胡蝶蘭の育て方

【失敗しない胡蝶蘭の植え替え】時期・方法・注意点|プロが教える成功の秘訣

2024.07.18

失敗しない胡蝶蘭の植え替え プロが教える成功の秘訣とは?

Bloom Note編集部

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この記事はこんな方におすすめ

  • 胡蝶蘭を植え替えるタイミングを知りたい
  • 胡蝶蘭の植え替え方法を知りたい
  • 植え替えをした後に気を付けるべきことを知りたい

胡蝶蘭の植え替えは4月〜6月頃がベストタイミングで、9月頃までなら行えます。
胡蝶蘭は「株や根の健康を維持するため」に、定期的に植え替えをする必要があります。

胡蝶蘭の植え替えを検討するタイミングは、以下のとおりです。

  • 3年以上植え替えをしていないとき
  • 植え込み資材が劣化しているとき
  • 鉢からはみ出るほど根が大きくなっているとき
  • 根腐れや病気が発生しているとき

特に植え込み材が劣化したとき、根腐れや病気が発生しているときは、早めに植え替えを行う必要があります。

しかし、胡蝶蘭の植え替えが初めてでどのように行えばいいか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、胡蝶蘭の植え替えを行うタイミング時期、手順、注意点などについて解説していきます。

胡蝶蘭で植え替えが必要な理由

胡蝶蘭で植え替えが必要な理由は「株や根の健康を維持するため」です。
同じ植え込み材を使い続けるとカビの発生や腐食の原因となり、病気や害虫の被害を受ける恐れがあります。

2~3年に1度を目安に植え替えを行い、正しい方法で育てると根が良い状態を維持できます。

胡蝶蘭の寿命は他の植物に比べて長く、10~20年、さらには50年以上あるとも言われています。
生命力の強い花なので、丁寧に育てることで長く胡蝶蘭を楽しむことが可能です。

胡蝶蘭の寿命の長さについてや、株の寿命を延ばすための育て方については以下の記事で詳しく解説しています。

胡蝶蘭の寿命を最大限に延ばす!育て方のコツと注意点【専門家監修】

胡蝶蘭の植え替えを行うタイミング

胡蝶蘭の植え替えタイミング4つ

胡蝶蘭で植え替えが必要な理由が分かったものの、いつ植え替えを行えばいいのか分からないという方も少なくないでしょう。

胡蝶蘭の植え替えを行うタイミングとしては、以下の4つが挙げられます。

  • 3年以上植え替えをしていないとき
  • 植え込み資材が劣化しているとき
  • 鉢からはみ出るほど根が大きくなっているとき
  • 根腐れや病気が発生しているとき

3年以上植え替えをしていないとき

胡蝶蘭を3年以上植え替えを行っていない場合は、植え替えのタイミングと言えます。
胡蝶蘭の根や葉などに異常がない場合でも、植え込み材として使っている水苔やバークが古くなっているので交換が必要です。
最低でも2年〜3年に1回は植え替えしたいところです。

ただし、植え込み資材の劣化がそこまで著しくなければ、急いで植え替える必要はありません。
植え替えに適した次の春(4月〜6月頃)を待って植え替えを行いましょう。

植え込み材が劣化しているとき

植え込み材にカビや腐食などが発生している場合は、次の春を待たずに早急に植え替えを行う必要があります。

植え込み材が古くなると鉢の中で水分が溜まって蒸れるため、カビが生えやすくなります。

植え込み材にカビや劣化などが発生すると胡蝶蘭にも悪影響を与える恐れがあります。
確認して劣化が見られるようなら、早めに植え替えをするのがおすすめです。

鉢からはみ出るほど根が大きくなっているとき

胡蝶蘭は春から夏の成長期にかけて新しい根が生えます。
株に対して鉢が小さくなり、鉢から根がはみ出てしまった場合は一回り大きいサイズの鉢に植え替えを行います。

ただし秋になっているなら、来年の春を待って植え替えを行うと良いでしょう。

胡蝶蘭は15℃以下まで気温が下がると、成長が止まり休眠状態に入ります。
今以上に大きく育つ可能性は低いので、急いで植え替えを行わなくても問題ありません。

根腐れや病気が発生しているとき

胡蝶蘭に根腐れや病気が発生しているときも、植え替えのタイミングです。
根腐れや病気のまま放置しておくと胡蝶蘭が枯れてしまうので、季節を問わず、なるべく早めに植え替えを行いましょう。

植え替えを行う際は、傷んでいる箇所を切り落としてください。

もし冬場であっても、室温が15℃以上を保てる環境であれば、植え替えはできます。
室温を維持しながら、寒さ対策や乾燥対策を行って胡蝶蘭を守りましょう。

胡蝶蘭の植え替え時期

植え替え時期の目安

胡蝶蘭の植え替えは、花が咲き終わる4~6月頃の成長期に入る前に行うのが最適です。

気温が上昇すると胡蝶蘭の株は生長を始め、根を伸ばしたり新しい葉を生やします。
そのため、成長期に入る前に植え替えておくのが胡蝶蘭にとってベストなタイミングとなります。

