胡蝶蘭の育て方

胡蝶蘭の肥料はいつ与える?失敗しないための与え方と注意点

2024.07.25

胡蝶蘭の肥料の与え方・タイミング おすすめの肥料・注意点も解説

Bloom Note編集部

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この記事はこんな人におすすめ

  • 胡蝶蘭に肥料を与えるタイミングが分からない
  • 肥料の与え方やおすすめの肥料を知りたい
  • 肥料を使う場合の注意点を知りたい

胡蝶蘭は基本的に肥料がなくても育ちますが、翌年の開花に向けて株を健康にしたい葉を増やしたい場合は肥料を与えるのが有効です。

胡蝶蘭に肥料を与えるタイミングは、春~秋までの成長期が最適です。
しかし、与え方や胡蝶蘭の状態によっては肥料を与えない方がいい場合もあります。

胡蝶蘭に肥料を与えたい場合は、まず以下の2点を確認しましょう。

  • 気温が15~30℃の間
  • 花が咲いていない時

また、肥料には成分や形状によって4つの種類があります。
初心者の場合は液体肥料の「ハイポネックス」がおすすめです。

この記事では、肥料の与え方やタイミング、液体肥料「ハイポネックス」がおすすめの理由を解説していきます。

肥料を与えるタイミング

肥料のタイミング目安

胡蝶蘭に肥料を与えるタイミングは、春~秋にかけてが最適です。
肥料を与える場合は以下の2つの条件を満たしているか確認してみましょう。

  • 気温が15~30℃の間
  • 花が咲いていない時

気温が15~30℃の間

胡蝶蘭に肥料を与える際は、気温15~30℃に温度管理を行うか、春~秋頃に与えるようにしましょう。

胡蝶蘭は成長期に最も栄養を吸収します。
気温が15℃未満、または30℃を超えると生育が止まり、根の動きが弱まるため肥料の吸収が悪くなります。

成長期以外の時期は栄養を吸収しきれず枯れてしまうため注意が必要です。

花が咲いていない時

花を咲かせている間、胡蝶蘭は株に蓄えたエネルギーを消費するため肥料を吸収しません

開花中の株に肥料を与えると、花の寿命が短くなったり、早く落ちてしまう可能性があります。
花が咲いていない、または花が終わった成長期(5~9月)に肥料を与えることで、次の開花に向けて株を立派に育てられます。

BloomNoteライター
肥料を与える際は植物の状態を観察して成長期が始まったか確認しましょう。
例えば、成長期でも猛暑が予想される時期は肥料を控える、気候が穏やかな初夏や秋の時期に集中的に与えるなど、気温に応じた調整も効果的です。

胡蝶蘭に最適な肥料の種類

胡蝶蘭の美しい花を咲かせるためには、適切な肥料の選び方が重要です。
ここでは、胡蝶蘭に最適な肥料の種類について詳しく解説します。

胡蝶蘭の肥料は主に4種類

胡蝶蘭用の主な肥料4種

胡蝶蘭の肥料は、大きく以下の4種類に分類されます。

  • 有機肥料
  • 化学肥料
  • 固形肥料
  • 液体肥料

有機肥料

有機肥料は天然由来の成分から作られています、
ゆっくりと栄養が染み出すため、胡蝶蘭に優しいという特徴があります。

特徴
  • 自然由来の肥料
  • ゆっくりと栄養が染み出す
メリット 胡蝶蘭への悪影響が少ない
デメリット 臭いが強いことが多い
肥料例 魚かす、骨粉、バットグアノ

化学肥料

化学肥料は成分が科学的に合成された肥料です。
即効性のものが多く、有機肥料に比べて効果が強いため与える量には注意しましょう。

特徴 科学的に合成された成分で作られている
メリット 効果が早く現れる
デメリット 効果が強いため、与える量に注意が必要
肥料例 ハイポネックス、マグァンプK

固形肥料

固形肥料は、液体以外の形状の肥料のことを指します。
有機肥料と化学肥料の両方があり、鉢の上に置いて使うことがほとんどです。

効果がゆっくりと現れ、効き目が3~12か月と長く続く特徴があります。

特徴
  • 形は粒状やスティック状の固形
  • 植え込み材の上に置いて使う場合が多い
メリット 一度置くと長期間効果が持続する
デメリット 効果がゆっくり現れる
肥料例 マグァンプK、プロミック錠剤

