胡蝶蘭は、洋ランの一種で着生蘭に分類されるお花です。
胡蝶蘭は、お祝いやお悔やみのシーンなどで贈られる機会が多いため知っている方も多いかと思います。
しかし、洋ランには胡蝶蘭の他にも数多くの種類があることをご存じですか。
この記事では、洋ランの分類の仕方や胡蝶蘭と同じ洋ランに分類される種類のお花をご紹介します。
この記事を読むと分かること
- 胡蝶蘭は洋ランの一種
- 洋ランの分類は生息地と根の生え方で区分される
- 胡蝶蘭以外の人気の洋ランの種類
洋ランと胡蝶蘭の違いとは?
胡蝶蘭は洋ランの一種で、洋ランは原産地が日本と中国以外の蘭の花の総称です。
洋ランに分類されているお花の中に「胡蝶蘭」という種類があることになります。
胡蝶蘭の来歴
胡蝶蘭は、東南アジアなどの熱帯地域が原産の洋ランの一種です。
胡蝶蘭は、明治時代にイギリスから日本に入ってきたと言われています。
発見された当時の野生種の多くは、花のほとんどが茶色く、羽を広げた蛾のように見えることから、ギリシャ語で「蛾のような」という意味の言葉「ファレノプシス」が学名になりました。
日本に入って来る前には品種改良が進んでおり、現在に近い姿になったようです。
そのため、日本ではその華やかで美しい姿から蛾ではなく「蝶が飛んでいる」ように見える姿から、和名は「胡蝶蘭」と名づけられました。
蘭は生息地・根の生え方で種類が分類される
蘭とはラン科の植物を指す総称です。
蘭には野生種だけでも1万~3万種類あり、品種改良種を含めると非常に多くの品種が存在しています。
これらの数多くの蘭は、生息地や根の生え方によって以下のように種類が分類されます。
- 生息地:東洋蘭、洋蘭
- 根の生え方:着生蘭、地生蘭
ここでは、それぞれの違いについてみていきましょう。
「生息地」による分類
蘭の生息地による分類は、以下のとおりです。
東洋ラン | 日本または中国が原産 |
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洋ラン | 日本と中国以外の地域が原産 |
シュンランやカンラン、フウラン、ケイランのように、日本や中国が原産で、比較的小型のシンビジューム属のランは「東洋ラン」に分類されます。
一方、胡蝶蘭をはじめとした日本と中国以外が原産となっているランは、すべて「洋ラン」になります。
明治時代と大正時代に欧米経由で日本に入ってきたランを指します。
「根の生え方」による分類
蘭の根の生え方による分類は、以下のとおりです。
着生蘭 | 木や岩に寄生して根を張り成長していく |
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地生蘭 | 地面・土に根を張り成長していく |
木の幹や岩肌に根を巻き付けるのが「着生蘭」、土の中に根を張るのが「地生蘭」と分類されます。
着生蘭は、むき出しになった長く伸びた根から空気中の養分を吸収して、厚い葉やバルブに蓄えて成長します。
一方の地生蘭は、根は地中に張り、空中に出ている大きく薄い葉で養分を吸収したり、光合成をしたりして成長します。
胡蝶蘭以外の代表的な洋ランの種類
日本で流通している代表的な洋ランには、以下のような種類があります。
- コチョウラン(ファレノプシス)
- バンダ
- シンビジウム
- オンシジウム
- パフィオペディラム
- カトレア
- デンファレ
- デンドロビウム
コチョウラン(ファレノプシス)
学名 | Phalaenopsis |
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英名 | Moth orchid |
和名 | 胡蝶蘭(コチョウラン) |
科名 / 属名 | ラン科コチョウラン属(ファレノプシス属) |
原産地 | 東南アジア、マレーシア、インド南部、台湾南部など |
根の生え方による分類 | 着生蘭 |
花言葉 |
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胡蝶蘭はファレノプシスという学名を持つランで、熱帯・亜熱帯地域が原産です。
日本では高級な花として知られていて、特にお祝いシーンの贈り物として選ばれています。
胡蝶蘭は着生蘭では珍しくバルブは生成されず、分厚い葉に水分や養分を蓄えます。
花の大きさは、2~4㎝のミニから12~15㎝の大輪まであり、花の色は白や白赤、ピンク、青、黄色など種類が豊富なのが特徴です。
生育環境が室内で作りやすく、水やりが少なくて済むのに寿命が長いので、初心者でも比較的育てやすいとされています。
バンダ
学名 | Vanda Orchid |
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英名 | Vanda |
和名 | 翡翠蘭(ひすいらん) |
別名 | 大王蘭(だいおうらん) |
科名 / 属名 | ラン科バンダ属(ヒスイラン属) |
原産地 | タイ、フィリピン、ネパール、オーストラリアなど |
