植物には見た目の美しさや香りから、私たちの心と体に嬉しい効果をもたらしてくれます。
リラックス効果がある植物として知られているのが、以下の2種類です。
- 観葉植物
- お花(ハーブ)
今回は、植物の魅力についてたっぷりとご紹介します。
リラックス効果の科学的な根拠、おすすめの種類やお手入れ方法まで詳しくお話しします。
この記事を読むと分かること
- 観葉植物やお花のリラックス効果と科学的根拠
- リラックス効果が高いおすすめの植物4選
- 観葉植物の効果的な置き場所、お手入れ方法
植物のリラックス効果の科学的根拠
植物やお花を見ると、落ち着くと感じることはありませんか?
植物のリラックス効果には科学的な裏付けがあり、以下のような癒しをもたらしてくれます。
- ストレスホルモンの減少
- リラックスや免疫力向上(フラワーセラピー効果)
今回は、植物がもたらすリラックス効果について、わかりやすくご説明しますね。
ストレスホルモンの減少
植物がストレスを軽減する仕組みには主に以下の4つのメカニズムが働いています。
- 植物を見ることによる癒し効果
- 酸素を増やして空気質を改善
- フィトンチッド(森林浴)効果
- 土中の微生物によるストレス軽減
植物を見ることによる癒し効果
観葉植物を見ると、交感神経活動が低下し、副交感神経活動が上昇することが分かりました。
ストレス状態が軽減し、身体がリラックス状態に移行しているという結果が出ています。
また、以下の研究時に行った質問では、観葉植物を見ることで「快適感」「自然感」「リラックス感」が高まったという回答が得られています。
参考文献:観葉植物や盆栽を見たときのリラックス効果
豊橋技術科学大学の松本博名誉教授は、次のように述べています。
植物をオフィスや住宅に置くことで快適性や生産性を向上させる『グリーンアメニティ』効果が確認されています。
特に、人の視界に占める植物の割合(緑視率)が高いほど、心理的・生理的ストレスが低くなり、リラックス効果が期待できます。
緑色は人間の目に優しい色で、植物の緑を見ると目の疲労が軽減されます。
長時間パソコンを見ている方は、ときどき観葉植物を見るだけでも目が休まりますよ。
酸素を増やして空気質を改善
植物は光合成をする過程で室内の二酸化炭素濃度を下げ、酸素を増やしてくれます。
室内の酸素が増えると頭がすっきりして集中力がアップします!
仕事や勉強の効率もぐんと上がりますよ。
最新の研究では、以下のように観葉植物を置いた職場で効率がアップしたことが証明されています。
認知機能の向上 | テキサスA&M大学の研究によると、職場に植物や花を置くことで、認知能力や問題解決能力が著しく向上することが示されています。 |
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生産性の向上 | エクスター大学の研究者たちは、室内植物が集中力と生産性を向上させ、職場におけるスタッフのウェルビーイング(心身、社会的に満たされた状態か?)を47%向上させることを発見しました。 |
乾燥による喉の痛みや肌荒れの予防にもなりますよ。
フィトンチッド(森林浴)効果
植物が発する「フィトンチッド」という物質には、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量を減少させる効果があるそうです。
フィトンチッドは森の香り成分としても知られており、嗅覚を通して自律神経に働きかけます。
森の中を散歩して気分がすっきりするのは、フィトンチッドの働きによるものです。
観葉植物などを部屋に置くと、植物の香りや見た目の美しさによって心が落ち着き、ストレスが和らいでいきます。
参考文献:
実際に、日本のある研究機関の調査では、オフィスに観葉植物を置くことで従業員のストレスレベルが15%も低下したそうです。
土中の微生物によるストレス軽減
観葉植物を植えている土の近くにいるだけで、ストレスが軽減し心身が元気になる効果があるとされています。
土には「アウトドアフィンズ」という微生物が含まれており、サイトカインというたんぱく質を放出しています。
サイトカインが幸せホルモンであるセロトニン生成を促進させるため、幸福感の獲得やストレス軽減作用が期待できます。
ウェルネスカウンセラーであるジョーイ・ドハーティ氏も、観葉植物の土によるストレス軽減効果に注目しています。
植物の土に含まれる『アウトドアフィンズ』と呼ばれる微生物が、自然の抗うつ剤として機能します。
これにより、セロトニンの分泌が促進され、気分が高まるのです。
リラックスや免疫力向上(フラワーセラピー効果)
フラワーセラピーは、花やハーブを用いて心身のバランスを整え、ストレス軽減やリフレッシュ効果をもたらす療法です。
フラワーセラピーでは、主に以下の効果が期待できます。
- 香りによるリラックス効果
- 免疫力の向上
それぞれの効果と科学的根拠について詳しく紹介していきます。
香りによるリラックス効果
花やハーブには、リラックス時に脳内で分泌されるα波を増やす効果があります。
α波が増えることでストレスが和らぎ、心が落ち着くとされています。
