花屋を開業する時に慎重に検討したい点が「開業場所」です。
店舗の立地次第で客層や集客力が大幅に変わるため、開業後の売り上げが大きく左右されるポイントとなります。
花屋の開業場所の選び方として重要な点は「お店のコンセプトと場所の特性が一致しているか」です。
思い描く理想の花屋を実現するために、区域別の客層の特徴、集客しやすい場所選びのポイント、花屋に適した物件選びのコツを紹介します。
こんな方におすすめ
- 花屋を開業したいが、場所選びで迷っている
- お店のコンセプトに合った場所を知りたい
- 花屋に適した物件の選び方を知りたい
花屋の開業場所は「コンセプト」に合わせて選ぼう
まず実際に場所選びに取り掛かる前に、準備として必ず「お店のコンセプト・メインターゲットの設定」を行いましょう。
花屋を開業したいとお考えの方には、きっと思い描く理想のお店があることと思います。
その理想のお店像を具体的にしておくことで、お客さんのターゲット層が固まり、どの場所に出店すればメインターゲットを集客しやすいかも明確になってきます。
もしコンセプトが明確でないと、自分が作りたいお店・売りたい商品とメインターゲットが一致せず、経営が立ちいかなくなってしまうこともあります。
コンセプトを明確にしたうえで、周辺環境・メイン客層がコンセプトと一致しているエリアから絞り込んで調べていきましょう。
エリアごとの特色
例えば主婦をメインの客層として考えているなら住宅街、と言った風に、エリアの特性を踏まえた上での場所選びが重要になってきます。
エリアごとに見込めるメインの客層と、商品需要の傾向を紹介します。
オフィス街
用途としてビジネス・業務利用がメインの客層が多いエリアです。仕事帰りの会社員が立ち寄ることもあります。
特に活け込み業務などをメインとして検討しているならオフィス街がおすすめです。
住宅街
自宅にお花を飾る主婦層がメインターゲットとなります。自宅用の切り花や仏花、鉢植えなどが売れやすいエリアです。
ギフトより日常利用が多いため、手ごろな価格帯を特に意識する必要があります。
駅前
人通りが最も多いエリアで、通りすがりでふらっと立ち寄る客層がメインです。
持ち帰って自宅で飾りやすい切り花などが好まれやすい傾向にあります。
大型商業施設(ショッピングモール)
他の場所と異なり車での来店が多く、ファミリー層を中心に幅広いエリアからの流入が期待できます。
買い物の合間に立ち寄るという流れが予想されるため、店内は広めで見やすいレイアウト、様々な需要に対応できる品ぞろえを実現できればベストでしょう。
場所選びのポイント
花屋を開業する以上、お客さんが来てくれないと始まりません。集客を考えると、もちろん人通りがある場所への出店が望ましいでしょう。
ただし、人通りがとにかく多ければよいというものでもありません。
人通りがあり、なおかつ集客しやすい場所探しのポイントをご紹介します。
気になる場所は実際に現地に足を運んでみて、色々な時間帯・曜日の人の流れを観察してみると良いでしょう。
人の出入りが多い
単純に「人の出入りが多い」という条件で見た場合、当然都心部の駅前という立地になってきます。
しかし都会のど真ん中だと当然家賃が高く、また駅前への出店はコンセプトに合わないという人もいるでしょう。
都心や駅前でなくとも、「人の出入りがある場所」を見つけるポイントはいくつかあります。
まず簡単に人通りの多さを知りたいときに便利なのが、駅・バスなどの公共交通機関の利用者数です。
住宅街など、普段の人通りが確認しづらい場所も数字としてチェックできます。
毎日の利用者数と周辺環境がコンセプトに近いエリアを選ぶのがおすすめです。
利用者数が多くても、乗り換えに使われるだけの駅も多いので、実際に降りる駅として利用されているかも確認しましょう。
近所に大型商業施設など人気の施設がある場合も、そこに集まる人の流入が期待できます。
「あそこにこの施設があるから、この時間帯は…」という風に、「人の流れ」「人の傾向」「時間」などを意識して考えていきましょう。
周囲に競合店が少ない
エリアを決める上で事前に確認しておきたい重要なポイントは「周囲に競合となる店がどのくらいあるか」という点です。
花屋はもちろん、雑貨店やホームセンター、スーパーなども安く花が買えるため利用者が多く、競合店になり得ます。
競合店が存在する場合、周囲の競合店よりも人目につきやすい場所を確保したり、勝算の見込みを立てておきましょう。
周辺の環境が大きく変わる予定がない
もし開業時点で理想的な立地だったとしても、例えば1年後に新しい施設ができて、客層や周辺環境が変わってしまうかもしれません。
少なくとも数年以内に周辺で大規模な変化が起きないか、自治体が公開している「都市開発計画」にも目を通しておくと安心です。
自治体では10年程度~の中長期を踏まえた「都市計画マスタープラン」を公開しています。気になる点は自治体に直接問い合わせてみるのも良いでしょう。
物件選びのポイント
エリアの目星がついたら、いよいよ具体的な物件選びに入っていきます。
出店したい場所近辺の不動産屋や、店舗物件を専門に取り扱っている不動産屋に行き、条件を提示して相談してみましょう。
花屋に向いている物件の条件を紹介しますので、物件選びの際の参考にしてください。
入り口が広い「1Fの路面店」がおすすめ
花屋を経営していくにあたって、通りすがりのお客さんはできるだけ獲得していきたいところです。
通りすがりのお客さんをキャッチするなら、1Fの路面店が一目につきやすく有利です。
道路側にもディスプレイを広く展開しやすいので、もし検討しているエリアに1Fの物件があれば狙っていきましょう。
入り口が広く、店内の様子が見えやすいとなお良いでしょう。
入り口が狭く縦長の店舗よりは、入り口が広く横長の店舗の方が路面スペースが広く目を引きやすいです。
また店内の様子が見えないと入りづらい、というお客さんも呼び込みやすいというメリットがあります。
向きは温度が低い「北向き」がベスト
花の鮮度を保つには温度管理が非常に重要です。
特に路面店の場合、日差しの向きによって店内の温度が上がってしまうこともあります。
入り口が広い店舗を選ぶなら、北向きが最も温度が上がりにくくおすすめです。
広さはあまり意識しなくてOK
広さの基準は店舗のコンセプトによっても異なってきますが、一般的に花屋の開業には広さは必要ないと言われています。
高級路線を狙いたい場合を除けば、少し小さめの店内がたくさんの花で溢れている方が花屋さんらしく、魅力的に見えることもあります。特別人の出入りが激しい場所でない限り広さは二の次と考えて問題ありません。
物件自体の広さよりも、入り口の幅の広さや温度などの環境面を優先して選びましょう。
花屋開業時の場所の選び方・まとめ
花屋の開業時の場所選びについて、これまで解説してきたポイントと流れをまとめました。
場所選びの流れまとめ
- 店のコンセプトを設定する
- コンセプトに近いエリアに目星を付ける
- エリアの中で、有利な場所を探す
- イメージに近く、花屋向けの物件を探す
まずはコンセプトを固め、広域から徐々にエリア・物件を絞り込んでいく…という風に、一歩ずつ着実に進めていくのがベストです。
場所・物件探しは理想の店づくりへの第一歩。物件取得はかかる費用も大きいため、多少時間をかけてでも慎重に進めていきましょう。