根の生え方による分類 | 着生蘭 |
花言葉 |
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バンダは、花の寿命が長く、網目模様が入っているのが特徴の洋ランです。
キレイな紫色の花というイメージがあるかもしれませんが、最近では品種改良などが行われ、濃いピンクや白、黄色の花などもあります。
野生種は、主に東南アジアの熱帯地域の高い木々に着生して育っています。
そのため、通常は鉢植えではなく、植え込み資材なしのバスケットに入って吊り下げられていることが多いです。
一般的な花屋で売られていることは少なく、洋ランの専門店や展覧会などで見られます。
シンビジウム
学名 | Cymbidium |
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英名 | Cymbidium |
和名 | 霓裳蘭(ゲイショウラン) |
別名 | シンビジューム |
科名 / 属名 | ラン科シュンラン属(シンビジウム属) |
原産地 | 東南アジア、オセアニアなど |
根の生え方による分類 | 地生蘭 |
花言葉 |
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シンビジウムは、東南アジアから日本にかけて自生する原種を交雑育種(人工的に交雑を行い、新しい品種を作ること)して誕生した洋ランです。
開花時期が12~2月で、年末の贈り物としても良く使われます。
寒さに強く非常に丈夫で、暖地では屋外でも越冬できます。
植え替えを定期的に行い、日当たりの良い場所で育てれば、よく育ってキレイな花を咲かせます。
オンシジウム
学名 | Oncidium |
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英名 | Dancing lady orchid、Butterfly orchid、Oncidium |
別名 | 雀蘭(すずめらん)、群雀蘭(むれすずめらん) |
科名 / 属名 | ラン科オンシジウム属 |
原産地 | 中央~南アメリカ |
根の生え方による分類 | 着生蘭 |
花言葉 |
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オンシジウムは、垂れ下がった枝先にたくさんの花を付けることで知られる洋ランです。
黄色のイメージが強いかもしれませんが、黄色以外にもオレンジやピンク、クリーム色などもあります。
種類が豊富で、香りの良い小型サイズからボリュームのある花を咲かせる大型サイズまで、さまざまなタイプが存在します。
開花期間が長く、約1ヵ月間美しい花を楽しめます。
パフィオペディラム
学名 | Paphiopedilum |
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英名 | Paphiopedilum、Lady’s slipper |
和名 | 常葉蘭(トキハラン) |
科名 / 属名 | ラン科パフィオペディラム属 |
原産地 | 東南アジア、中国、インド |
根の生え方による分類 | 地生蘭 |
花言葉 |
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パフィオペディラムは、花のリップが袋状になっている姿が人気の個性的な洋ランです。
株にバルブは持たず、葉のみで育ちます。
比較的寒さに強く、5℃程度の温度で冬越しができます。
一般市場での流通は少ないため、あまり目にしないので、蘭の専門店などで探すといろいろな種類が見つかるでしょう。
カトレア
学名 | Cattleya |
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英名 | Cattleya |
和名 | ヒノデラン(日之出蘭) |
別名 | カトレヤ |
科名 / 属名 | ラン科カトレア属 |
原産地 | 中南米 |
根の生え方による分類 | 着生蘭 |
花言葉 |
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カトレアは、やや肉厚な葉と太いバルブ(茎)を持っていて、ヒダのある大きな花びらが特徴です。
大きな華やかな花を咲かせることから「洋ランの女王」とも呼ばれています。
品種改良により新しい品種が数々誕生していて、人気の洋ランです。
色や大きさのバリエーションが豊富で、大輪のものは鉢花や式典などの装飾、ブーケなどに使われることが多くあります。
小さいサイズのものは寒さに強いので、家庭でも育てやすいです。
デンファレ
学名 | Dendrobium phalaenopsis |
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英名 | den phal、cooktown orchid |
科名 / 属名 | ラン科セッコク属(デンドロビウム属) |
