胡蝶蘭の育て方

胡蝶蘭は土植えNG!水苔・バークなど適した植え込み材の選び方

胡蝶蘭は土植えできる?・おすすめの植え込み資材 ・水苔、バークの特徴や使い方を解説

Bloom Note編集部

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胡蝶蘭は一般的なお花のように土に植えることができない植物です。
胡蝶蘭を植える際は、水苔やバークなどの「植え込み材」と呼ばれる空気を通しやすい素材や培養土を用いるのが一般的です。

この記事では、胡蝶蘭を鉢植えする際に利用する植え込み材について解説していきます。
一般的な植え込み材の種類や、それぞれの植え込み材の特徴、使い方についても紹介します。

この記事を読むと分かること

  • 胡蝶蘭を土植えすると呼吸ができずに枯れる
  • 胡蝶蘭は土の代わりに植え込み材を使う
  • 水苔とバークの特徴、使い方

胡蝶蘭を土に植えるのがダメな理由

胡蝶蘭を土に植えると、根が呼吸できなくなり株が枯れてしまいます。

胡蝶蘭は「着生植物」と呼ばれる種類で原産地では木の上や岩盤に根を張って生活しています。
土の中には根を伸ばさず、空気中に伸ばした根から酸素や水分を直接吸収する特徴があります。

根からも呼吸をしているため、土の中では呼吸ができずに次第に弱ってしまいます。
また、土は水分が多いため根が湿気って根腐れが起こりやすくなります。

胡蝶蘭を植える際は、空気を通す植え込み材を用いて鉢植えするのが一般的です。
もしも土に植えてしまった場合は、再度植え替えを検討しましょう。

参考文献:着生植物 - Wikipedia

胡蝶蘭の植え込み材の種類

胡蝶蘭を植える際に利用される植え込み材は、主に以下の3つがあります。

  • 水苔
  • バーク
  • 洋ラン用培養土

それぞれの植え込み材の特徴について詳しく解説していきます。

水苔

水苔はコケの一種で、元々は湿地に生息しています。
一般的には水分を飛ばした「乾燥水苔」として販売されており、産地や不純物の混ざり具合などでグレードが決まります。

水苔を使う場合のメリット、デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 水やりが少なくて済む
  • 水苔の乾き具合で水やりタイミングが分かる
  • 材質が柔らかく根を傷つけにくい
デメリット
  • 水やりが多いと根腐れしやすい
  • 加湿状態だと水苔自体が腐りやすい
  • カラカラに乾きすぎると水を吸わなくなる

水で戻した水苔は柔らかいため、植え替える際に根を傷つけにくいメリットがあります。
保水性が良く、花が咲いた時期や成長期など、水分が必要な時期に水不足になりにくい特徴があります。

しかし、水分が抜ける前に水やりをしてしまうと過湿状態になり、カビや根腐れを引き起こす恐れがある点は注意しましょう。

BloomNoteライター
水苔は、乾かし過ぎると水分をほとんど吸収しなくなってしまいます。
乾燥水苔に近い状態に戻ってしまった場合は、鉢ごと水に沈めて水苔を柔らかくする必要があります。
100均の水苔はおすすめできない

セリア、ダイソーなどの100円ショップでも水苔が販売されていますが、購入はあまりおすすめできません

セリアの100円の水苔は「ハイゴケ」という種類で、胡蝶蘭の植え替えに適していません

また、ダイソーの200円の水苔は植え込み材として使えますがグラム数に対して少々割高です。
少量の水苔を求めている場合は構いませんが、ホームセンターで買った方がお得で品質も確かでしょう。

バーク

バークは、赤松や黒松の樹皮を砕いた素材です。
バークチップはサイズ別にS、Lなどが販売されているため、株の大きさに合わせて選択しましょう。

バークを使う場合のメリット、デメリットは以下のとおりです。

メリット
  • 通気性がよく根腐れしにくい
  • 根が呼吸しやすい
  • 植え替えが比較的簡単
デメリット
  • 水切れが早く、水不足になりやすい
  • 水やりタイミングが分かりにくい
  • 樹皮なので害虫が発生しやすい

