胡蝶蘭はお祝いや贈り物で人気なため、人からプレゼントされる機会もあると思います。
手間がかからないお花だと言われていますが、育て方が分からないと「放っておいて大丈夫なの?」と迷ってしまう方もいらっしゃいますよね。
胡蝶蘭は少ないお世話で育ちますが、何もせずに放置しておくといずれ枯れてしまいます。
水をやらなければ水不足になり、置き場所の環境が合わなければ葉焼けや凍傷を起こす可能性があります。
この記事では、胡蝶蘭をほったらかしにするとどうなるのか対処法と合わせて紹介します。
胡蝶蘭を簡単に育てられる方法についても解説しているので、お世話にあまり手をかけたくないという方はぜひ参考にしてください。
この記事を読むと分かること
- 胡蝶蘭はほったらかしにすると枯れる
- 放置した胡蝶蘭に起きる症状と対処法
- 胡蝶蘭の簡単な育て方
胡蝶蘭はほったらかしでも育てられる?
胡蝶蘭は他の花に比べて手間がかからないと言われていますが、完全にほったらかしにすると胡蝶蘭は枯れてしまいます。
胡蝶蘭は乾燥に強いものの、水やりをしないと育ちません。
また、育成に適した環境でないと、根や株が弱って病気になってしまいます。
しかし、胡蝶蘭は置き場の環境を整えて適度に水やりをすれば比較的簡単に育てることが可能です。
せっかくいただいた胡蝶蘭を枯らしてしまうのはもったいないので、ほったらかしにせずキレイな花を咲かせましょう。
ほったらかしにした胡蝶蘭に起こる症状・対処法
胡蝶蘭はお世話をせずに放置しておくといつかは枯れてしまいます。
ほったらかしにした胡蝶蘭には、以下のような症状が発生するおそれがあります。
- 水不足
- 葉焼け
- 根腐れ
- 低温による凍傷
- 病気や害虫による被害
それぞれの症状と対処法について詳しくご紹介します。
水不足
ほったらかしにした胡蝶蘭で起こる症状として最も多いのが水不足です。
胡蝶蘭が水不足になった場合の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 |
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対処法 |
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胡蝶蘭が水不足になると、花や葉、根などに症状が現れます。
花が咲いている場合は、まず花が萎れたり、枯れるなどの症状が出ます。
水不足状態が続くと株は生き残るために、花や葉を枯らしてエネルギーを維持します。
花が一気に落ちたり、葉が変色するなどの変化が見られる場合は、水不足を疑いましょう。
水不足の症状については、以下の記事でより詳しく解説しています。
胡蝶蘭の水不足を見分ける9つの症状と原因|初心者でもできる対策
葉焼け
胡蝶蘭は明るい場所を好みますが、日光を直接当てると葉焼けを起こしてしまう恐れがあります。
胡蝶蘭が葉焼けを起こした際の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 |
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対処法 |
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葉焼けは自然に回復することがなく、そのまま放っておくと火傷が葉全体に広がっていきます。
葉焼けしていることに気付いたら、早めに処置することが大切です。
胡蝶蘭に直射日光が良くない理由や、最適な日の当て方については以下の記事を参考にしてくださいね。
根腐れ
鉢の通気性が悪い、植え込み材が傷んでいると根腐れを起こす可能性があります。
胡蝶蘭が根腐れを起こした際の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 |
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対処法 |
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根腐れは花、葉、根の順に症状が現れ、根が腐るほど胡蝶蘭の再生が難しくなります。
根腐れを起こさないように予防したり、なるべく早期発見できるように対策することが大切です。
胡蝶蘭が根腐れした時の部位別の症状や、再生方法については以下の記事で詳しく解説しています。
胡蝶蘭の根腐れ【原因・症状・復活】プロが教える対処法と予防策
低温による凍傷
胡蝶蘭は寒さに弱いため、特に冬場など気温が下がる時期は注意が必要です。
胡蝶蘭が凍傷になった際の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 |
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対処法 |
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胡蝶蘭は10℃以下になると凍傷を起こすリスクにさらされます。
胡蝶蘭の葉は多くが水分でできているので、細胞が凍るとそのまま枯れてしまいます。
一年中温度が保たれる暖かい場所で育てることで、低温による被害を受けることなく元気に育てることが可能です。
室内の温度を保つことが難しい場合は胡蝶蘭に寒さ対策を行うと凍傷を防げる可能性があります。
胡蝶蘭への寒さ対策については、以下の記事で紹介しています。
病気や害虫による被害
胡蝶蘭をほったらかしにしておくと、病気や害虫の被害を受けても気付きにくく、被害が拡大する恐れがあります。
