胡蝶蘭の豆知識

胡蝶蘭に匂いや香りはある?【厳選】香りを楽しむ胡蝶蘭7選

胡蝶蘭に匂いはある?香りを楽しむ胡蝶蘭7選

Bloom Note編集部

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この記事はこんな人におすすめ

  • 胡蝶蘭に匂いや香りがあるか知りたい
  • 香りがある胡蝶蘭の品種を知りたい
  • 胡蝶蘭の香りの特徴や育て方は?

一般的な胡蝶蘭の多くは、ほとんど匂いや香りがありません
香りの成分はありますが、人間の嗅覚では感じ取れないほど微量なため匂いがないお花だと言われています。

しかし、一部の原種や交配種には香りがあります。

この記事では、香りがある胡蝶蘭の品種や、香りを引き出す育て方などを解説していきます。

胡蝶蘭には匂いがある?

胡蝶蘭の香りの有無は、品種によって異なります
一般的に流通しているファレノプシス系の胡蝶蘭は、ほとんど香りがないか、非常に弱い香りしか放っていないため人間の嗅覚では感じ取れません。

しかし、胡蝶蘭の中には、香りを放つ品種も存在します。

特に、原種に近い胡蝶蘭や、香りを重視して交配された品種は、特徴的な香りを持っています。
例えば、アマビリスは爽やかなグリーン系の香りを放つことで知られています。

BloomNoteライター
胡蝶蘭に香りが少ない理由は、品種改良の過程で香りよりも花の大きさや色、形状などの視覚的な特徴が重視されてきたためです。
原種の胡蝶蘭は自然の中で虫を引き寄せるために香りを出すように進化したため、お花に香りが残っています。

【品種別】胡蝶蘭の香りの特徴を比較

ここからは匂いや香りのある胡蝶蘭の品種を紹介します。
香りのある胡蝶蘭は、以下のとおりです。

香りがある
原種の胡蝶蘭
  • アマビリス
  • ビオラセア
  • シレリアナ
  • テトラスピス
  • ファシアータ
人気の交配種
  • ピンクガール(サクラン)
  • ピンロンチェリス

香りがある原種の胡蝶蘭、人気の交配種に分けて胡蝶蘭を品種を見ていきましょう。

BloomNoteライター
一般的に香りがある胡蝶蘭となっていますが、香りの強さは同じ品種でも個体差があります。
株によっては香りが弱い場合があり、香りをほとんど感じないことがある点に注意しましょう。

香りがある原種の胡蝶蘭:アマビリス、ビオラセアなど

昔からある原種の胡蝶蘭の中には、香りがするものがいくつかあります。
香りがある胡蝶蘭の品種と、香りの特徴は以下のとおりです。

品種名 香りの特徴
アマビリス シトラスやジャスミンを思わせる強い香り
ビオラセア レモンを思わせるフレッシュな香り
シレリアナ バニラを思わせるほのかな甘い香り
テトラスピス シナモンを思わせるスパイシーな香り
ファシアータ ジャスミンを思わせる甘い香り

それぞれの胡蝶蘭について詳しくご紹介します。

アマビリス(Phalaenopsis amabilis)

アマビリスは、シトラスやジャスミンを思わせる香りを放ちます。
香りは、特に朝方に強く感じられます。

可憐な白い花を咲かせる東南アジア原産の胡蝶蘭で、多くの胡蝶蘭の交配種の親として使われています。
一般的に出回っている白い大輪胡蝶蘭の交配元にもなったお花です。

品種名 アマビリス
学名 Phalaenopsis amabilis
香りの特徴 シトラスやジャスミンを思わせる強い香り
お花の特徴 可憐な白い花

ビオラセア(Phalaenopsis violacea)

ビオラセアは、柑橘系の香りが特徴的です。
香りは日中や朝方に強く感じられ、レモンを思わせるフレッシュな香りとも表現されます。

紫がかったピンクの星型の花を咲かせ、マレーシアやスマトラ島に自生する原種の胡蝶蘭です。

品種名 ビオラセア
学名 Phalaenopsis violacea
香りの特徴 レモンを思わせるフレッシュな香り
お花の特徴 紫がかった色合いの花

シレリアナ(Phalaenopsis schilleriana)