また、花の香りは自律神経を整える作用があり、副交感神経が優位になることでリラックスすることができます。
免疫力の向上
植物には人の免疫力を高める成分が含まれています。
免疫系を活性化させる成分や、抗酸化作用を持つ成分などが免疫力の向上に役立ちます。
また、植物を見ると副交感神経が活性化してストレスが軽減するため、ストレスによって抑制されていた免疫機能が改善すると考えられています。
参考文献:免疫力を高めるハーブティー【はらメディカルクリニック】
【注意】観葉植物に空気浄化効果はほぼない
観葉植物には「ホルムアルデヒドやベンゼンなどの有害物質を吸収して空気を浄化する効果がある」と言われていますが、実際は空気浄化効果はほぼありません。
複数の研究で「有害物質を吸収できるが、効果がとても弱いため室内の空気を改善するほどではない」という結果が出ています。
また、米ドレクセル大学に所属する室内空気質の専門家マイケル・ワリング氏は「空気質を変えるためには約30cm四方につき、10本ほどの植物が必要になる」と見解を示しており、非現実的なほど大量の植物がないと効果は実感できないとしています。
空気を綺麗にしたい場合は、窓を開けて換気を行うか、空気清浄機を用いましょう。
参考文献:
しかし、NASAの研究は密閉空間で行われており、空気の密度や毒素の割合が一般家庭やオフィスと大きく異なっていたため結果に齟齬が生まれてしまいました。
リラックス効果抜群!おすすめの観葉植物とお花4選
ここからは具体的にどんな植物にリラックス効果があるのか見ていきましょう。
リラックス効果のあるおすすめの植物は、以下のとおりです。
- ラベンダー:安眠とリラックスの香り
- カモミール:ストレス軽減と睡眠の質向上
- パキラ:風水効果とリラックス効果
- サンスベリア:視覚的なリラックス効果があり育てやすい
それぞれの植物に特徴があるため、癒し効果や使い方について詳しく解説していきます。
ラベンダー:安眠とリラックスの香り
ラベンダーといえば甘く爽やかな香りが特徴ですよね。
ラベンダーの香りには、以下のような素晴らしい効果があります。
- リラックス効果
- 安眠効果
ラベンダーの香りは、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させ、緊張や不安感を和らげてくれます。
そのため、就寝前にラベンダーの香りを嗅ぐと睡眠の質が向上するそうです。
寝つきが良くなる、深い睡眠が得られやすくなるなどの効果が期待できます。
使い方のポイント
- ハーブティーとして楽しむ
- アロマオイルをディフューザーで使用する
- ドライフラワーを枕元に置く
カモミール:ストレス軽減と睡眠の質向上
カモミールは、リンゴに似た甘い香りが特徴的なハーブです。
古くから民間療法として利用されてきた歴史があり、以下のような効果が期待できます。
- ストレス軽減効果
- 睡眠の質向上
カモミールに含まれるアピゲニンという成分は、脳内のGABA受容体と結合すると不安や緊張を和らげる働きがあると考えられています。
また、カモミールの香りは副交感神経を優位にし、リラックス効果をもたらします。
上記の効果から、カモミールティーには安眠効果が期待できます。
就寝の約1~2時間前にカモミールティーを飲むと、気持ちを落ち着くため睡眠の質が向上します。
使い方のポイント
- ハーブティーを1日2~3杯飲む
- カモミールオイルで軽くマッサージする
- ドライフラワーを枕に入れる
パキラ:風水効果とリラックス効果
パキラは、丈夫で育てやすい観葉植物として人気があります。
風水的にも良い効果があるとされ、以下のようなリラックス効果が期待できます。
- ストレス軽減効果
- 精神安定効果
パキラは、その葉の形から「金のなる木」とも呼ばれ、金運アップや仕事運アップの効果があるとされています。
また、葉の形が手のひらに似ていることから、幸福を掴むという意味もあります。
暑さに強く、少ない光で育つため初心者でも育てやすいのが特徴です。
緑の葉を眺めることで、心が落ち着き、ストレス軽減効果も期待できます。
置き場所のヒント
- リビングや玄関など、人の出入りが多い場所に置くと良い
- 風水的には、東の方角に置くのがおすすめ
サンスベリア:視覚的なリラックス効果があり育てやすい
サンスベリアは、多肉質で剣状の葉が特徴的です。
サンスベリアには以下のようなリラックス効果が期待できます。
- 視覚的なリラックス効果
- 育てる楽しみによるストレス軽減
サンスベリアはモダンなインテリアにも合わせやすい観葉植物です。
印象的な葉の形状を眺めることで、視覚的なリラックス効果が得られます。
また、サンスベリアを育てる過程でストレス軽減や癒し効果が期待できます。
置き場所のヒント
- リビングや書斎など、インテリアのアクセントにしたい場所に置くのがおすすめ
- 日陰でも育つので、日当たりの悪い場所でも大丈夫
植物によって管理方法なども異なるため、購入する際に一緒に確認しておきましょう。
観葉植物の置き場所の選び方
観葉植物やお花の配置は、植物の健康と室内の雰囲気づくりの両面で重要です。