排水性が良いため水切れがよく、根腐れしにくいという特徴があります。

また、バークはチップ状で通気性が良いため、胡蝶蘭の根が呼吸しやすいメリットがあります。
根が呼吸しやすいと、株が生長しやすくなります。

デメリットとしては、水切れが早いため水やりを忘れると水不足を起こす可能性があります。
水やりのタイミングも分かりにくいため、初心者の方にはチャレンジしにくい植え込み材かもしれません。

洋ラン用培養土

洋ラン用培養土は、軽石とバークチップなどを配合した培養土です。
各メーカーごとに成分が異なり、ココナッツハスクや固形肥料が配合されている場合もあります。

洋ランの植え付けを目的としており、根腐れ防止剤なども配合されているため比較的手軽に胡蝶蘭を管理できる特徴があります。

洋ラン用培養土は商品によって軽石やバークの大きさ、使い方なども異なります。
ホームセンターなどに実物を探しに行くか、各通販サイトで口コミをチェックしてみましょう。

胡蝶蘭には水苔とバークのどちらがおすすめ?

胡蝶蘭の植え込み材は、水苔とバークのどちらでも構いません
ご自分の水やりの頻度や、それぞれの植え込み材の特徴によって使い分けましょう。

ここでは、水苔栽培が向いている人とバーク栽培が向いている人の特徴を紹介します。

水苔が向いている人

水苔が向いている人は、以下のような方になります。

  • 忙しくて水やりを忘れがち
  • 水やり回数を減らしたい
  • 初心者の方

水苔は保水性が高いため、忙しくて頻繁な水やりが難しい方や、水やり回数を減らしたい方に向いています。
胡蝶蘭の他にも植物を育てている、お仕事や家事が忙しい方は水苔+素焼き鉢で育てるとお世話の手間が減りますよ。

また、水やりが必要なタイミングが分かりやすいため、胡蝶蘭を育てるのに慣れていない初心者の方におすすめです。

バークが向いている人

バークが向いている人は、以下のような方になります。

  • 根腐れさせずに育てたい方
  • 水やり頻度の管理がしっかりできる方
  • 植え替えを手軽に済ませたい方

バークは排水性が良いため、根腐れさせずに育てたい方に向いています。

ただし、水が切れやすいため水苔に比べて水やり回数が多くなりがちです。
小まめにお世話ができ、水やりを忘れない管理がしっかりできる方向けの植え込み材です。

また、水苔に比べるとバークは植え替えが簡単です。
植え替えで失敗したくない方はバークを選択するといいでしょう。

BloomNoteライター
植え込み材は、それぞれにメリットとデメリットがあります。
「どちらがいい」と断言できるものではないため、自分や育てる胡蝶蘭に合ったものを選択してくださいね。
参考のために、次の段落では水苔とバークの使い方を紹介していきます。

水苔の使い方

水苔を使う際は、事前に水苔を戻しておく必要があります。
ここでは、水苔の植え替え時に必要な以下の3点について確認しておきましょう。

  • 水苔は素焼き鉢と合わせる
  • 水苔の戻し方
  • 水苔の植え替え手順

水苔は素焼き鉢と合わせる

水苔を使う際は、素焼き鉢と組み合わせて胡蝶蘭を植えましょう。

素焼き鉢は水を吸う性質を持っており、水苔が乾くのを手伝ってくれます
また、素焼き鉢自体も水分を吸っていると色が変わるため、水やりのタイミングがより分かりやすくなります。

混ぜ物の割合によって素焼き鉢にも種類があるため、選ぶ際は「本素焼き鉢」と書かれた鉢を選ぶといいですよ。

水苔の戻し方

水苔は乾燥させた状態で販売されているため、使う前に水を与えてふわふわの状態に戻す必要があります。
ちゃんと戻していない水苔は、固さが残っている、吸水性が悪いなど本来の良さを発揮できない可能性があります。