液体肥料

液体肥料は、水で希釈するかそのまま使える液体の肥料です。
固形肥料と比べると即効性に優れている反面、1~2週間に1度程度の頻度で与え直す必要があります。

特徴 水で希釈するか、そのまま与えられる
メリット 即効性に優れている
デメリット 頻繁に与える必要がある
肥料例 ハイポネックス洋ラン用、専用液肥 洋ラン

胡蝶蘭の肥料は三要素の割合を確認

窒素:葉の成長促進 リン:花芽の形成促進 カリウム:根の成長を促す

肥料に含まれている三要素(窒素、リン、カリウム)は、それぞれ胡蝶蘭の成長に異なる影響を与えます。

肥料を選ぶ際は、窒素・リン・カリウムの三要素の割合に注目してみましょう。
それぞれの栄養素が胡蝶蘭に与える影響は以下のとおりです。

  • 窒素(N):葉の成長を促進し、緑を濃くする
  • リン(P):根の発達と花芽の形成を助ける
  • カリウム(K):根の発育を促し、病気への抵抗力を高める

胡蝶蘭の生育段階に応じて栄養のバランスを調整するといいでしょう。
例えば、成長期には窒素を多く含む肥料を、開花前にはリンを多く含む肥料を与えるといった具合です。

市販のおすすめ肥料3種

市販されている胡蝶蘭専用の肥料は、初心者でも安心して使用することができます。
おすすめの市販肥料は以下のとおりです。

肥料名 形状 NPK比 特徴
ハイポネックス洋ラン用 液体 6:6:6 バランスが良い
マグァンプK 固形 6:40:6 リン酸が多い
プロミック錠剤 錠剤 10:12:10 緩効性

それぞれの肥料について詳しく紹介します。

ハイポネックス洋ラン用

ハイポネックス洋ラン用は、NPK(窒素、リン、カリウム)比が6:6:6とバランスよく配合されています。
また、ビタミンやトレハロースも含まれており、成長に必要な栄養素を供給してくれます。

与える肥料の量が調節しやすく、扱いやすい点でもおすすめの液体肥料です。

肥料名 ハイポネックス洋ラン用
形状 液体肥料
NPK比 6:6:6
特徴 三要素の配合バランスが良い
使用方法 希釈して2週間に1回程度与えるのが一般的

マグァンプK

マグァンプKは緩効性の固形肥料で、約3~4か月程度効き目が継続します。
NPK(窒素、リン、カリウム)比が6:40:6で、特にリン酸が多く含まれており、花芽の形成を促進する効果が期待できます。

肥料名 マグァンプK
形状 固形肥料
NPK比 6:40:6
特徴 リン酸の配合が多い
使用方法 鉢の上に置き、2〜3ヶ月に一度追加する

プロミック錠剤

プロミック錠剤はリン酸を多く含み、ゆっくりと効果が現れる固形肥料です。

NPK(窒素、リン、カリウム)比が10:12:10で、花芽の形成を促進し、花の色を鮮やかにします。

肥料名 プロミック錠剤
形状 錠剤
NPK比 10:12:10
特徴 リン酸の配合が多めで緩効性
使用方法 鉢に数粒置き、2〜3ヶ月に一度追加する

自作肥料の作り方

経験豊富な栽培者の中には、自作肥料を好む方もいます。
自作肥料のメリットは、コストを抑えられることと、胡蝶蘭の状態に合わせて細かく調整できる点です。
簡単な自作肥料のレシピを3件ご紹介します。

バナナピール

バナナの皮にはカリウムやマグネシウム、カルシウムなどが含まれています。
バナナの皮を使うと、花芽の生長を助けたり葉緑素の生成を助けてくれるため葉が健康になります。

作り方

液肥の場合

  1. バナナの皮を細かく切り、水に浸して3日ほど発酵させる
  2. 発酵液を5〜10倍に希釈する
  3. 週に1回程度の頻度で与える

粉末の場合

  1. バナナの皮を乾燥させて粉末にし、水に溶かして使用する

ニンニク水

ニンニクには抗菌効果があるアリシンが含まれており、植物病気予防に役立ちます。
また、ビタミンやカリウムによって根の成長などが促進します。

作り方
  1. ニンニク2〜3片を皮ごと細かく刻む
  2. 150ccの水に浸す
  3. 一晩置いた後に茶越しで濾す
BloomNoteライター
ニンニク水を使う際は、10~20倍に希釈して使いましょう。
ニンニク水の高価や正しい使い方は「胡蝶蘭にニンニク水!?驚きの効果と正しい使い方」を参考にしてくださいね。

