設置方法を行っている方もいらっしゃいます。
どちらかと言うと、ペットボトルの水栽培は置くより吊るして管理している方の方が多い印象がありますね。

ペットボトル鉢で栽培する

ペットボトル栽培には、植木鉢の代わりにペットボトルを鉢にして胡蝶蘭を植える方法があります。

ポリポットの代わりにバークで植えされていることが多いですが、ペットボトルの加工などで通気性を確保できれば水苔で植えることも可能です。

ペットボトル鉢で栽培を行う際のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 根が直接観察できる
  • 鉢がいらないため、急な植え替えに対応できる
デメリット
  • 気温や直射日光などに注意が必要
  • 植え込み材ごとにペットボトル加工が必要

ポリポットのように根が直接確認できるため、根の生長を見守ったり根の乾き具合が分かりやすい利点があります。
また、鉢を用意する必要がないためホームセンターに行けない時にでも植え替えが行えます。

注意点としては、ペットボトルは外気温や直射日光で変形する恐れがあるため置き場所に注意しましょう。
また、水苔とバークで排水性が異なるため、ペットボトルの底や側面への穴のあけ方を変えるようにしましょう。

ペットボトル温室

小さな胡蝶蘭であれば、ペットボトルは簡易温室として利用できます。
主に保湿対策として有効な手段ですので、湿度を保って発根を促したい場合など弱った株の養生に使えます。

ペットボトル温室自体は保温性が低いため、越冬に利用する場合は他の暖房器具と組み合わせましょう。

ペットボトルを半分に切って鉢ごと入れる、または被せるだけなので他の栽培方法に比べて加工が簡単な特徴があります。

水栽培(+空中栽培)のやり方

まずはペットボトルを使った水栽培のやり方を見ていきましょう。
ここでは、以下の4点について解説します。

  • 準備するもの
  • ペットボトルの加工方法
  • 植え替え手順
  • 水やり方法

準備するもの

ペットボトルで水栽培を行う際は、ペットボトルを加工するための道具と、植え替え用の道具の両方が必要です。
準備する道具は、それぞれ以下のとおりです。

ペットボトル加工用
  • ペットボトル
  • はさみ(カッター)
  • テープ、またはやすり
  • キリ(穴をあける道具)
  • 軍手
植え込み用
  • 花が咲き終わった株
  • 根を剪定するハサミ

空中栽培と組み合わせる場合は、必要に応じてワイヤーペットボトルを入れる容器などを用意しましょう。

ペットボトルの加工方法

水栽培+空中栽培

ペットボトルを吊るして水耕栽培を行う場合と、水栽培のみを行う場合でペットボトルの加工方法が若干異なります。
ここでは、以下の2パターンのペットボトルの加工方法を紹介します。

  • ペットボトルだけで水栽培する場合
  • ペットボトルを吊るす場合

ペットボトルだけで水栽培する場合

ペットボトルを吊るさず、水栽培だけで育てる場合はペットボトル全体を活用します。
ペットボトルの加工手順は以下のとおりです。

  1. ペットボトルを真ん中で半分に切る
  2. 切った断面を削る、またはテープを巻く
  3. ペットボトルの頭と底の両方の断面を滑らかにする
  4. キャップを下にして、ペットボトルの底にはめ込む

ペットボトルの切断面をそのままにしておくと、手を切ったり胡蝶蘭の葉が傷つく原因になります。
テープを巻く、やすりで削るなど表面を滑らかにしておきましょう。

以上でペットボトルの加工は終了です。
次は胡蝶蘭の植え替えを行いましょう。

ペットボトルを吊るす場合

ペットボトルを吊るして水栽培を行う場合は、ペットボトルのキャップがある頭部分のみを使います。
加工手順は以下の通りです。

  1. 根が入る大きさでペットボトルを切る
  2. 切った断面を削る、またはテープを巻く
  3. ペットボトルを直接吊るす場合は、針金用の穴をあける

空中栽培のように飾る場合は、ペットボトルを直接吊るすか、吊るした容器の中にペットボトルを入れるかの2択になります。
必要に応じて上記の③の工程を行いましょう。

胡蝶蘭を吊るす手順や、設置場所の選び方については「【胡蝶蘭を吊るす】空中栽培のやり方やメリット、育て方を解説」で解説しているため参考にしてくださいね。

植え替え手順

胡蝶蘭を水栽培に植え替える手順は、以下のとおりです。

  1. 胡蝶蘭を鉢から取り出す
  2. 古い植え込み材を取り除く
  3. 胡蝶蘭の傷んでいる根を切る
  4. ペットボトルに胡蝶蘭の株を入れる
  5. 1週間~10日ほど水やりを止めて株を休ませる