シレリアナは上品な印象の甘い香りが特徴的で、バニラのような繊細な香りがします。

フィリピンに自生する胡蝶蘭で、ピンク色の花を咲かせます。
また、シレリアナは、丈夫で育てやすい品種としても知られています。

品種名 シレリアナ
学名 Phalaenopsis schilleriana
香りの特徴 バニラを思わせるほのかな甘い香り
お花の特徴 ピンク色の花

テトラスピス(Phalaenopsis tetraspis)

テトラスピスの花の香りは、石鹸のようなさわやかさシナモンのようなスパイシーさを併せ持っています。

多くは白い花を咲かせますが、稀に赤い斑点が入ることがあります。
1輪ごとに異なる模様や色が楽しめるインド洋のアンダマン諸島原産の胡蝶蘭です。

品種名 テトラスピス
学名 Phalaenopsis tetraspis
香りの特徴 シナモンを思わせるスパイシーな香り、石鹸のようなさわやかな香り
お花の特徴 純白の花

ファシアータ(Phalaenopsis fasciata)

ファシアータの花の香りは、ジャスミンを思わせる甘く濃厚な香りが特徴的です。
お花が開花している際は、夜間に強い芳香を放ちます。

花びらは白地にワインレッドの横縞模様が入るのが特徴です。
花弁の周囲は波打っており、他の胡蝶蘭にはない独特の形をしています。
フィリピンを中心に東南アジアに分布する、夜咲きの胡蝶蘭原種です。

品種名 ファシアータ
学名 Phalaenopsis fasciata
香りの特徴 ジャスミンを思わせる甘く濃厚な香り(夜間に強い)
お花の特徴 白地にワインレッドの横縞模様、波打つ花弁

人気の交配種:ピンクガール、ピンロンチェリスなど

昔からある胡蝶蘭の香りの特徴を生かした新しい種類も人気です。
香りがある交配種の胡蝶蘭と、香りの特徴は以下のとおりです。

品種名 香りの特徴
ピンクガール 桜の花を思わせるほのかな甘い香り
ピンロンチェリス ほのかに甘い癒し系の香り

それぞれの胡蝶蘭について解説していきます。

ピンクガール(Pink Girl)

ピンクガールは、サクランとも呼ばれる新しい種類です。
ほのかな甘い香りが特徴で、桜の花を思わせるやさしい香りが春が来たような気分にさせてくれます。

花の形は丸みを帯びており、淡いピンク色の花を咲かせます。
花びらが重なり合うように咲く愛らしい胡蝶蘭です。

品種名 ピンクガール
学名 Pink Girl(サクラン)
香りの特徴 桜の花を思わせるほのかな甘い香り
お花の特徴 淡いピンク色の丸みを帯びた花

ピンロンチェリス(Phalaenopsis Pinlong Cheris)

ピンロンチェリスの花の香りは、ほのかに甘く優しい癒し系の香りが特徴的です。
顔を近づけると、ふわっと甘い香りが漂います。

花色は淡いピンク色で、白地にピンクのグラデーションが美しい品種もあります。
花弁はややひし形の可愛らしい花姿をしています。

交配種の胡蝶蘭で、Phal. Rothschildiana と Phal. Timothy Christopherを交配して作出されました。

品種名 ピンロンチェリス
学名 Phalaenopsis Pinlong Cheris
>香りの特徴 ほのかに甘く優しい癒し系の香り
お花の特徴 淡いピンク色、白地にピンクのグラデーション、ややひし形の可愛らしい花姿

香りがほとんどない品種:ファレノプシス、ミディ系など

普通に売られている多くの胡蝶蘭は、ほとんど香りがしません
香りがない胡蝶蘭の代表的な品種は以下のとおりです。

  • ファレノプシス:最も一般的な大きな花の胡蝶蘭
  • ハッピーバレンタイン:濃いピンク色の花が特徴
  • サクラヒメ:薄ピンクの花びらと濃いピンクのリップが特徴的

