胡蝶蘭の育て方

【胡蝶蘭を吊るす】空中栽培のやり方やメリット、育て方を解説

胡蝶蘭を吊るす管理法「空中栽培」を解説

Bloom Note編集部

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この記事はこんな人におすすめ

  • 空中栽培のメリット・デメリットを知りたい
  • 胡蝶蘭の空中栽培のやり方が知りたい
  • 空中栽培の胡蝶蘭のお手入れ方法を知りたい

胡蝶蘭の空中栽培は、鉢から根を取り出して上から吊るす育成方法です。
空中に浮かぶ綺麗な花々が魅力で、以下のような特徴があります。

メリット
  • 根腐れしにくい
  • 根の成長や健康状態が確認できる
  • 吊るすため置き場所を取らない
デメリット
  • 乾燥しやすい
  • 鉢植えよりお手入れの手間がかかる
  • 成長が緩やかな傾向がある

この記事では、胡蝶蘭を吊るすための準備と手順、空中栽培の胡蝶蘭の育て方を詳しく解説します。

空中栽培のメリットとデメリット

胡蝶蘭の空中栽培は根腐れを起こしにくい反面、乾燥しやすいため小まめな水やりと葉水が必要という特徴があります。

空中栽培は良い点もあれば悪い点もあり、育成に向いていない場合もあります。
メリット・デメリットをしっかり確認しておきましょう。

メリット

胡蝶蘭を空中栽培で育てる場合のメリットは以下のとおりです。

  • 根腐れしにくい
  • 根の成長や健康状態が確認できる
  • 吊るすため置き場所を取らない

それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

根腐れしにくい

胡蝶蘭を空中栽培で育てる一番の利点は、根腐れが起こらないことです。

根腐れとは、水のやりすぎで過湿状態が続き、根が腐ってしまう病気のことを指します。
空中栽培では根がむきだしになっているため、乾くのが早く過湿状態になることはありません。

根腐れさせてしまうリスクがかなり低くなります。

根腐れの症状については「胡蝶蘭の根腐れ【原因・症状・復活】プロが教える対処法と予防策」で詳しく解説しています。

根の成長や健康状態が確認できる

空中栽培では根の状態を直接確認することができ、根の乾き具合や成長過程を把握しやすい特徴があります。

根がどの程度乾いているのか目で見て確認できるため、水やりのタイミングが分かりやすくなります。

また、植物を育てるのが好きな方であれば「生長する姿を見るのが楽しい」という方もいらっしゃいますよね。
空中栽培であれば、新しい根が伸びる様子を観察できることも利点の1つです。

吊るすため置き場所を取らない

鉢植えであれば置くための場所を確保する必要がありますが、胡蝶蘭を吊るして育てる場合は空いたスペースを活用することができます。

また、空中栽培の胡蝶蘭はインテリアとしての魅力を持っています。
吊るし方や素材を工夫することでおしゃれな空間を演出することが可能です。

デメリット

胡蝶蘭を空中栽培で育てる場合のデメリットは以下のとおりです。

  • 乾燥しやすい
  • 鉢植えよりお手入れの手間がかかる
  • 成長が緩やかな傾向がある

それぞれのデメリットについて確認していきましょう。

乾燥しやすい

根が露出しているため、空中栽培の胡蝶蘭は非常に乾燥しやすい特徴があります。

胡蝶蘭は乾燥に強い植物ですが、乾燥しすぎると弱ってしまいます。
加湿器を用いて湿度を保つ、直接風が当たらないようにすると言った乾燥対策が必要です。

鉢植えよりお手入れの手間がかかる

空中栽培の胡蝶蘭は乾燥しやすいため、小まめな水やりと葉水を行う必要があります。
基本的に水やりは1日1回、葉水は1日2~4回程度とされているため、鉢植え栽培と比べるとお世話に手間がかかります

お仕事や家事などで時間が取りにくい人、なるべく手間をかけずに育てたい方には空中栽培は不向きでしょう。

成長が緩やかな傾向がある

空中栽培の胡蝶蘭は、鉢植え栽培と比べると成長スピードなどに以下の違いが出やすい傾向があります。

  • 成長のスピードが緩やか
  • 花数が少なめになりやすい
  • 花が小さくなりやすい

胡蝶蘭が元気に育つためには適度な水分が必要です。
根がむきだしの空中栽培では乾燥気味に管理することになるため、鉢植えで育てた時より成長しづらくなります。

「胡蝶蘭をぐんぐん生長させて立派な花を咲かせたい」と考えている場合は鉢植え栽培を選択しましょう。

空中栽培の準備

胡蝶蘭の空中栽培を始める際は、以下を確認して準備をしておくようにしましょう。

  • 空中栽培に向いている胡蝶蘭
  • 必要な道具・材料
  • 設置場所の選び方

空中栽培に向いている胡蝶蘭

空中栽培に向いている胡蝶蘭の特徴は以下のとおりです。

  • 根が丈夫な品種
  • 乾燥に強い品種
  • 小さい胡蝶蘭

具体的には、一般的に流通している大輪胡蝶蘭や、ミニ胡蝶蘭が空中栽培向きです。

大輪胡蝶蘭は根が丈夫で、空気中の水分を吸収する能力が高いため乾燥に強い傾向があります。
また、ミニ胡蝶蘭はサイズが小さいため株の移動がしやすく、管理がしやすい特徴があります。