鉢から株を取り出し、根を剪定した後は胡蝶蘭の株をペットボトルに上から入れます
環境に慣らし、根を乾かしてから水やりを再開しましょう。

水やり方法

水栽培での胡蝶蘭への水やりはペットボトルに水を入れる→乾かすの繰り返しになります。
水の入れ方には以下の2パターンがあります。

  • 根の先を1~2cmだけ水に浸ける
  • 根の付け根(8分目程度)まで水に浸ける

胡蝶蘭の根の調子、または株自体の個体差によってどちらが適しているかは変わってきます。
最初は根の先だけ水に浸けて、様子を見つつ調整するようにしましょう。

根の先を1~2cmだけ水に浸ける

根の先を少しだけ水に浸ける場合は、以下の方法で水を与えます。

  1. 根の先を1~2cmだけ水に浸ける
  2. 水が蒸発するまで放っておく
  3. 胡蝶蘭の根が乾いたら水を足す

水が蒸発してもすぐに水をやらず、根が乾いたか一度確認してから水を足しましょう。
目安としては、1週間後にペットボトル内の水が無くなって根が乾いているか確認してみるといいでしょう。
根の付け根部分の乾燥が気になる場合は、葉水を行うのも有効です。

また、水の蒸発が遅かったり葉水がペットボトル底に残っている場合はキャップのあけて水抜きをしましょう。

BloomNoteライター
植え替え直後の胡蝶蘭は、植え込み材に埋まっていた環境に適した根になっています。
根が水栽培の環境になれるまでは水やりは根の先が浸かるくらいにしておくと根腐れを防止できます。
胡蝶蘭の根腐れについては「胡蝶蘭の根腐れ【原因・症状・復活】プロが教える対処法と予防策」をチェックしてみましょう。

根の付け根(8分目程度)まで水に浸ける

根の付け根まで水に浸ける場合は、以下の方法で水を与えます。

  1. 根の付け根(8分目程度)まで水に浸ける
  2. 3日ほど経ったら水を捨てる
  3. 必要に応じてキャップをあけて根を乾かす
  4. 3,4日根を乾かしたら水を足す

浸けておく日程は、季節によって調整を行いましょう。
春、夏の成長期は3日ほど浸けて5日ほど乾かす、冬場は少なめの水で1日浸けて1週間ほど乾かすなど胡蝶蘭の生長に合わせましょう。

BloomNoteライター
冬場の水やりの場合は、水温にも注意しましょう。
浸けたまま置いておくと冬場は水温が下がってしまう恐れがあります。

ペットボトル鉢栽培のやり方

ペットボトル鉢で栽培するやり方について、以下の4点について解説します。

  1. 準備するもの
  2. ペットボトルの加工方法
  3. 植え替え手順

ペットボトルに入れて栽培する場合、水苔とバーグでペットボトルの加工方法が異なります
ペットボトルの頭に植える場合(水苔向き)」「ペットボトルの底に植える場合(バーク向き)」でそれぞれの加工方法についても紹介します。

準備するもの

ペットボトル鉢を作る用と植え替え用の道具を準備しましょう。
準備する道具は、それぞれ以下のとおりです。

ペットボトル加工用
  • ペットボトル
  • はさみ(カッター)
  • テープ、またはやすり
  • キリ(穴をあける道具)
  • 軍手
植え込み用
  • 花が咲き終わった株
  • 植え込み材(水苔またはバーク)
  • 根剪定用のハサミ
  • 受け皿(バーク植えの場合)

ペットボトルの加工方法

水苔とバークで形状と排水性が異なるため、それぞれの植え込み材に合わせた植え方を行いましょう。
ここでは、以下の2パターンのペットボトルの加工方法を紹介します。

  • ペットボトルの頭に植える場合(水苔向き)
  • ペットボトルの底に植える場合(バーク向き)

ペットボトルの頭に植える場合(水苔向き)

ペットボトルの頭に植える場合(水苔向き)

水苔で植える際は通気性を確保したいため、ペットボトルの頭の部分に胡蝶蘭を植えます。
ペットボトルを半分で切り、頭部分と底部分の両方を活用します。

ペットボトルの加工方法の手順は以下のとおりです。

  1. ペットボトルを真ん中で半分に切る
  2. 切った断面を削る、またはテープを巻く
  3. ペットボトルの頭と底の両方の断面を滑らかにする
  4. ペットボトルの頭側に通気用の穴を複数開ける
  5. キャップを下にして、ペットボトルの底にはめ込む

