この記事はこんな方におすすめ
- 胡蝶蘭に直射日光を当てても大丈夫か知りたい
- 胡蝶蘭の最適な置き場を知りたい
- 蛍光灯でも胡蝶蘭が育つのか知りたい
基本的に、胡蝶蘭は直射日光を当てない方がいい植物です。
夏はもちろん、冬場の直射日光も胡蝶蘭にとっては刺激が強すぎるため、花や葉が枯れたり病気の原因になってしまいます。
この記事では、胡蝶蘭に直射日光が良くない理由や、胡蝶蘭の好む日照環境、最適な置き場について解説していきます。
胡蝶蘭に直射日光が良くない理由
胡蝶蘭に直射日光を当てるのが良くない理由は枯れる原因になるからです。
直射日光は胡蝶蘭にとっては明るすぎるため、刺激になって弱ってしまいます。
直射日光に当たり過ぎた胡蝶蘭には以下のような症状が現れます。
- 花がしおれる
- 葉が焦げて枯れる(葉焼け)
- 葉に斑点が現れる病気になる
特に直射日光は葉が焦げて変色する「葉焼け」を起こしやすく、最終的に葉全体が焦げて枯れ落ちてしまいます。
また、葉焼けで弱った部分は「炭疽病」や「軟腐病」などの菌に感染するリスクが高まり、病気になりやすくなります。
葉焼けや病気の症状が進行すると胡蝶蘭の株自体が枯れてしまいます。
葉に黒い斑点が出た際は直射日光が当たらない場所に鉢を移動させ、患部を切除して健康な葉に広がらないように対処する必要があります。
葉焼けや病気で葉に黒い斑点が出た時の対処法は「胡蝶蘭の葉に黒い斑点!考えられる病気と原因別の対処法を徹底解説」でも解説しているため参考にしてくださいね。
胡蝶蘭が好む日照環境
胡蝶蘭は直射日光は苦手ですが、光がない環境では育つことができない植物です。
胡蝶蘭はもともと熱帯雨林で木に着生していた植物のため、木々の隙間から注ぐ柔らかい日光を好みます。
最適な日照環境に近づけたい場合は、以下を確認してみましょう。
- 半日陰の柔らかな光が最適
- 日照時間は長い方がいい
- 照度計で明るさ(ルクス)を測定してみる
半日陰の柔らかな光が最適
胡蝶蘭が好むのは柔らかい光で、直射日光を1/3~1/2程度に遮光した「半日陰」が理想とされています。
カーテンや遮光ネットなどを用いて胡蝶蘭に当たる光の明るさを調節しましょう。
時間帯や季節、天気によって直射日光の強さが異なるため、カーテンを重ねるなどして2段階の明るさ調整ができるようにしておくと便利です。
日照時間は長い方がいい
胡蝶蘭は、強すぎない適度な光であれば日照時間が長い方が健康に育ちます。
日照時間が10~13時間程度ある方が、花茎が伸びやすく花数が多くなりやすい傾向があります。
ただし、胡蝶蘭は夜間に気孔が開くため、日照時間が長すぎると成長が妨げられる可能性があります。
夜に10~12時間程度しっかり気孔を開く時間を確保して、残りの時間を日照時間に充てましょう。
胡蝶蘭に夜の時間が大事な理由
胡蝶蘭は「CAM植物」という種類で、夜に気孔を開いて光合成に必要な二酸化炭素を取り込みます。
昼間は気孔が閉じており、夜間にため込んだ二酸化炭素を使って光合成を行います。
夜間の気孔が開く時間が短くなると、昼間に十分に光合成が行えなくなってしまうため注意しましょう。
照度計で明るさ(ルクス)を測定してみる
胡蝶蘭が好む光の明るさは、照度の単位「ルクス(lx)」で確認することができます。
ルクスは物体の表面を照らしている光の明るさを表す単位で、数値が高いほど明るい光が当たっていることになります。
胡蝶蘭の育成に必要な明るさと、太陽光の照度を比較すると以下のようになります。
照度(ルクス) | |
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胡蝶蘭の最適照度 | 10,000~30,000 |
夏の晴天 | 100,000 |
春、秋の晴天 | 50,000~60,000 |
冬の晴天 | 20,000~40,000 |
曇天 | 32,000 |
冬の晴天でも胡蝶蘭の最適な値を上回っているため、胡蝶蘭には直射日光を当てない方がいいと言われています。
照度はスマホの無料アプリ(照度計)でも測ることができるため、気になる方は一度測定してみましょう。
蛍光灯の明るさでは足りない場合も
環境によっては、蛍光灯だけで胡蝶蘭を育てるのが難しい場合があります。
農林水産省による「最低照度係数によりグループ区分した植物の特性一覧」では胡蝶蘭の育成に必要な最低照度は2,000ルクス以上とされています。
室内照明の照度は75~1,000ルクス程度のため、日照不足や花芽が出にくいなどの症状が出る可能性があります。
しかし、胡蝶蘭は気温と湿度の管理がされていれば蛍光灯でも十分に育てることが可能です。
最適な胡蝶蘭の置き場
胡蝶蘭の置くのに最適な場所は「直射日光が当たらず、暗すぎない暖かい場所」になります。
ご家庭の環境によって最適な置き場所は変わってきますが、迷った場合は以下の場所に置くのが良いでしょう。
屋内 | 暖かくて明るい場所
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屋外 | 遮光対策がされた日陰
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気温が15℃を下回る寒い季節、30℃を越えるような真夏は、室内に胡蝶蘭を置くのがおすすめです。