上記の品種は人間の嗅覚では感じ取れないわずかな香りしかありません。
病院や飲食店など、強い香りが邪魔になる場所に贈る際に活躍します。

胡蝶蘭の香りを最大限に引き出す方法

胡蝶蘭のお花の香りを楽しみたい場合は、時間帯や胡蝶蘭を健康に育てることも重要です。
胡蝶蘭の香りを引き出すためには以下の点にも気を配りましょう。

  • 香りが強くなるタイミング
  • 香りの強さを左右する要素
  • 育て方のポイント
  • 香りを長く楽しむためのお手入れ方法

香りが強くなるタイミング

胡蝶蘭の香りを強く感じるタイミングは、以下のとおりです。

  • 時間帯:朝方に香りが強くなる傾向
  • 温度:気温が上がると香りが強くなる
  • 開花段階:花が咲ききった時に最も香りが強くなる

胡蝶蘭は、全般的に朝方に香りの成分が強くなる傾向があります。
香りを楽しみたい場合は、時間帯や温度などに注目してみましょう。

香りの強さを左右する要素

胡蝶蘭の香りの強さは、以下の要素に影響されます。

  • 品種:昔からある種類や特定の新しい種類は香りが強い傾向があります。
  • 温度:適切な温度(18〜25℃)で香りが強くなります。
  • 湿気:湿気が多い(50〜70%)と香りが引き立ちます。
  • 光の量:適度な光が香りを作り出すのを助けます。

胡蝶蘭の品種に加えて、胡蝶蘭の好む環境を整えるようにしましょう。

育て方のポイント

香りを最大限に引き出すためには、胡蝶蘭を適切に育ててお花を綺麗なまま保つようにします。
育て方のポイントは以下の通りです。

置き場所 明るい室内で直接日光が当たらない場所
温度の管理 昼と夜の温度差を5〜10℃に保つ
湿気を保つ 加湿器の使用や水を入れた皿を置いて適切な湿気を保つ
水やり 平均10日に1回程度、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える

基本的には、一般的な胡蝶蘭の育て方と同じで問題ありません。

直射日光が当たらない明るい場所に置き、温度と湿度を適切に保つようにしましょう。
水やりが少なくても多くても花が早く落ちてしまうため、頻度に注意しましょう。

胡蝶蘭への水やり方法、水やりの頻度と判断タイミングについては以下の記事で詳しく解説しています。

胡蝶蘭の水やり:美しい花を長く楽しむためのコツ

香りを長く楽しむためのお手入れ方法

香りを長期間楽しむためには、お花の開花期間が長くなるように日頃からお手入れをすることが有効です。
お手入れには以下のようなものがあります。

  • 適切な肥料管理:成長期(春〜秋)に月1〜2回、薄めた液体肥料を与える
  • 花終わりの茎切り:花が終わったら茎を4〜5節残して切る
  • 枯れた花の処理:枯れた花や葉を適宜取り除く
  • 清潔な環境維持:葉や花の表面を定期的に掃除する

【図解】香り別!胡蝶蘭の選び方

胡蝶蘭を選ぶ際に「香りがあるものを選びたい」と思っても、選び方が分からず迷ってしまう方もいらっしゃるかと思います。

ここでは、以下の項目について解説します。

  • 贈り物に最適な香り
  • 自宅で楽しむ香り
  • 香りで選ぶ!胡蝶蘭の品種の選び方

贈り物、自宅用に最適なおすすめの胡蝶蘭や、選び方について見てみましょう。

贈り物に最適な香り

贈り物としては、控えめな香りの胡蝶蘭が適しています。
おすすめの胡蝶蘭の品種は以下のとおりです。

品種名 香りの特徴 おすすめポイント
ピンクガール 桜の花のような優しい香り 見た目も香りも華やか
ピンロンチェリス ほのかで甘く優しい 小ぶりな花とほのかな香りが可愛らしい

