胡蝶蘭は蝶のように広がった花びらが美しく、花持ちがいいため就任祝いなどのギフトとしても人気を集めています。
一般的に胡蝶蘭の花は1~3か月程度咲き続けると言われていますが、水やりが少なすぎると「水不足」となり花が早く枯れたり、株自体が枯れる原因となります。
この記事では、初心者が悩まされることが多い水不足の症状や正しい水やり方法について解説します。
胡蝶蘭を健康に保つためのお手入れ方法も紹介しているため、胡蝶蘭のお花を長く楽しみたい方は要チェックです。
この記事を読むと分かること
- 水不足になった胡蝶蘭の部分別の症状
- 胡蝶蘭への正しい水やり方法
- 胡蝶蘭を健康に保つためのお手入れ方法
胡蝶蘭の水不足の症状
胡蝶蘭が水不足に陥ると、花や葉、根などにそれぞれ以下のような症状があらわれます。
花 |
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---|---|
葉 |
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根 |
|
水不足の胡蝶蘭の症状について、それぞれの部分別に詳しく見ていきましょう。
花に出る症状
胡蝶蘭が水不足になった際に花に出る症状には、以下のようなものがあります。
- 花びらがしわしわになる
- 色がくすむ
- 花が早く枯れる
水不足になると花びらがしわしわになる、色がくすむなどの症状が現れます。
また、水分が足りない状態が続くと株が生き残るために花を枯らし、落としてエネルギーを維持しようとします。
胡蝶蘭が花を咲かせている場合、水不足の症状はまず花に出ます。
株全体的が乾いたようにしわしわになっていたら水不足を疑ってみるとよいでしょう。
葉に出る症状
胡蝶蘭が水不足になった際に葉に出る症状には、以下のようなものがあります。
- 葉がしわしわ・ふにゃふにゃになる
- ハリがなくなり薄くなる
- 葉が垂れ下がる、縮む
水不足になると葉に水分がいかなくなるため、葉がしわしわになったり、ハリがなくなって薄い葉になっていきます。
また、水不足が起こると葉の色が黄色く変色する場合があります。
光合成に必要な水分が足りないと、十分に光合成ができないため本来の緑色が失われていきます。
健康な胡蝶蘭の葉は生き生きとした張りがあり、角度も上向きで引き締まっています。
上記のような症状が現れたら、植え込み材や根が過剰に乾燥していないかチェックしてみましょう。
根に出る症状
胡蝶蘭が水不足になった際に根に出る症状には、以下のようなものがあります。
- 乾燥してしわが出る
- 厚みがなくなり硬くなる
- 茶色や黒に変色する
水不足や空気中の湿度が足りないと、根が乾燥して硬くなったり、茶色や黒色に変色するなどの症状が現れます。
通常、胡蝶蘭の根の色は緑やクリーム色です。
健康な根はたっぷり水分を含んでおり、みずみずしさとハリが感じられます。
乾燥で干からびたようにしわしわになっている場合はすぐにお水を与えましょう。
胡蝶蘭の水やり方法
胡蝶蘭に適切に水やりを行うために、以下の3点を確認していきましょう。
- 気温によって水やり頻度を変える
- 根が乾いてからコップ1杯の水を与える
- 水やりを行う際の注意点
胡蝶蘭は多くの水分を必要としません。
空気中から水分を吸収する能力も高いため、水をやりすぎて根が傷まないように注意しましょう。
気温によって水やり頻度を変える
胡蝶蘭に水をあげるタイミングは、季節や育成環境によって調整が必要です。
季節ごとの水やりの頻度の例は以下のとおりです。
季節 | 目安頻度 | 水量 |
---|---|---|
春 | 1週間~10日に1回 | 200ml |
夏 | 2~3日に1回 | 200~500ml |
秋 | 10日~2週間に1回 | 200ml |
冬 | 2週間~1か月に1回 | 200ml |
気温が10℃以下になると胡蝶蘭の成長が止まるため、晩秋~冬頃は水やりを控えめにします。
一方、暑い時期や冬であっても暖房の効いた部屋などでは水をよく吸うため、しっかり水を与えるようにしましょう。
根が乾いてからコップ1杯の水を与える
水やりを行う際は、以下の手順で胡蝶蘭を確認後にお水を与えるようにしましょう。
- 植え込み材(根)が乾いているか確認