また、春に植え替えて早めに環境に慣れさせておくことで、過酷な夏を過ごす際の胡蝶蘭にかかるストレスを軽減できます。

胡蝶蘭の植え替え時期の判断ポイントや植え替えるかどうかの見分け方は以下の記事で詳しく解説しています。

胡蝶蘭の植え替え時期はいつ?見分け方と判断ポイントを徹底解説

胡蝶蘭の植え替えで必要なもの

胡蝶蘭の植え替えに必要なもの

胡蝶蘭の植え替えで必要なものは、以下のとおりです。

  • 花が咲き終わった株
  • 植え込み材(水苔またはバーク)
  • 剪定ハサミ
  • 新しい鉢

胡蝶蘭の植え替えは、花が咲き終わってから行います。
花を咲かせる際にはエネルギーを使うため、開花前や開花中に植え替えを行ってしまうと、花が枯れたり咲かなくなったりする恐れがあります。

またハサミは、一般のハサミよりも切れ味の良い園芸用のものを使いましょう。
剪定ハサミを使うことで、胡蝶蘭の根や花茎を傷付けにくくなります。

鉢は、基本的に現在使っているサイズと同じものを使います。

BloomNoteライター
鉢の大きさが胡蝶蘭の株よりも多すぎると水はけが悪くなり、根が傷む恐れがあるので注意しましょう

胡蝶蘭の植え替え手順

胡蝶蘭の植え替えは、水苔を使用する場合とバークを使用する場合で手順が異なります

ここでは、水苔とバーグに分けてそれぞれの植え替え手順をご紹介します。

水苔を使用する場合

胡蝶蘭の植え替えで水苔を使う場合、手順は以下のとおりです。

  1. あらかじめ水苔を戻しておく
  2. 胡蝶蘭を鉢から取り出す
  3. 古い水苔をすべて取り除く
  4. 胡蝶蘭の傷んでいる根を切る
  5. 水苔を軽く絞って、根に巻き付ける
  6. 新しい鉢に水苔ごと入れる
  7. 隙間を水苔で埋める

水苔は乾燥したままだと水をうまく吸い取れないので、植え替えする前に戻しておきましょう。
胡蝶蘭の根に水苔を付ける際は、株を逆さにして押し当てながら付けていくことで、上手く絡ませることができます。

水苔を使う場合は、通気性の良い素焼き鉢を使うのがおすすめです。

胡蝶蘭を植え替える際の水苔の戻し方

水苔を使って胡蝶蘭を植え替える場合は、水苔をしっかり戻すようにしましょう。
水苔の戻し方は以下のとおりです。

  1. ザルなどの水が切れる容器に水苔を出す
  2. 上から全体的に水をかける
  3. ひっくり返したりほぐしながら全体を湿らせる
  4. 1日置く
  5. 翌日、全体をほぐしてもう1回水をかける
  6. さらに1日置く

水苔を戻す場合は2~3日をかけて戻すようにしましょう。
戻し終わった水苔を触った際に、ふわふわしている、握って弾力があればしっかり戻せています。

バークを使用する場合

続いて、バークを使って胡蝶蘭を植え替える手順をご紹介します。

  1. 胡蝶蘭を鉢から取り出す
  2. 古いバークをすべて取り除く
  3. 胡蝶蘭の傷んでいる根を切る
  4. 新しい鉢の底にバークを敷き詰める
  5. 胡蝶蘭の株を入れる
  6. 隙間を埋めるようにバークを入れ込む

鉢に胡蝶蘭を入れてバークを入れ込む際は、根の付け根まで覆う必要があります。
割りばしや棒などを使って根の間を埋めるように入れ込みます。
その際に、根を傷付けないように気を付けましょう。

バークは扱いやすい一方、水はけが非常に良いので、ポリポットやプラスチックの鉢を使うのがおすすめです。

BloomNoteライター
バークは松の樹皮などを細かく砕いた植え込み材です。胡蝶蘭は元々木に着生していたため、バークで植えると自然に近い状態に近づけることができますよ。
バークは水切れがいいため、根腐れが起こりにくい特徴があります。