ペットボトルの底に植える場合(バーク向き)

ペットボトルの底に植える場合(バーク向き)

バークは通気性が良く、チップ状になっているためペットボトルの底を使った植え方をします。
ペットボトルを半分に切り、底の部分だけを使います。

ペットボトルの加工方法の手順は以下のとおりです。

  1. 根を入れて5cm程度空白ができる位置を確認する
  2. ペンなどで切る位置の印をつける
  3. ペットボトルを垂直に切る
  4. 切った断面を削る、またはテープを巻く
  5. ペットボトル底に通気用の穴を複数開ける

植え替え手順

ペットボトルへの植え替え方は、通常の植え替え方法と同様です。
胡蝶蘭の植え替え手順は以下のとおりです。

  1. 胡蝶蘭を鉢から取り出す
  2. 古い植え込み材を取り除く
  3. 胡蝶蘭の傷んでいる根を切る
  4. ペットボトルに植え込み材と胡蝶蘭を入れる
  5. 株がグラつかないように隙間に植え込み材を入れる

水苔の場合は根っこを包むように絡ませてからペットボトルに詰めましょう。
バークは最初に少量を敷き詰め、最後に隙間を埋めるように根の間に入れていくと上手くいきますよ。

水苔とバークの詳しい植え込み手順については「【失敗しない胡蝶蘭の植え替え】時期・方法・注意点|プロが教える成功の秘訣」を参考にしてくださいね。

まとめ

胡蝶蘭をペットボトルで栽培する方法は、主に以下の2通りがあります。

水栽培
  • 植え込み材を使わず、水だけで胡蝶蘭を育てる方法
  • 根の状態を観察しやすく、水やりも簡単
  • 転倒のリスクがある
  • 小まめな観察と水やり調整が必要
ペットボトル鉢で栽培
  • ペットボトルを鉢として使う
  • 水苔やバークで胡蝶蘭を育てる
  • 根の状態を観察しやすい
  • 鉢を用意する必要がない

ペットボトル栽培では主に「水栽培」か「ペットボトル鉢での栽培」のいずれかを指しています。
鉢を用意する必要がなく、根を直接観察することができるため水やりの頻度などが分かりやすい育て方です。

また、ペットボトルは保湿性に優れているため、簡易温室としても利用することができますよ。

ペットボトル栽培に興味がある方は、栽培方法や植え替え方法について確認してみましょう。

よくある質問

胡蝶蘭をペットボトルで育てるメリットは何ですか?

根の状態を直接確認できるため、根の乾き具合が分かりやすく、水やり頻度の参考になります。
根の生長が目に見えるため胡蝶蘭を育てる楽しさを実感しやすい点もメリットです。

また、鉢を用意する必要がないため、経済的です。

ペットボトル栽培のデメリットは何ですか?

置き場所や温度管理に注意する必要があります。
特に冬場は胡蝶蘭への寒さ対策が行いましょう。

また、水栽培は湿度管理を間違えるとカビや根腐れが発生する恐れがあります。

どんな種類のペットボトルが適していますか?

透明で丈夫なペットボトルが適しています。
飲料用のペットボトルを洗って再利用するのがいいでしょう。

どのくらいの大きさのペットボトルが適していますか?

胡蝶蘭の株の大きさに合わせて選びましょう。
一般的には、2リットル程度のペットボトルが使いやすいです。

ペットボトルに穴を開けるのはどのくらいが適切ですか?

水苔を使う場合は、通気性を確保するために側面に数カ所穴を開けます。
バークを使う場合は、底面に穴を開けることが多いです。

肥料はどのように与えますか?

胡蝶蘭の成長期に、水やりと同時に与えます。
水栽培の場合は肥料焼けを起こしやすいため、既定の分量より多めに稀釈しましょう。

メネデールであれば、水やりと同時にいつでも与えて構いません。

ペットボトル温室のメリットは何ですか?

湿度を保ちやすいため、発根を促すことができます。

胡蝶蘭の種類によって、栽培方法は変わりますか?

基本的な育て方は同じですが、品種によって生育速度や耐寒性などが異なる場合があります。
また、胡蝶蘭によって好む栽培方法が異なるため都度調整しましょう。

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