- コップ1杯分(約200ml)の常温のお水を準備
- 根元に向けて水やりを行う
胡蝶蘭は水やり前に根を乾かす必要あるため、植え込み材が渇いているか確認します。
植え込み材や根の乾き具合は気温や環境によって異なるため、都度水やり頻度を調整しましょう。
水やりは1株ごとにコップ1杯(約200ml)を目安に与えます。
株や鉢の大きさによって必要な水量は異なりますので、胡蝶蘭に合わせて調整しましょう。
また、冷たい水は胡蝶蘭の負担になるため、室温に近い水、またはぬるま湯を根元に与えます。
水やりを行う際の注意点
胡蝶蘭への水やりを行う際は、以下の点にも注意が必要です。
- 水やりを行う時間帯
- 鉢の通気性
- 水のやりすぎによる根腐れ
水やりが失敗する要因には、時間帯や鉢の通気性があります。
根が乾かずに湿った状態が続くと「根腐れ」を起こす可能性があるため、それぞれ詳しく見てみましょう。
水やりを行う時間帯
季節によっては水やりを行う時間帯によって胡蝶蘭の根が傷んでしまう可能性があります。
それぞれの季節ごとの水やりに最適な時間帯は以下のとおりです。
季節 | 時間帯 |
---|---|
春 | 朝10時頃 |
夏 | 朝、または夕方 |
春 | 朝10時頃 |
冬 | 午前中 |
春・秋・冬は朝晩の気温が低く、根に水分が残っていると冷たさで根が痛む場合があります。
また、日中は光合成を行うため、日が昇って暖かくなった10時頃に水やりを行うのがベストです。
光が当たることで水の吸い上げが促され、健康的な葉や花を保つことができます。
逆に、夏場は日中の気温が上昇するため根が煮えてしまわないように朝、または夕方に水やりを行うようにしましょう。
鉢の通気性
胡蝶蘭の根を乾かすために鉢の中の通気性を良くしておく必要があります。
鉢の中の水分が抜けない、または根が呼吸できない環境にしてしまうと根が傷んでしまいます。
贈答品の胡蝶蘭は化粧鉢に入っており、通気性が良くない場合があるため一度確認してみましょう。
一般的に、通気性を良くするには以下の組み合わせが良いとされています。
- 素焼き鉢+水苔
- ポリポット、プラスチック鉢+バーグ
素焼き鉢とバーグはそれぞれの通気性が良すぎて水切れを起こすため、組み合わせるのは避けましょう。
また、鉢の下に砕いた発泡スチロールを敷いておくと水はけや通気性を良くすることができます。
比較的根腐れが起こりにくいのがバーグ、水やりのタイミングが分かりやすいのが水苔です。
水のやりすぎによる根腐れ
胡蝶蘭の水やりで失敗しやすいのが、水のやりすぎによる「根腐れ」です。
根腐れが起こる原因は主に以下の3点です。
- 水やりの頻度が多い
- 鉢内の通気性が悪い
- 肥料のやりすぎ
胡蝶蘭の根が常に湿っており、乾かすことができない環境で根腐れが起こりやすくなります。
根腐れしてしまった胡蝶蘭は回復するまでに時間がかかるため、早期発見と環境の改善が必要です。
根腐れについては「胡蝶蘭が根腐れした時の症状と対処方法」で詳しく解説しています。
症状の見分け方や、対処法などを参考にしてみてくださいね。
胡蝶蘭の健康を保つためのその他のお手入れ方法
胡蝶蘭の健康を保つには、水やり以外にも次のような点に注意を払うことが大切です。
- 適切な温度・湿度を保つ
- 肥料の時期と与え方
- 病気・害虫への対策を行う
胡蝶蘭の生育においては温度管理がとても重要です。
また、肥料の正しい与え方や病害虫について知っておくと胡蝶蘭を不意に枯らしてしまうリスクがぐっと減ります。
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
適切な温度・湿度を保つ
胡蝶蘭を健康に保つためには、部屋の温度と湿度を以下の状態で維持することが大切です。
- 【気温】18~25℃
- 【湿度】50~70%
気温が10℃を下回ると枯れる恐れがあるため、冬場や朝晩などの気温が下がる時は胡蝶蘭に寒さ対策を行いましょう。
また、湿度が高いと根腐れや感染症の原因となり、乾燥しすぎても枯れてしまうため気をつけましょう。
乾燥が気になる場合は、霧吹きで水を吹きかけるなどの工夫を行うのが有効です。
胡蝶蘭の置き場所や直射日光については「胡蝶蘭に直射日光が良くない理由は?最適な置き場所と日照環境」をチェックしてみてください!