植物の最適な置き場所については以下のポイントを確認してみましょう。
- 日当たりへの配慮
- 適した温度と湿度
- 部屋の役割を活かした配置
- 風水の考え方を取り入れる
日当たりへの配慮
多くの観葉植物は明るい間接光を好みます。
窓から1〜2メートル離れた場所が理想的です。
直射日光は避け、レースカーテン越しの柔らかい光が当たる場所を選びましょう。
適した温度と湿度
一般的に18〜25℃の室温が適しています。
冬場は暖房の風が直接当たらない場所に置くのがおすすめです。
湿度は50〜60%が理想的です。
乾燥しやすい場所では霧吹きや加湿器の使用を検討してください。
部屋の役割を活かした配置
リビングなら目につきやすい場所に大型の観葉植物を置くと、存在感のあるインテリアになります。
寝室ではラベンダーやカモミールなど、安眠効果のある植物を枕元に配置すると良いでしょう。
オフィスならデスクやミーティングスペースに小型の観葉植物を置くと、ストレス軽減効果が期待できます。
風水の考え方を取り入れる
風水の考え方を取り入れて配置を決めるという手もあります。
例えば、玄関にパキラを置くと幸運を呼び込むといわれています。
また、サンスベリアには邪気払いの効果があるため、寝室に置くと睡眠の質が上がるとされています。
観葉植物のお手入れ方法
観葉植物を健康に保ち、リラックス効果を最大限に引き出すには、適切なケアが不可欠です。
以下の基本的なケア方法を日常的に実践しましょう。
- 適度な水やり
- 葉のケア
- 適切に肥料を与える
- 傷んだ葉を取り除く
- 病害虫対策
適度な水やり
季節や植物の種類によって頻度を調整することが大切です。
一般的に、夏場は週2〜3回、冬場は1〜2週間に1回程度が目安です。
土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
ただし、水やりの際は葉に水がかからないよう注意してくださいね。
葉のケア
定期的に葉の表面のホコリを拭き取りましょう。
光合成が促進され、植物の健康維持につながります。
月に1回程度、霧吹きで葉に水分を与えると、乾燥を防いで葉の艶を保つことができますよ。
適切に肥料を与える
成長期(春〜秋)には月1回程度、観葉植物用の液体肥料を与えましょう。
冬場は植物の成長が緩やかになるため、肥料を与えない方がいい場合があります。
育てている植物の種類によって調整しましょう。
傷んだ葉を取り除く
枯れた葉や黄色くなった葉は、こまめに取り除きましょう。
成長が著しい場合は、適度に剪定して形を整えると、植物の健康維持と美しい姿の保持ができます。
病害虫対策
定期的に葉の裏側や茎をチェックし、害虫の早期発見に努めましょう。
害虫を見つけた場合は、水で洗い流すか、市販の殺虫剤を使用して対処します。
胡蝶蘭もリラックス効果を持つ植物
ここまで植物のリラックス効果を解説してきましたが、胡蝶蘭も素晴らしいリラックス効果を持っています。
胡蝶蘭には、以下のような癒し効果があります。
- 見た目による癒し効果
- 育てる過程でのストレス軽減
胡蝶蘭は優雅な姿と美しい花を楽しめることから、癒しと落ち着きをもたらしてくれます。
オフィスや自宅のリビングに置くと、集中力やパフォーマンスが向上したり、心を落ち着かせてリラックスすることができますよ。
胡蝶蘭を取り入れたいけれど、選び方やどこで買えばいいか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方には以下の記事がおすすめです。
初めて胡蝶蘭を購入する方も、安心して選ぶことができますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
まとめ
ここまで観葉植物のリラックス効果や活用法について、詳しくお話ししてきました。
最後に今まで紹介した情報をまとめてみましょう。
植物が私たちにもたらしてくれる効果は以下のとおりです。
- ストレスホルモンの減少
- リラックスや免疫力向上
植物のリラックス効果は、科学的にも裏付けられています。
また、植物を育てて共に過ごす時間は心を豊かにしてくれます。
日々の忙しさの中で、ふと目に入る緑の葉や香りがリラックスをもたらしてくれます。
植物を取り入れるなら、お花や観葉植物を寝室に配置するのがおすすめです。
おすすめの植物と効果は以下のとおりです。
ラベンダー |
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カモミール |
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パキラ |
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サンスベリア |
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植物との付き合い方に正解はないため、生活スタイルや好みに合わせて少しずつ取り入れていくといいですよ。
最初は小さな一鉢から始めて、徐々に種類を増やしていくのもいいですね。