水苔を戻す手順は以下のとおりです。

  1. ザルなどの水が切れる容器に水苔を出す
  2. 上から全体的に水をかける
  3. ひっくり返したりほぐしながら全体を湿らせる
  4. 1日置く
  5. 翌日、全体をほぐしてもう1回水をかける
  6. さらに1日置く

水苔を戻すためには最低でも2日ほどかかるため、水苔を使いたい場合は事前に戻しておきましょう。

BloomNoteライター
戻した水苔が余ったら、水分を切ってフリーザーパックなどに入れて暗冷所で保存しておきましょう。
湿気が残ったまま保存するとすぐにカビが発生したり腐ってしまうため注意が必要です。

水苔の植え替え手順

水苔を使った胡蝶蘭の植え替え手順は以下のとおりです。

  1. あらかじめ水苔を戻しておく
  2. 胡蝶蘭を鉢から取り出す
  3. 古い水苔をすべて取り除く
  4. 胡蝶蘭の傷んでいる根を切る
  5. 水苔を軽く絞って、根に巻き付ける
  6. 新しい鉢に水苔ごと入れる
  7. 隙間を水苔で埋める

バークの使い方

バークはそのまま使えるため、植え替え時は鉢の中に胡蝶蘭の株とバークを詰める流れになります。
ここでは、バークに最適な鉢の種類や植え替え手順など以下について確認していきます。

  • バークはポリポット、プラスチック鉢で使う
  • バークの植え替え手順

バークはポリポット、プラスチック鉢で使う

バークを使う際は、ポリポットプラスチック鉢に植えるのが一般的です。

バーク自体の水切れがいいため、素焼き鉢と合わせてしまうと排水性が良すぎて水不足を起こす恐れがあります。
また、バークは水やりのタイミングが分かりにくいため、透明のポリポットに植えると根が直接見えて観察しやすくなるためおすすめです。

バークの植え替え手順

バークを使った胡蝶蘭の植え替え手順は以下のとおりです。

  1. 胡蝶蘭を鉢から取り出す
  2. 古いバークをすべて取り除く
  3. 胡蝶蘭の傷んでいる根を切る
  4. 新しい鉢の底にバークを敷き詰める
  5. 胡蝶蘭の株を入れる
  6. 隙間を埋めるようにバークを入れ込む
BloomNoteライター
水苔、バーク共に植え替えた後は10日程度水やりを控えて風通しの良い日陰で胡蝶蘭を休ませましょう。
胡蝶蘭の植え替えについては「【失敗しない胡蝶蘭の植え替え】時期・方法・注意点|プロが教える成功の秘訣」で最適な時期や準備する道具などを詳しく解説しています。

まとめ

胡蝶蘭は空気中に根を伸ばす着生植物ですので、土に植えると呼吸ができずに枯れてしまいます。
胡蝶蘭を植える際は、土ではなく以下の植え込み材を利用するようにしましょう。

  • 水苔
  • バーク
  • 洋ラン用培養土

基本的には水苔とバークのどちらかが選択されることが大半です。

「どちらの植え込み材を選んだらいいの?」と迷ってしまう場合は、ご自分の育て方、置き場所などの環境と照らし合わせて合っている方を選びましょう。
一般的に、水苔が向いている方とバークが向いている方の特徴は以下のとおりです。

水苔向き
  • 忙しくて水やりを忘れがち
  • 水やり回数を減らしたい
  • 初心者の方
バーク向き
  • 根腐れさせずに育てたい方
  • 水やり頻度の管理がしっかりできる方
  • 植え替えを手軽に済ませたい方

水苔は保水性が高いため、水やり頻度を減らしたい方に向いている植え込み材です。
また、水苔の乾き具合で水やりタイミングが分かるため初心者の方におすすめです。

バークの場合は、水切れがいいため根腐れさせずに育てたい方に向いています。
通気性がよく乾きやすいため、水やりを忘れず、小まめにお手入れができる方におすすめです。

バークは植え替えが比較的簡単なため、植え替えに手間をかけたくない方にも向いていますよ。

どちらの植え込み材が向いているか分からない方や、初心者の方はまず水苔+素焼き鉢で育ててみてから他の育て方を検討してみましょう。

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