原産地 | ニューギニア、オーストラリア北部 |
根の生え方による分類 | 着生蘭 |
花言葉 |
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デンファレは、胡蝶蘭と似た花を咲かせるのが特徴の洋ランです。
幹に根を絡ませて着生する姿が、樹木に寄り添っているように見えるため、「お似合いのふたり」という花言葉が付けられています。
一般的な花屋さんでも取り扱われていることが多く、花もちが良いので、自宅用やプレゼント用などにも人気です。
デンドロビウム
学名 | Dendrobium |
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英名 | Dendrobium |
和名 | 長生蘭(チョウセイラン) |
別名 | デンドロビューム、セッコク |
科名 / 属名 | ラン科デンドロビウム属 |
原産地 | アジアの温帯~熱帯、オーストラリア、ニュージーランド |
根の生え方による分類 | 着生蘭 |
花言葉 |
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デンドロビウムは、品種が非常に多く、1,600種類以上もの品種があります。
たくさんの花を密集させて咲かせる姿が、華やかで美しいのが特徴です。
ランの仲間では比較的寒さに強い特性を持っており、丈夫です。
ノビル系やギンギアナム系、フォーモサム系、デンファレ系など種類がある中、ノビル系とギンギアナム系は、初心者でも育てやすく入手しやすいのでおすすめです。
胡蝶蘭が贈り物に人気な理由
洋蘭の品種は数多くありますが、その中でも特に胡蝶蘭は個人・法人ともに贈り物として人気を集めています。
胡蝶蘭が贈り物として人気な理由は、以下のとおりです。
- 豪華で華やかな見た目
- 花言葉の縁起が良い
- サイズや色の種類が豊富
- 花持ちがよく長く楽しめる
- 初心者でも簡単に育てられる
豪華で華やかな見た目
胡蝶蘭が贈り物として選ばれる大きな理由として、豪華で華やかな見た目があります。
胡蝶蘭には、高級感と圧倒的な存在感があるため、置いておくだけでもその空間を華やかに演出してくれます。
花言葉の縁起が良い
胡蝶蘭の花言葉は、以下になります。
胡蝶蘭のカラー | 花言葉 |
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全体 |
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白 |
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ピンク | あなたを愛します |
青 |
|
胡蝶蘭の花言葉である「幸福が飛んでくる」「純粋な愛」は、非常に縁起の良い言葉です。
そのため、「幸せ」を届けたい相手や「愛」を贈りたい相手への贈り物にぴったりだと言えます。
また白とピンク、青には、色別に花言葉が付いているので、より意味合いのある贈り物ができます。
サイズや色の種類が豊富
胡蝶蘭はミディや中輪、大輪などサイズが様々あり、色も白やピンク、白赤、青、黄色、紫などバリエーションが豊富です。
最近ではネイビーやスカイブルー、オレンジ、グリーンなどのカラフルな胡蝶蘭も誕生しています。
胡蝶蘭は選択肢が多いため、贈る相手に合わせやすいのも多くの方から選ばれている理由の一つです。
花持ちが良く長く楽しめる
胡蝶蘭は育成環境にもよりますが枯れにくいため、2〜3ヵ月も花が咲き続けます。
水やりの頻度も少なくて済むのに、長く美しい状態を保つので、オフィスなどにも贈りやすいです。
また胡蝶蘭の株は生命力が強いため、正しい方法で育てると10年近くは花を咲かせてくれます。
贈った胡蝶蘭を大切に育てて、長く楽しんでもらえることは、贈った側も嬉しいことですよね。
初心者でも簡単に育てられる
胡蝶蘭を育てるのは比較的簡単と言われているので、コツを掴めば初心者でも長い間キレイな花を楽しめます。
育て方が簡単な理由の一つに、水やりが少なくて済むことが挙げられます。
胡蝶蘭は基本的に、夏場は1週間~10日に1回、冬場は2週間~1ヶ月に1回の水やりで問題ありません。
まとめ
胡蝶蘭は、東南アジア、マレーシア、インド南部、台湾南部などの熱帯地域が原産地の「洋ラン」です。
野生の胡蝶蘭は、樹木の幹や樹皮、枝に張り付いて成長していく「着生蘭」に分類されます。
胡蝶蘭と同じ洋ランであっても、着生蘭と地生蘭では管理の方法も異なるので、それぞれ正しく理解する必要があります。
また洋ランの中でも、胡蝶蘭は贈り物に人気が高いです。
胡蝶蘭が贈り物に選ばれる理由として、以下をご紹介しました。
- 豪華で華やかな見た目
- 花言葉の縁起が良い
- サイズや色の種類が豊富
- 花持ちがよく長く楽しめる
- 初心者でも簡単に育てられる
ビジネスシーンや誕生日などさまざまなシーンで喜ばれるので、ぜひ胡蝶蘭を贈ってみてはいかがでしょうか?