春~初夏や秋頃に屋外に置く場合は、直射日光が当たらない日陰、または遮光対策済みの場所に設置しましょう。
遮光カーテン越しの窓際
置き場所として一般的な場所は窓際の明るい場所です。
ガラス越しだと強い直射日光が当たってしまうため、遮光カーテン越しに置くのがポイントです。
注意点 |
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すりガラスも遮光対策が必要
胡蝶蘭をすりガラスの前に置いてしまうと窓ガラス越しに直射日光を浴びる状態になってしまうため避けるのが無難です。
すりガラスの場合も、遮光シールやカーテンなどの遮光対策を行いましょう。
リビングやキッチンカウンター
家族と過ごすリビングやキッチンカウンターは、程よく暖かく、明るい空間にしている方も多いのではないでしょうか。
胡蝶蘭の好む環境にも近づきやすいため、適した置き場所の1つです。
外の光が差し込むリビングが理想的ですが、暖かい環境であれば蛍光灯でも胡蝶蘭が元気に育つ可能性があります。
注意点 |
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玄関(冬場を除く)
明るく風通しが良い場合は、玄関を置き場所に選ぶこともできます。
ただし、玄関は冷気が入りやすいため冬場は避けて春~秋に置くようにしましょう。
注意点 |
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庭やベランダなどの明るい日陰
お庭やベランダで、以下のように日陰になる場所があれば、胡蝶蘭を置くことができます。
- 植木の陰
- 軒下
- 日除けシェードやパラソル下
日陰がなく直射日光に当たってしまう場合は、室内に置くようにしましょう。
遮光ネット、すだれで陰になる場所
胡蝶蘭を屋外に置く場合は、遮光ネットやすだれなどで直射日光が当たらないようにしましょう。
屋外に置く場合は遮熱や害虫対策で胡蝶蘭を地面から離しておくことも重要です。
棚の上に置いたり、鉢を吊り下げられるように工夫してみましょう。
屋外に胡蝶蘭を置く際の注意点
以下のポイントを意識しておきましょう。
- 時間経過による日射の変化に合わせて置き場所を変える
- 遮熱・虫対策に棚やすだれを置いて地面から離す
日照不足は植物育成用のLEDライトで補う
雨や雪で日が出ていない、立地などの問題などで胡蝶蘭を日光に当てられない場合は、植物育成ライト(LEDライト)を用いることで日照不足を解決することができます。
LEDライトは照度が強めに設定されています。
植物育成用のライトであれば自然光に近い波長の光が出力でき、胡蝶蘭の光合成を促すことが可能です。
また、植物育成ライトはタイマー機能が付いたものが多く、設定した日照時間分だけ光を当てることができるため日中は家を空けている方にもおすすです。
植物育成ライトは吊り下げ式、クリップタイプ、スタンドタイプなど様々な種類があるため、胡蝶蘭のお花の置き場所によってライトを選びましょう。
LEDライトで育てる場合の照射時間
植物育成ライトで胡蝶蘭を育てる場合は、自然光の日照時間に近づけることを意識しましょう。
一般的に日照時間の目安は以下のとおりです。
- 春・秋:12時間
- 夏:14時間
- 冬:10時間
昼間に日光を当てられる場合などは、合計で上記の日照時間にできるように照射時間を調整しましょう。
植物育成ライトの注意点
胡蝶蘭を育てるのに植物育成ライトやLEDライトを使用する場合は以下の点に注意が必要です。
- LEDライトと胡蝶蘭の距離
- 照射時間を守る
LEDライトと胡蝶蘭の距離
LEDライトの種類によっては長時間の使用で熱を持つ場合があります。
また、ライトが近すぎると照度が高すぎて葉焼けしてしまう恐れがあるため胡蝶蘭とLEDライトは適度に遠ざけましょう。
逆にライトを遠ざけすぎても光が届きにくくなってしまうため、お使いのライトに合わせて適切な距離を保ちましょう。
照射時間を守る
胡蝶蘭は夜に光合成の一部を行うため、光が当たっていない時間帯が必要です。
日射時間が長くなってしまうと昼間の光合成に支障をきたす可能性があるため、暗い時間もしっかり確保しましょう。
まとめ
胡蝶蘭にとって直射日光は刺激が強すぎるため枯れる原因になってしまいます。
冬場の直射日光であっても胡蝶蘭にとっては強い光ですので、当たらないように注意が必要です。
胡蝶蘭の育成に最適な日照環境を整えたい場合は、以下を確認してみましょう。
- 半日陰の柔らかな光が最適
- 日照時間は長い方がいい
- 照度計で明るさ(ルクス)を測定してみる
また、ご家庭で実際に置く場合は暖かく明るい場所を選ぶことがポイントです。
立地や環境にもよりますが、胡蝶蘭の好む日照環境の置き場の例には以下のような場所があります。
屋内 | 暖かくて明るい場所
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---|---|
屋外 | 遮光対策がされた日陰
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梅雨の時期や立地の問題で室内では日が当たらないという場合は、LEDの植物育成ライトを用いると日照不足が解消される場合があります。
植物育成ライトを使用する際は、ライトの照射を自然の日照時間に近づける工夫を行いましょう。