肥料の時期と与え方
胡蝶蘭に肥料を与える場合は、以下の2点を意識しましょう。
- 肥料を与える時期
- 肥料の与え方
誤ったタイミング、やり方で肥料を与えると胡蝶蘭が弱って枯れる原因となってしまいます。
与えるのに最適な時期や肥料の与え方について詳しく解説します。
肥料を与える時期
胡蝶蘭に肥料を与えるのに適した時期は、生育が活発になる春~秋頃です。
しかし、場合によっては肥料を与えない方がいいため、以下を満たしているかを確認してみましょう。
- 花が咲いていない
- 根や葉が伸びている(生長している)
- 気温が15~30℃
胡蝶蘭の生育に適した気温は15~30℃となり、春の始めや35℃を越える真夏は肥料を与えるのに向きません。
また、花が咲いている間は株内のエネルギーを使うため肥料を必要としていません。
花が終わり、次の冬に向けて根や葉が成長し始めた頃合いが肥料を与えるのに最適なタイミングです。
肥料の与え方
肥料は、液体肥料と固定肥料のどちらかを使用するかによって与え方が異なります。
胡蝶蘭の場合は、液体肥料の「ハイポネックス」が使いやすくおすすめです。
液体肥料の場合は、以下の手順で胡蝶蘭に与えましょう。
- 液肥を希釈する(1000~3000倍)
- 1週間に1度のペースで水の代わりに肥料を与える
- 3回肥料を与えたら、1回お水で水やりをする
肥料は洋ラン用のものを使い、商品に記載されている説明書きに沿って希釈して使用します。
また、肥料を連続で与えていると鉢の中に肥料が残ってしまうため、水を与えて流すようにしましょう。
病気・害虫への対策を行う
胡蝶蘭は病気にかかったり害虫の影響を受けて枯れてしまうことがあります。
胡蝶蘭が被害を受けやすい代表的な病害虫は以下のとおりです。
- 軟腐病・褐斑細菌病
- 炭疽病
- カイガラムシ
- ハダニ
それぞれの病害虫の症状、予防と対策を見てみましょう。
軟腐病・褐斑細菌病
軟腐病と褐斑細菌病は細菌が原因となり、発病すると葉に水濡れのような斑点が現れます。
症状や対処法は以下のとおりです。
症状 |
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予防 |
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対処法 |
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強い臭いを発するようになり、内部は軟腐病の細菌を含んだ汚染水となるため葉を破らないように注意しましょう。
炭疽病
炭疽病は傷口や弱った葉がカビに感染すると発病し、葉に斑点が現れるのが特徴です。
炭疽病の症状や対処法は以下のとおりです。
症状 |
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予防 |
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対処法 |
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カイガラムシ
カイガラムシは1度発生すると爆発的に増えるため、見つけ次第駆除しましょう。
カイガラムシの症状や対処法は以下のとおりです。
症状 |
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---|---|
予防 |
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対処法 |
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ハダニ
ハダニは1年中発生する害虫ですが、湿気に弱いため湿度を保っていれば予防できます。
ハダニの症状や対処法は以下のとおりです。
症状 |
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---|---|
予防 |
|
対処法 |
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まとめ
胡蝶蘭が水不足になったら、以下のような症状が現れます。
花 |
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---|---|
葉 |
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根 |
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胡蝶蘭の水不足は、水やりを適切に行うことで解消することができます。
水やりを行う際は以下の2点を意識しましょう。
- 気温によって水やり頻度を変える
- 根が乾いてからコップ1杯の水を与える
水やりを行う場合は、時間帯や鉢の通気性にも注意が必要です。
水やりの頻度、やり方を改善しても、根が傷んでしまう時間帯や通気性が悪い鉢植えの状況で水やりを行っても逆効果になってしまいます。
また、胡蝶蘭を健康に保つためには、水やり以外にも気温や湿度を調整することも有効です。
肥料がなくても胡蝶蘭は育ちますが、健康な葉を増やしたい場合は成長期に肥料を与えるのを検討してみてもいいでしょう。