胡蝶蘭の植え替えを行った後のケア方法

胡蝶蘭は植え替え直後に株が弱りやすくなり、環境に慣れるまで状態が不安定になります。
そのため、一定期間は休ませる必要があります。

胡蝶蘭の植え替え後に行うケア方法は、主に以下の2つになります。

  • 10日程度は水やりを休む
  • 風通しのいい日陰に置く

10日程度は水やりを休む

植え替え後は胡蝶蘭の根や株が弱っているため、10日程度は水やりはストップします。

もし乾燥しているようであれば、葉の中央に水が溜まらないように注意して、霧吹きで葉を湿らす程度に抑えておきましょう。

植え替えから10日程度経った後に、水苔やバークが乾いて、株が元気そうなら水やりを再開します。

風通しの良い日陰に置く

植え替え直後の胡蝶蘭は、環境に慣れるまで成長が止まるためそっとしておくことが大切です。

直射日光が当たらない風通しの良い日陰に置いておきましょう。
必要以上に触らないことで、新しい環境に早く馴染みます。

胡蝶蘭を植え替える際の注意点

胡蝶蘭を植え替える際の注意点「①大きすぎる鉢は避ける②ハサミは消毒して使用③植え替え直後は肥料を与えない④病害虫に注意する」

植え替え方法を間違えると、胡蝶蘭を枯らしてしまう恐れがあります。

胡蝶蘭を植え替える際の注意点としては、以下の4つがあります。

  • 大きすぎる鉢に植え替えない
  • ハサミは消毒してから使う
  • 肥料は与えない
  • 植え替え直後の病害虫に注意する

大きすぎる鉢に植え替えない

胡蝶蘭を植え替える際に使う鉢は、胡蝶蘭に比べて大きすぎないものを選ぶことが大切です。

鉢が大きくなると、鉢の中の植え込み資材が水を含みすぎてしまいます。
乾きにくくなり、根腐れの原因となります。

具体的に胡蝶蘭の場合は、3.5~5号サイズの鉢に1株ずつ育てるのが適しています。

胡蝶蘭の場合、鉢から根が少々はみ出たとしても問題ありません。

ハサミは消毒してから使う

胡蝶蘭の植え替えに使用するハサミは、ウイルスや病気などの感染を防ぐために、消毒してキレイな状態にしてから使いましょう。

ハサミの消毒には、熱湯をかける、ライターで炙るなどの方法があります。

肥料は与えない

植え替え後の胡蝶蘭に肥料は必要ありません

健康な胡蝶蘭に肥料を与えると成長を促しますが、植え替え後の株や根が弱っている状態で肥料を与えると、逆効果となり枯れてしまう恐れがあります。

胡蝶蘭の成長を促進するために肥料を与えたいなら、新しい根がしっかりと伸びているのを確認してからにしましょう。

植え替え直後の病害虫に注意する

植え替え直後は胡蝶蘭が弱っているので、病気にかかるリスクが上がり、害虫の影響を受けやすくなるため、注意が必要です。
こまめに胡蝶蘭を観察して、根や花に異常がないかをチェックしましょう。

もし胡蝶蘭に病気や害虫が発生した場合は、薬剤を使用して早急に対応する必要があります。

胡蝶蘭に起こりやすい病気と有効な薬剤

胡蝶蘭が病気にかかった場合は、症状が出ている箇所を切り取って薬剤で消毒を行います。

胡蝶蘭に起こりやすい病気と有効な薬剤は、以下のとおりです。

病気名 有効な薬剤
軟腐病、
褐斑細菌病
  • スターナ
  • ナレート
  • 塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)
炭疽病
  • ダイセン
  • ダコニール
立ち枯れ病 トップジンMペースト

胡蝶蘭が病気だった際の対処法や薬剤の使い方に関しては以下の記事でも詳しく解説しています。

胡蝶蘭の元気がない!原因別対処法と復活させるコツ【プロ監修】

胡蝶蘭に発生しやすい害虫と有効な薬剤

胡蝶蘭に害虫が発生した場合は、被害拡大を防ぐためにも、見つけたら早急に駆除しましょう。

胡蝶蘭に発生しやすい害虫と有効な薬剤は、以下のとおりです。

害虫名 有効な薬剤
カイガラムシ
  • スプラサイト
  • オリオン
コナカイガラムシ オリオン
ハダニ
  • ケルセン乳剤
  • テルスター
コナダニ
  • ケルセン乳剤
  • ペンタック
アザミウマ
(スリップス)
  • アドマイヤー
  • ペアセフェート水和剤(オルトラン)
アブラムシ
  • テルスター
  • オリオン
  • アドマイヤー
ナメクジ
  • マイキラー
  • アクテリック乳剤
アリ マラソン

害虫の駆除方法や、有効な薬剤の使い方については以下の記事で詳しく解説しています。

胡蝶蘭に寄生した害虫を駆除する方法は?被害を受けないための対策方法も解説

まとめ

胡蝶蘭を長く育てていくためには、2年~3年に1度の植え替えが必要です。

3年以上植え替えをしていない、根が大きくなって鉢からはみ出している場合は、急ぐ必要はないので来年の春まで待って植え替えを行うと良いでしょう。

しかし、植え込み材の劣化や根腐れ、病気が発生している場合は、放置しておくと胡蝶蘭が枯れてしまう原因となってしまうので、季節を問わず早めに植え替えを行います。

植え替え直後の胡蝶蘭は、株や根が弱っているので、取り扱いに注意が必要です。

植え替え後の
ケア方法
  • 10日程度は水やりを休む
  • 風通しの良い日陰に置く
注意点
  • 大きすぎる鉢に植え替えない
  • ハサミは消毒してから使う
  • 肥料は与えない
  • 植え替え直後の病害虫に注意する

水やりや肥料、病害虫などに注意して、元気な胡蝶蘭を育ててください。

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