胡蝶蘭が被害を受けやすい病気と害虫は以下のとおりです。
病気 |
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害虫 |
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害虫や病気は胡蝶蘭を弱らせたり、成長を妨げるため、できるだけ早めの対策が必要です。
軟腐病
軟腐病が発症する原因は細菌で、発病すると葉に水濡れみたいな斑点が現れます。
胡蝶蘭が軟腐病にかかった場合の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 |
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対処法 |
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軟腐病が進行すると腐った患部に細菌を含んだ液体が蓄えられます。
液体が飛散して細菌が付くと、軟腐病が他の胡蝶蘭に感染する恐れがあるため注意しましょう。
胡蝶蘭が発症する病気には、軟腐病とよく似た「褐斑細菌病」などもあります。
胡蝶蘭の病気については「胡蝶蘭の元気がない!原因別対処法と復活させるコツ【プロ監修】」でも症状や原因を掲載しています。
炭そ病
炭そ病の原因はカビで弱った葉や傷口が感染すると発病し、葉に黒い斑点が現れます。
胡蝶蘭が炭そ病にかかった場合の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 |
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対処法 |
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炭そ病は高温多湿な環境に弱った胡蝶蘭を置いていると発症しやすい病気です。
鉢の置き場所を変えるだけでも炭そ病を予防できる可能性があります。
炭そ病の詳しい対処法や、黒い斑点が出るその他の病気については「胡蝶蘭の葉に黒い斑点!考えられる病気と原因別の対処法を徹底解説」で掲載しています。
ハダニ
胡蝶蘭にハダニが寄生した場合の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 | 葉の裏側に小さな斑点や白い糸状のものが見られる |
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対処法 |
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ハダニは一年中発生する害虫ですが、湿気に弱いため湿度を保てば発生を予防できます。
カイガラムシ
胡蝶蘭にカイガラムシが寄生した場合の症状と対処法は以下のとおりです。
症状 | 葉や茎に小さな茶色や白色のカイガラのようなものがくっついている |
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対処法 |
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カイガラムシは一度発生すると大量に増えるため、見つけ次第早急に駆除しましょう。
胡蝶蘭の葉の裏に寄生するので、定期的に葉の裏を確認することで早期発見ができます。
ハダニやカイガラムシの他にも、胡蝶蘭には様々な害虫が寄生します。
胡蝶蘭に寄生する害虫の種類や駆除方法は「胡蝶蘭に寄生した害虫を駆除する方法は?被害を受けないための対策方法も解説」で詳しく解説しています。
胡蝶蘭の基本の育て方
胡蝶蘭は生育環境を整えれば、水やりも少ないので比較的簡単に育てられます。
胡蝶蘭の育て方の基本は以下のとおりです。
水やり |
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置き場所 |
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温度・湿度 |
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肥料 |
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植え替え |
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それぞれ押さえておきたい基本的なポイントを紹介します。
水やり
胡蝶蘭の水やりは、根が乾いてからたっぷりの水を与えるのが基本です。
育成環境や季節によっても異なりますが、10日に1回程度が目安になります。
胡蝶蘭に水を与えすぎると、根が呼吸できなくなり腐る恐れがあります。
鉢内の過湿を防ぐためにも水の与えすぎには注意が必要です。
季節ごとの水やりの頻度
胡蝶蘭の根が乾くまでかかる時間は季節によって異なるため、季節によって水やりのタイミングを調節する必要があります。
季節ごとの水やりの頻度は以下のとおりです。
季節 | 目安頻度 | 水量 | 時間帯 |
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春 | 1週間~10日に1回 | 200ml | 日中 |
夏 | 2~3日に1回 | 200~ 500ml |
朝、または夕方 |
秋 | 10日~2週間に1回 | 200ml | 日中 |
冬 | 2週間~1か月に1回 | 200ml | 午前中 |