米のとぎ汁

米のとぎ汁はビタミンB1が豊富で、根や植物の生長を促進します。
そのまま米のとぎ汁を使うとカビや悪臭の原因になるため、発酵させてから使うようにしましょう。

使い方
  1. ペットボトルに米のとぎ汁と糖分を入れて1か月程置く
  2. 3~5倍に希釈する
  3. 3日に1回程度の頻度で与える
BloomNoteライター
自作肥料は市販の肥料に比べると栄養素が偏っていたり、効果が弱い特徴があります。
肥料の与え方を誤ると胡蝶蘭が弱ってしまうため、初心者の方はまず市販の専用肥料から始めてみましょう。

肥料の与え方

胡蝶蘭への肥料の与え方は、生育期と休眠期で異なります
肥料を与える場合は、それぞれの時期に合わせて肥料を与えるようにしましょう。

成長期(5月~9月)の肥料の与え方

胡蝶蘭に肥料は液体肥料と固形肥料では与え方が異なるため、それぞれの特徴を理解して使用しましょう。
液体肥料と固形肥料の大まかな与え方は以下のとおりです。

液体肥料 固形肥料
頻度 1~2週間に1回 2~3ヶ月に1回
濃度・量 通常の1/4~1/2 1~3粒
与え方 水やりと一緒に 鉢の表面に置く

液体肥料、固形肥料、それぞれの肥料の与え方を詳しく見てみましょう。

液体肥料の場合

液体肥料は即効性があり、植物が素早く栄養を吸収できるのが特徴です。
液体肥料の頻度や使い方は以下のとおりです。

  • 頻度:1~2週間に1回
  • 濃度:通常の1/4~1/2に薄める
  • 方法:水やりの際に肥料を混ぜて与える
BloomNoteライター
液体肥料を使用する場合は、用法のさらに2倍程度に希釈すると根焼けの心配が少なくなります。
例えば、ハイポネックス原液は「1000倍に希釈する」と書かれていますが、使用時に2000倍に希釈します。

固形肥料の場合

固形肥料は緩効性で、長期間にわたって安定した栄養供給が可能です。
液体肥料の頻度や使い方は以下のとおりです。

  • 頻度:2~3ヶ月に1回
  • 量:鉢の大きさに応じて1~3粒程度
  • 方法:鉢の表面に均等に置く

固形肥料を使う場合は、マグァンプKなどの緩効性肥料が適しています。

休眠期(10月~4月)は基本的に肥料を与えない

休眠期には、胡蝶蘭の成長が緩やかになり、必要な水分や栄養量が少なくなります。
この時期は基本的に肥料を与えません

4月はまだ最低気温が15℃を下回ることもあるため、急いで肥料を与える必要はありません。
4月の後半ごろに気温が15℃以上になって早めに生長が始まっていたら非常に薄い液体肥料(通常の1/10程度)を1回だけ与えるようにします。

肥料を与える際は、お花が咲き終わっていることをしっかり確認しましょう。

肥料を与える際の注意点

胡蝶蘭は少ない栄養で育つ植物ですので、肥料を与えすぎると枯れてしまう恐れがあります。
胡蝶蘭に肥料を与える際には、以下の点に注意しましょう。

肥料の与えすぎは逆効果

肥料の与えすぎは逆効果

胡蝶蘭は肥料を与えすぎると以下のような問題が起こる可能性があります。

  • 根腐れ
  • 塩害
  • 花芽の形成阻害
  • カビ

対策としては、肥料は必ず希釈して使用する、適量を与えることが重要です。
また、定期的に鉢の表面を軽く洗い流したり、真水を与えて鉢の内外に薬剤の蓄積を防ぐようにしましょう。

根腐れ

肥料を与えすぎると根に負担がかかり、根腐れを引き起こす可能性があります。
特に株が休眠している時、根の調子が悪く栄養吸収が悪くなっている時に肥料を与えてしまうと根腐れが発生しやすくなります。

