圧倒的な存在感と美しさを誇ることから、切り花の中でも人気が高い「バラ」。
せっかく綺麗なバラが手に入ったのであれば、長期間その美しさを楽しみたいですよね。
そこで本記事では、バラの切り花が長く楽しめる適切なお手入れ方法をご紹介します。
「バラがぐったりしている」、「花びらが開かない」などトラブルへの対処法も解説するので、原因が分からなくて困っている方もぜひ参考にしてみてください。
こんな方におすすめ
- バラの切り花を長持ちさせたい
- 切り花のバラの適切なお手入れ方法が知りたい
- 切り花のバラに発生するトラブルの解決策が知りたい
バラの切り花を長持ちさせるためのお手入れ方法とは?
バラの切り花を長く楽しむための具体的なお手入れ方法としては、次の4つが挙げられます。
- 水揚げを促す
- 水替えや花瓶の清掃
- 栄養補給
- 温度管理
さっそく、それぞれの方法を行う際の手順や注意点を確認していきましょう。
しっかりと水揚げを促す
切り花のバラを長持ちさせるためには、十分な水分補給ができるように「水揚げ」をしなければなりません。
水揚げとは、茎の切り口から効率よく水を吸い上げさせるために必要なお手入れ方法です。
植物は茎内部に存在する「道管」を通して、水分や栄養を必要な器官に運んでいます。
切り花は茎の断面が剥き出しになっている=道管がつまりやすいため、必要に応じて水分補給の手助けをする必要があるのです。
購入直後は十分に水揚げされた状態なので必要ありませんが、購入から時間が経過した切り花は再度水揚げしてあげるのがベストです。
具体的なバラの切り花に有効な水揚げテクニックを3つ紹介するので、活用してみてください。
バラの水揚げテクニック①「水切り」
水揚げのもっともポピュラーな方法が「水切り」です。
水切りとは空気が入らないかつ、水圧によって効率よく水の吸い上げを促せる水中で茎をカットするお手入れ方法。
茎をカットすることで乾燥した道管が切除され、新鮮な道管が剥き出しになるため水の吸収効率が上がります。
水切りの具体的な手順は次の通りです。
- バケツや洗面器など茎を切りやすい容器に水を溜める
- 茎の先端を水中に浸し、数㎜〜1㎝くらい斜めにカットする
- 水を溜めた花瓶に浸け1時間ほど吸水させる
茎を斜めにカットし断面を広げることで、より吸水効果が上がります。
せっかく水切りしても道管が潰れてしまうと吸水できないため、切れ味の良い花切りバサミを使用しましょう。
バラの水揚げテクニック②「深水」
水切りを行っても充分に吸水できていない場合は「深水」を試してみましょう。
「深水」とは、切り花をたっぷりの水に浸けることで水圧をかけ吸水しやすい状況をつくる方法です。
ただ水の量があればいいというわけではなく、「深さ」を確保できる容器に水を入れる必要があります。
深水の具体的な手順は次の通りです。
- 深さが確保できる花瓶やバケツなどに4分の3ほど水を入れる
- 水に浸かる葉っぱを切除する
- 花と葉っぱに新聞紙を巻き、セロハンテープなどで止める
- 水切りを行う
- 用意した深めの容器に花を入れ、2〜3時間程度吸水させる
新聞紙を巻く目的は、葉っぱからの蒸散を防ぐためです。
吸水効率が上がるため、取れないようにしっかり巻いておきましょう。
ただし、デリケートな花の部分は優しくふんわり巻いてあげてください。
バラの水揚げテクニック③「焼き揚げ」
バラやカスミソウなどの切り花に使える方法が「焼き揚げ」です。
切り口を火で炙ることで、殺菌や道管に詰まった空気を排出させる効果があります。
また、切り口を炭化させることで吸水しやすくなるだけでなく、水の腐敗防止効果も期待できます。
焼き揚げの具体的な手順は次の通りです。
- 濡らした新聞紙を花の部分に巻く
- ガス台やバーナーで茎の先端から2〜5㎝程度をあぶる
- 先端が炭化したら水に浸けて冷やす
花の種類によって向き・不向きはありますが、さまざまなメリットが期待できる水揚げ方法です。
水と花瓶を清潔に保つ
バラの切り花を長持ちさせるためには、新鮮な水が必要不可欠です。
したがって、こまめに花瓶の水を交換し、水の鮮度を保たなければいけません。
とくに夏場は水を腐らせる雑菌が繁殖しやすいため、毎日水を替えてあげましょう。
雑菌が繁殖しにくい冬場でも、最低5日に1回は水の交換を行うとお花が長持ちしやすくなります。
なおバラの切り花に適切な水の量は、花瓶の底から5〜10㎝程度です。
忙しくて毎日水替えするのが難しい人や水が減りやすい夏場はさらに多めに入れるなど、状況に応じて適切な水の量を用意しましょう。
水だけでなく、切り花を生ける花瓶をこまめに洗浄するのも忘れてはいけません。