上記の頻度はあくまで目安です。
実際に水やりを行う際は、植え込み材が完全に乾いていることを確認してから水を与えるようにしましょう。
水やり時の水温や、季節ごとの水やりの注意点については「胡蝶蘭の水やりで失敗しない!季節別【頻度・量・時間】のコツと根腐れ対策」を参考にしてくださいね。
置き場所
胡蝶蘭の置き場所で押さえておきたいポイントは以下の2点です。
- 明るい日陰、風通しが良い場所
- 直射日光とエアコンの風に注意
胡蝶蘭の置き場所で最適なのは、直射日光が当たらない明るい日陰で風通しが良い場所です。
置き場所に迷う場合は、遮光カーテン越しに日光が当たる窓際に置くと良いでしょう。
また一定の温度を保つためにエアコンを使うことになりますが、胡蝶蘭にエアコンの風が直接当たらないように注意が必要です。
エアコンの風が胡蝶蘭に当たると、乾燥したり冷えすぎてしまう可能性があり、胡蝶蘭を弱らせる原因になります。
温度・湿度
胡蝶蘭を育てるのに理想の温度と湿度は以下のとおりです。
- 温度:18~25℃
- 湿度:50~70%程度
胡蝶蘭は暖かく、多湿な環境を好みます。
そのため基本的には、温度管理ができる室内で育てるのがおすすめです。
胡蝶蘭は日中と夜間の温度差で成長を促すため、日中は25℃前後、夜間は18℃前後で管理するのが理想です。
また、胡蝶蘭は空気中からも水分を吸収する性質があるため、乾燥する時期は加湿器などで湿度調整をするといいでしょう。
温度変化によって新芽を出したり株の生長が始まるため、「胡蝶蘭に理想的な温度!季節ごとの管理方法と失敗を防ぐコツ」で季節ごとの管理方法についても確認しておくといいですよ。
肥料は与えなくても問題ない
胡蝶蘭は、基本的に肥料を与えなくても育ちます。
特に花が咲いている間に与えると、花が枯れてしまうため注意が必要です。
肥料を与えなくても問題ありませんが、株の生長を促したい場合や来年も花を咲かせたい場合は肥料を与えることで、栄養を与えることができます。
胡蝶蘭に肥料を与えるなら、成長期の5~9月頃に行いましょう。
肥料を与えるタイミングや肥料の種類については「胡蝶蘭の肥料はいつ与える?失敗しないための与え方と注意点」で詳しく解説しています。
植え替え
胡蝶蘭は基本的に2~3年に1度の頻度で植え替えが必要です。
植え替えをしないでほったらかしにしていると、鉢が小さくなったり植え込み材が古くなるため、根腐れや病気を起こしやすくなります。
胡蝶蘭の植え替えは、4~6月の花が咲いていない時期が最適です。
春に植え替えができなかった場合や、夏の暑さで株が弱ってしまった場合は、9月に植え替えを行うこともできます。
植え替えのやり方
胡蝶蘭の植え替えの基本的な流れは以下のとおりです。
- 新しい鉢と植え込み材を用意する
- 胡蝶蘭を古い鉢から取り出す
- 植え込み材をすべて取り除く
- 胡蝶蘭の傷んでいる根を切り落とす
- 新しい鉢に植え込み材を敷いて、その上に胡蝶蘭を置く
- 胡蝶蘭の隙間を埋めるように新しい植え込み材を入れて固定する
- 植え替え後は10日程度水やりをしない
植え込み材に水苔を使用する場合は、事前に水苔を戻しておく必要があります。
胡蝶蘭の詳しい植え替え方法や、失敗しないための注意点は「【失敗しない胡蝶蘭の植え替え】時期・方法・注意点|プロが教える成功の秘訣」で紹介しています。
まとめ
胡蝶蘭は完全にほったらかしにしておくと枯れてしまいます。
生育環境さえ整えれば少ない水やりで育ててられますが、最低限のお世話は必要です。
また、完全にほったらかすと、以下のような症状がおこる可能性が高まります。
- 水不足
- 葉焼け
- 根腐れ
- 低温による凍傷
- 病気や害虫による被害
そのままにしておくと胡蝶蘭が枯れて再生できなくなってしまうため、早めに対処する必要があります。
また、胡蝶蘭は正しい環境で育てることで長くキレイな花を楽しめる植物です。
最低限のことを押さえておけば枯れる心配も少なくなるため、育て方の基本は覚えておきましょう。
水やり |
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置き場所 |
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温度・湿度 |
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肥料 |
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植え替え |
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ほったらかしの胡蝶蘭でよくある質問
最後にほったらかしの胡蝶蘭でよくある質問をご紹介します。
枯れた胡蝶蘭は復活させられる?
一度枯れた胡蝶蘭でも、根や葉が残っている状態であれば復活させられるかもしれません。
葉が変色したり花が一気に枯れたりした場合は、根腐れを起こしていることが考えられます。
根腐れを起こしても腐った根を切り落して残った根を消毒して、植え替えをすれば復活する可能性があります。
根だけになった胡蝶蘭は復活させられるのか?
葉がすべて落ちて根だけになった胡蝶蘭は、復活させるのは難しいです。
しかし元気な根が残っていれば復活する可能性もあります。
元気がないからと水や肥料を与えると、逆効果になることもあるため、様子を見ながら対処を行いましょう。
葉が全て落ちて根だけになった胡蝶蘭の対処法は「【原因別】胡蝶蘭の葉が全て落ちた時の対処法と復活のコツ|簡単ケアガイド付き」で解説しています。