花図鑑

芍薬「富士」色や香りの特徴や管理方法を紹介

2022.08.19

芍薬品種図鑑「富士」

Bloom Note編集部

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富士」は透明感のある、はっきりとしたピンク色の芍薬(シャクヤク)です。
日本生まれの和芍薬の一種で、華やかでゴージャスな印象の中にも、どこか風情も感じられる花形が魅力です。

芍薬「富士」の主な特徴

  • やや青みがあるクリアなピンク色の花びら
  • 大輪でボリューム感がある翁咲き
  • バラのような甘さと菊のような清涼感を併せ持つ香り

芍薬「富士」の特徴

富士の特徴早見

芍薬「富士」の花びらは、透明感のあるはっきりしたピンク色をしています。
密になった花びらが溢れんばかりに咲き開くと、ボリューム感たっぷりで非常に存在感があります。
芳香性は高く、バラの甘さと菊のようなすっきりした香りを感じられます。

分類 和芍薬
ピンク
出回り時期 4月~6月
サイズ 大輪
香り 強い(バラと菊の特徴を併せ持つ香り)
咲き方 翁咲き
開花調整 難しい
主な生産地 長野県、和歌山県

やや青みがあるクリアなピンク色の花びら

富士の花びらはやや青みがかったピンク色で、クリアな印象。
同じピンク色の和芍薬「滝の粧(たきのよそおい)」よりはっきりとした色合いで、芍薬ならではのボリューム感と相まって存在感もたっぷりです。

ピンク色の芍薬は女性に好まれ、ブライダルでも人気があります。

大輪でボリューム感がある翁咲き

富士はボリューム感のある大輪で、丸みを帯びた可愛らしさを感じる花形です。

翁(おきな)咲きと呼ばれる咲き方で、内側に小さな花びらがぎっしりと詰まっており、中心部の弁化した雄しべは大きく立ち上がるようになります。

バラのような甘さと菊のような清涼感を併せ持つ香り

富士の香りは、バラの甘さと菊の清涼感を併せたような香りで、芳香性が高い品種です。

芍薬の香りは香水の原料にも用いられるほど良い香りとしても知られていますが、花の強い香りが苦手な方には、あまりおすすめしない方が良いでしょう。

芍薬「富士」の開花調整・水揚げ方法

富士のお手入れ方法

富士に限らず、芍薬全般の共通点に「開花調整が非常に難しい」ということがあります。
水揚げやお手入れ方法を間違ってしまうとなかなか開花しなかったり、逆にすぐに咲いて終わってしまうということも。

ここでは、芍薬を「早く咲かせる方法」「ゆっくり咲かせる方法」について解説します。

早く咲かせる方法

ご家庭で楽しむ場合など、芍薬を早く開花させたい時は、「葉を多めに取り除き、茎を短くカットして水揚げする」という方法がおすすめです。
また、蕾に蜜がついていると開花を妨げる原因になるので、濡れたティッシュで優しく拭き取ったり、蕾を優しくもみほぐすと開花を促すことができます。

芍薬を咲かせる方法や咲かない時の原因を以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

芍薬を咲かせる方法・蕾が咲かない原因を解説

ゆっくり咲かせる方法

特にお花屋さんで芍薬を取り扱う場合は、お客さんの手元に花が渡るまでに咲き終わらないように、開花を遅らせる必要があります。
富士をゆっくり咲かせるには、以下の管理方法がおすすめです。

  1. 水につけず低温で管理する
  2. 店頭に置く前は2段階で通常の温度に戻す
  3. 下葉を少しだけ取り除く
  4. 茎をまっすぐカットする
  5. 浅水につけておく

①水につけず低温で管理する

芍薬は水上がりが良いお花のため、水につけて保管すると開花が早まってしまうリスクがあります。
開花を遅らせるためには、水につけずに5℃~10℃程度の低温で管理します。

②店頭に置く前は2段階で通常の温度に戻す

店頭に置く際は、【5℃→8℃→通常の温度】というように2段階でゆっくり温度を上げていきます
一気に温度を上げてしまうと開花が早まる・花の品質を落とす可能性があるので注意が必要です。

③下場を少しだけ取り除く

水に浸かる部分の葉だけを軽く取り除き、水揚げを行います。
取り過ぎてしまうと開花が早まる原因となるため、葉はある程度残しておくのがおすすめです。

④茎をまっすぐカットする

水揚げの際は、茎を斜めではなくまっすぐカットします。
他のお花の場合は斜めにカットすることで断面を大きくし、水の吸い上げを促進させますが、芍薬の場合は水の吸い上げを制限し、開花を遅らせるよう調整します。

また、カットする際は水中ではなく、空切り(空中で切る)でOKです。

⑤浅水につけておく

茎をカットしたら、浅水につけて管理します。
深水にしてしまうと開花が早まる原因に繋がります。

芍薬「富士」の花言葉

富士を始めとするピンク色の芍薬には、「恥じらい」「はにかみ」という花言葉があります。

ピンク色の花びらが、恥じらって紅潮した頬を連想させることにちなんだと言われています。
女性のかわいらしさや控えめな様子が伝わるようですね。

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