水を交換する際、花瓶の内側についたぬめりや汚れを綺麗に落とすだけでなく、水に浸かっていた茎の部分も優しく洗ってあげるとより清潔な環境を保てます。
また、葉っぱが水に浸かってしまうと雑菌の繁殖や水の腐敗の原因になるため、水に浸かる葉っぱは切除しておきましょう。
十分な栄養補給も忘れずに
バラを少しでも長く楽しむためには、水分だけでなく栄養補給にも気を配りましょう。
切り花の栄養補給には次のような方法があります。
- 切り花に付属されている延命剤を使用する
- 水道水に微量の砂糖や塩を加える
- 水道水に炭酸飲料水を少量加える
もっとも一般的なのが延命剤を水に加える方法です。
延命剤とは切り花を長持ちさせるための薬剤であり、おもに栄養補給と抗菌の効果があります。
水の量や環境によって適切な量は異なるため、製品ごとの用法用量を守ってお使いください。
なお延命剤がない場合は、花瓶の水に砂糖や塩を加えて糖やミネラルなどを補給させる方法もあります。
水に対して1000分の1程度が適切な量ですので、入れすぎないように注意しましょう。
また、サイダーなどの炭酸飲料水も栄養剤の代わりとして活用できます。
少量を水に加えれば十分ですので、ご家庭にサイダーがある人はお試しください。
適切な温度管理を徹底する
適切な温度管理もバラを長持ちさせるコツです。
バラの切り花を長持ちさせるには、以下のような環境を整えてあげましょう。
- 室温が15〜25℃の涼しい環境
- 直射日光が当たらない環境
- 風通しがよい環境
バラに限らず、切り花の特徴として温度が高い環境は不向きとなります。
葉っぱや花の傷みや変色の原因にもなるため、直射日光が当たる環境もおすすめできません。
また、風通しが悪くじめじめした環境下だと雑菌やカビの発生しやすいため、お花を置くには不向きです。
エアコンを使用するなど、バラにとって最適な温度を保ってあげるように心がけましょう。
切り花のバラに起こるトラブルの原因とお手入れ方法3選
切り花のバラに発生しやすい3つのトラブルの原因とお手入れ方法をご紹介します。
次のようなトラブルでお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
バラがぐったりしている
購入したばかりのバラがぐったりしている場合、水揚げが十分に出来ていない可能性があります。
水切りや深水などの方法を用いて、吸水できるようにお手入れしてあげましょう。
とくに、花首が下を向いてしまっている場合、見栄えも美しくありません。
水切りだけでは直らない可能性が高いので、吸水した水分が蒸発しないように新聞紙でしっかり巻いてから、水切りと深水で吸水を促してあげましょう。
また、購入直後だけでなく、定期的に水切りを行うのもバラを長持ちさせる有効な手段です。
水切りによって少しずつ茎が短くなっていきますが、花に水分が届きやすくなることで吸水効率は高まるため、非常に効果的なお手入れ方法といえます。
茎の長さに合わせて花瓶を変えて楽しむのもおすすめですよ。
花びらが開かない
つぼみの状態で購入したバラの花が開かない場合、置かれている環境が寒すぎるかもしれません。
高温に弱いバラですが、寒すぎても悪影響が出てしまうため、とくに冬場は注意しましょう。
また、風通しの良い場所はバラを置く環境として最適ですが、エアコンの風が直接当たるような場所も適切ではありません。
乾燥しすぎる環境もバラにとって最適でないことを覚えておきましょう。
花びらが剥がれ落ちてしまう
切り花のバラは時間経過とともに、花が開き花びらが剥がれ落ちるようになります。
少しでも花びらが落ちてしまう時間を遅らせたい場合、漂白剤やキッチンハイターを活用するのがおすすめ。
漂白剤には、植物の老化を促進する「エチレン」という酵素を阻害する成分が入っています。
雑菌対策の効果もあるため、少しでも長い期間、バラの花を眺めていたいという人にはおすすめの方法です。
ただし、成分が強いため入れすぎると植物に悪影響を与えてしまいます。
水300mlに対して1滴程度が適量ですので、入れすぎないように注意しましょう。
まとめ
切り花のバラを長く楽しみたいのであれば、水分や栄養を与えるのはもちろん、温度や環境も管理してあげなければなりません。
バラにとって最適な環境に置いてあげるのが、長持ちのために必要な条件です。
また、切り花全体に新鮮な水が行き渡るように、必要に応じて水揚げを行うことも重要といえます。
バラに限らずお花は手間をかけてお世話をした分だけ、長持ちします。
丁寧かつ適切なお手入れを行い、ゆっくりと長期間バラをお楽しみください。