必要な道具・材料

胡蝶蘭の空中栽培を始める際は、以下の道具と材料を用意しましょう。

  • ハンギングバスケット(吊りカゴ)
  • フック
  • ワイヤー、紐など
  • 清潔なはさみ
  • 霧吹き
BloomNoteライター
空中栽培の道具は、どんな風に飾りたいかによって調整しましょう。
吊りカゴは胡蝶蘭の根が入るサイズを選ぶ必要がありますが、ワイヤーや紐は株が落ちない強度があるものなら好きなもので構いません

設置場所の選び方

胡蝶蘭を空中栽培で育てる際の設置場所は室内がおすすめです。
梅雨頃なら屋外でも構いませんが、他の時期は環境を整えるのが難しいことが理由です。

また、屋内でも胡蝶蘭を吊るすにに最適な場所の条件と注意点は以下のとおりです。

条件 注意点
  • 明るい間接光
  • 温度18℃~25℃
  • 湿度60%~80%
  • 直射日光は避ける
  • エアコンの風が直接当たらない場所
  • カーテンなどがぶつからない場所
BloomNoteライター
定番の設置場所としてはキッチンやリビングなどがあります。
窓際のカーテンレールに胡蝶蘭を吊るす場合は、カーテンとぶつかったり、外気による温度変化に注意しましょう。

胡蝶蘭の吊るし方の手順

胡蝶蘭を吊るす際は以下の手順で作業を行います。

  1. 根の処理を行う
  2. 直接吊るす場合はそのまま設置する
  3. 吊りカゴに入れて設置する

胡蝶蘭の株を直接吊るす場合と、吊りカゴに入れる場合で若干手順が異なります
それぞれの工程について確認してみましょう。

根の処理を行う

鉢植えで胡蝶蘭を育てている場合は、鉢から株を出して根を綺麗にします。
根を処理する手順は以下のとおりです。

  1. 胡蝶蘭を鉢から慎重に取り出す
  2. 根に付いた植え込み材を優しく取り外す
  3. 枯れた根や腐った根を清潔なはさみで切り取る

植え込み材に水苔を使っていた場合は、外側から解して水苔を外していきましょう。

直接吊るす場合はそのまま設置する

胡蝶蘭をそのまま吊るす場合は、胡蝶蘭に紐などで結んで上から吊るします。
直接胡蝶蘭を吊るす場合の手順は以下のとおりです。

  1. 根の付け根(茎)の部分に紐やワイヤーを結ぶ
  2. 選んだ場所に吊るす

吊りカゴに入れて設置する

吊りカゴを利用する場合は、胡蝶蘭が落ちないようにカゴに固定する等の対処を行いましょう。
吊りカゴに入れて胡蝶蘭を吊るす場合の手順は以下のとおりです。

  1. 根が吊りカゴに入るように胡蝶蘭を置く
  2. 必要に応じて、柔らかい紐やワイヤーで株を固定する
  3. 吊りカゴを選んだ場所に設置

胡蝶蘭を吊りカゴに固定する際の注意点

胡蝶蘭の株を固定する際は、以下の点に注意しましょう。

  • きつく縛りすぎず、成長に余裕を持たせる
  • 固定箇所は1~2か所程度にする
  • 根に紐を結んで固定しない

使用するカゴによりますが、カゴに固定する場合は茎の部分を固定すると安定します。
底面や側面に穴があるタイプのカゴであれば、根を外に出して株を安定させるという手もあります。