自宅で楽しむ香り

自宅で楽しむなら、より個性的な香りの胡蝶蘭がおすすめです。
おすすめの胡蝶蘭の品種は以下のとおりです。

品種名 香りの特徴 おすすめポイント
アマビリス さわやかな緑の香り リラックス効果
ビオラセア レモンのような爽やかさ 気分転換に最適

香りで選ぶ!胡蝶蘭の品種の選び方

香りがある胡蝶蘭を選ぶ際は、目的や置き場所、相手の好みで品種を選択しましょう。
胡蝶蘭を香りで選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

  • 目的に合わせた香りの強さを選ぶ
  • 個人の好みに合わせた香りの種類を選ぶ
  • 置く場所の環境に適した種類を選ぶ
  • 季節に合わせた香りを選ぶ(例:夏は爽やかな香り、冬は甘い香り)

香りのある胡蝶蘭の選び方【Q&A】

続いて、香りのある胡蝶蘭を選ぶ際によくある質問を紹介します。

香りのある胡蝶蘭はどこで購入できますか?

専門店や園芸店で扱っていることが多いです。
インターネットのお店でも買うことができます。

香りのある胡蝶蘭は値段が高いですか?

普通の胡蝶蘭より少し高めですが、香りを楽しめる分、十分な価値があります。

香りのある胡蝶蘭の育て方は難しいですか?

基本的な育て方は普通の胡蝶蘭と同じですが、香りを引き出すためには適切な環境づくりが大切です。

胡蝶蘭の香り成分と効果

胡蝶蘭の香りには、以下のような成分と効果があります。

  • リナロール:リラックス効果
  • ゲラニオール:細菌を抑える働き
  • ベンジルアセテート:気分転換効果

上記の成分によって、胡蝶蘭の香りにはストレスを減らしたり気分を良くしたりする効果が期待できます。

リナロール【リラックス効果】

リナロールは多くの植物の香り成分として知られており、リラックス効果があります。

研究によると、リナロールは神経に働きかけ、ストレスを減らしたりリラックスさせたりする効果があることが分かっています。

参考文献:ラベンダー精油に対する嗜好性を考慮した心理的リラックス効果の「見える化」

ゲラニオール【細菌を抑える働き】

ゲラニオールはバラのような香りがする成分で、細菌を抑える働きがあります。
研究によると、ゲラニオールは多くの微生物に対して効果を示し、香水や薬に広く使われています。

参考文献:Camphor—A Fumigant during the Black Death and a Coveted Fragrant Wood in Ancient Egypt and Babylon—A Review

ベンジルアセテート【気分転換効果】

ベンジルアセテートはジャスミンやクチナシなどの花の香り成分として知られ、気分を明るくする効果があります。
研究によると、ベンジルアセテートは香水に使われ、気分をリフレッシュさせる効果があるとされています。

参考文献:Ataman Kimya - Benzyl Acetate

まとめ

一般的に出回っている多くの胡蝶蘭に香りがありませんが、以下の原種や交配種には香りがあります

香りがある
原種の胡蝶蘭
  • アマビリス
  • ビオラセア
  • シレリアナ
  • テトラスピス
  • ファシアータ
人気の交配種
  • ピンクガール(サクラン)
  • ピンロンチェリス

胡蝶蘭の香りには強く出やすい時間帯があるため、香りを楽しみたい方はそれぞれの品種の香りが強くなりやすい時間帯を確認してみましょう。

また、胡蝶蘭の香りは株を健康に育ててお花を元気に保つ必要があるため、管理方法や育て方にも注意が必要です。

もしも香りのある胡蝶蘭を贈り物にしたい場合は、控えめな香りの品種を選ぶようにしましょう。
贈り物におすすめの胡蝶蘭は以下のとおりです。

  • 【ピンクガール】桜の花のような優しい香り
  • 【ピンロンチェリス】ほのかで甘く優しい

胡蝶蘭の香りにはリラックス効果細菌を抑える効果があることが科学的に証明されているため、生活に取り入れてみてくださいね。

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