塩害

肥料を与えすぎると、鉢内の塩分が累積して塩害を引き起こします。
これにより、葉が黄色くなったり、枯れたりする症状が現れます。

花芽の形成阻害

窒素分の多い肥料を与えすぎると、花芽の形成が阻害される可能性があります。
葉の成長は促進されるため、与えすぎない、花芽の時期は避けるなど気をつけましょう。

カビ

有機質の肥料を使用する場合、特に湿度の高い環境ではカビが発生しやすくなります。
胡蝶蘭の鉢を風通しの良い場所で育てるなど鉢内の通気性を良くしましょう。

肥料の栄養素を確認する

肥料に含まれている窒素、リン、カリウムが植物に及ぼす影響がそれぞれ異なります。
胡蝶蘭に肥料を与える際は、肥料の栄養素のバランスにも注目してみましょう。

例えば、窒素は葉の生長を促し、リンは花芽の生成を促進してくれます。
成長期で葉をしっかり育てたい胡蝶蘭に、窒素配合が少ない肥料を与えてもあまり効果は出ないでしょう。

生長サイクルによって肥料を変えたい等の希望がない場合は、NPK(窒素・リン・カリウム)比がバランスの取れた肥料(例:6:6:6)を使いましょう。

洋ランの用の肥料を選び、用法用量を守る

肥料は、胡蝶蘭専用または洋ラン用の肥料を選ぶことをおすすめします。

専用の肥料の場合、基本的な3つの栄養素に加えて胡蝶蘭の生長に必要なミネラルやカルシウムなどが適切に配合されています。

製品によって稀釈の割合や使用頻度が異なるため、使用する際は記載された用法・用量を守りましょう
液体肥料の場合は通常の1/4〜1/2に薄めて使用し、固形肥料は指定された量を超えないよう注意が必要です。

まとめ

胡蝶蘭に肥料を与える際は、成長期である春~秋(5~9月頃)に与えるようにしましょう。
また、肥料を与える際は以下の2点を満たしているか確認が必要です。

  • 気温が15~30℃の間
  • 花が咲いていない時

胡蝶蘭の肥料を選ぶ際は、「液体肥料」と「固形肥料」から効果が出るスピードや与える頻度を加味して選ぶようにしましょう。

バナナピールやニンニクから自作肥料を作ることもできますが、初心者の方はまず市販の液体肥料「ハイポネックス洋ラン用」を利用してみるのがおすすめです。
配合されている栄養のバランスがよく効果が出るのが早い特徴があります。

ただし、肥料の与えすぎは根腐れやカビ、塩害の原因となります。
容量を守ることはもちろんですが、通気性を良くしたり塩分が鉢の内外に残らないように対策を行いましょう。

よくある質問(Q&A)

胡蝶蘭の肥料について、多くの方が疑問を抱えています。
ここでは、よくある質問とその回答を詳しく解説します。

肥料を与える頻度は?

胡蝶蘭の肥料の頻度は、生育期(5月~9月)と休眠期(10月~4月)で大きく異なります。

生育期
(5月~9月)
  • 液体肥料の場合:1~2週間に1回
  • 固形肥料の場合:2~3ヶ月に1回
休眠期
(10月~4月)
基本的に肥料は与えない

注意点として、気温が15℃以下や35℃以上の場合は、肥料を与えないようにしましょう。
また、花が咲いている時期も肥料は控えめにします。

最適な肥料の濃度は?

胡蝶蘭は少ない栄養でも生長するため、肥料は薄めて使用しましょう

  • 液体肥料:通常の1/4~1/2に薄める
  • 固形肥料:製品の説明書に記載されている量を守る(例:5号鉢に対し2g程度)

窒素、リン、カリウムの比率が6:6:6などバランスの取れた肥料が扱いやすくておすすめです。

肥料を与えすぎた場合の対処法は?

肥料を与えすぎた場合は水で流して、しばらく肥料を与えるのを控えます
根腐れや葉の黄変がないか確認しつつ、以下の対処法をためしてみましょう。

水で洗い流す 鉢に大量の水を注ぎ、余分な肥料を洗い流す。2~3回繰り返し、鉢の底から肥料が流れ出るまで続ける
肥料を控える 肥料の使用をやめ、1~2ヶ月程度は洋右を見る
植え替える 根腐れや塩害で根が弱った場合は、植え替えを行って肥料残りがない環境に移す
休養させる 温度や湿度を保ち、胡蝶蘭にストレスがかからない環境で休ませる

もしも近くに園芸店や胡蝶蘭の育成に詳しい人がいるなら早めに相談してみましょう。
通販サイトで胡蝶蘭を買った場合は、問い合わせたら対応方法を教えてくれる場合もありますよ。

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