また、根を固定すると折れる原因になったり自然に枯れた際に空洞ができてしまうため避けるようにしましょう。

空中栽培の胡蝶蘭の育て方

空中栽培の場合、胡蝶蘭に水やりを行う頻度が鉢植えとは異なるため注意が必要です。
ここでは「水やり」と「肥料の与え方」について解説していきます。

水やり方法

空中栽培の胡蝶蘭への基本的な水やりの方法は以下のとおりです。

やり方 頻度
ドボン法 胡蝶蘭の根を20分ほど水に浸す 1日1回(夕方)
葉水 葉の表面、裏側に霧吹きで水をかける 1日2~4回

季節や気温によりますが、1日1回夕方にドボン法で水やりを行います。

1日1回の水やりでは乾燥してしまいますが、1日に何度も水やりすると根腐れする可能性があります。
葉水をして葉の表面や空気中から水分を吸収できるようにしましょう。

BloomNoteライター
葉水の際に直接根に水を吹きかけると、根が過湿になる可能性があります。
根には水をかけず、葉にのみ水をかけるようにしましょう。

水苔、ペットボトルを利用すると水持ちが良くなる

水やりをしても乾燥する、水やりと葉水の手間がかかると感じた場合は、以下のアイテムを活用してみましょう。

水苔 根に少量の水苔を巻いて吊りカゴに入れる
ペットボトル(容器) 胡蝶蘭の株を入れた容器を吊りカゴに入れる
ビニール袋 根を覆うようにビニール袋で包む

根の周りを覆うことで保水ができ、乾燥を防止できます。
根の乾き具合を確認しながら、必要に応じて水やりの頻度を2~3日に1回程度に調整しましょう。

株を容器に入れる場合は、直接水を注いで水やりが可能

ペットボトルなどの容器に胡蝶蘭を入れて吊るす場合、容器に直接水を注いで水やりできます。

容器の形や大きさによりますが、大体根が1cmほど水に浸かるように水を注ぎます。
胡蝶蘭の株を移動させる必要がないため、水やりが楽になりますよ。

肥料の与え方

空中栽培でも、胡蝶蘭が成長期で葉や根を伸ばしている場合は肥料を与えることができます。
胡蝶蘭のみを吊るしている空中栽培では固形肥料は使えないため、液体肥料を用いるようにしましょう。

肥料の種類 洋ラン専用の液体肥料
成長期の肥料頻度 1~2週間に1回程度
休眠期の肥料頻度 肥料は与えない
濃度 肥料の推奨濃度の1/2〜1/3程度

肥料の与え方は使用する肥料よって異なる場合があります。
用法・用量などの注意書きに従って調節しましょう。

また、胡蝶蘭は少ない肥料で育つため、肥料の稀釈率は説明書きの2倍程度にしておくと安心です。
肥料焼けや夏場に水分が蒸発して濃度が濃くなる事故を防ぐことができます。

根を育てたい時は「メネデール」を活用する

メネデールは植物の活力剤と呼ばれており、1年を通して利用できる植物のサプリメントです。

根と芽の成長、光合成を促せるため弱っている胡蝶蘭にも使うことができます。
根腐れが原因で空中栽培に切り替えた場合や、根の成長が悪いと感じた際はメネデールを活用しましょう。

また、メネデールは肥料と混ぜて使うことができます。
メネデールを混ぜることで肥料の吸収が良くなるため、根や葉を生長させている胡蝶蘭には混用がおすすめです。

胡蝶蘭を空中栽培で育てる際の注意点

胡蝶蘭を空中栽培で育てる際は、以下の点に注意が必要です。

  • 安定するように吊るす
  • 根を傷つけないようにする
  • 気温が下がる冬場は水分残りに注意する

安定するように吊るす

空中栽培を行う際は、胡蝶蘭が落ちてしまわないように注意しましょう。
吊るした時に加えて定期的に以下の項目をチェックしてみましょう。

  • 胡蝶蘭が傾いていないか確認する
  • フックやワイヤーの強さを確認する
  • 定期的に固定具をチェックする
  • 必要に応じて固定具を交換する

根を傷つけないようにする

空中栽培の胡蝶蘭に水やりをする際に、根を傷つけないように気を付けましょう。

毎日ドボン法で水やりを行うと、水を張った容器に浸ける際などに根をぶつけやすくなります。
強い衝撃を加えると根が折れてしまう恐れがあるため移動や水やりの際は特に注意しましょう。

気温が下がる冬場は水分残りに注意する

冬場は葉の付け根などに水分が残らないように注意が必要です。
寒い時に水分が残ると、そこから寒さにあさって凍傷を起こしてしまう可能性があります。

特に空中栽培は1日の葉水の回数が多いため、水を吹きかける場所に気を付けるか、水分が残らない吊るし方を行いましょう。

まとめ

胡蝶蘭を吊るして管理する空中栽培には、以下のメリットとデメリットがあります。

メリット
  • 根腐れしにくい
  • 根の成長や健康状態が確認できる
  • 吊るすため置き場所を取らない
デメリット
  • 乾燥しやすい
  • 鉢植えよりお手入れの手間がかかる
  • 成長が緩やかな傾向がある

根が乾きやすいため根腐れしにくい良い面もあれば、乾燥防止に小まめに水やりをしなければいけない悪い面があります。
空中栽培を行う場合は、特徴を把握した上で挑戦してみるようにしましょう。

空中栽培に向いているのは、根が丈夫で乾燥に強い大輪胡蝶蘭と、小さくて管理がしやすいミニ胡蝶蘭です。

胡蝶蘭を吊るすならキッチンやリビングなどの室内がおすすめです。
温度と湿度を確保でき、エアコンの風やカーテンが当たらない明るい場所に吊るすようにしましょう。

胡蝶蘭を吊るす際の手順は以下のとおりです。

  1. 根の処理を行う
  2. 直接吊るす場合はそのまま設置する
  3. 吊りカゴに入れて設置する

空中栽培の場合、水やりを1日1回行う必要があります。
水のやり方や肥料の与え方について改めて確認しておきましょう。

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